長崎原爆が福島でも被害を広げたワケ ― 2025年03月24日 05:15
昨日、記したのオッペンハイマーの映画では、彼がトリニティ実験を行った後、同じ型のプルトニウム原爆を長崎に落とすよう依頼されるまでの経緯が描かれていた。
オッペンハイマーはネバダの砂漠でトリニティと呼ばれる、長崎の原爆のための爆発実験を責任者として行ったわけだが、その際に、爆心から数キロの距離に兵士を多数配置し、被ばくの影響を調べる様、軍部から依頼されていた。トリニティの実験は成功したのだが、その出力は精度よくわかってはいなかったので兵士は3キロほどの距離にいたため、殆ど急性の症状はでなかったのである。映画でも各研究者がバラバラの出力を予測したことが描かれている。
日本の敗戦ののち、米ソの冷戦が本格化すると考えていたトルーマン大統領は、原爆が兵士に及ぼす影響のデータを確実なものと従ったのだが、プルトニウム原爆はプルトニウム240のために、濃縮ウランほど確実には爆発しない。そこで、広島で濃縮ウランで確実に日本にダメージを与えた3日後に長崎にプルトニウム原爆を落とし、被ばくデータを日本人を使った人体実験を再度行ったのである。
従って、米軍首脳としてもオッペンハイマーらにとっても、長崎原爆とトリニティの爆発力は同一でないといけないはずである。現に、現在、両者の爆発力をネットで調べると、
長崎原爆(ファットマン):約 21キロトン(21,000トン)
トリニティ実験:約 20キロトン(20,000トン)
と5%の差しかない。これはプルトニウム原爆の不安定さ(プルトニウム240などの自然崩壊の統計的変動や爆縮装置の微妙な差)を考慮すれば異常なほどよく一致した値となっている。
トリニティか、長崎原爆かどちらか或いは両方とも間違った値になっていることは以上の経緯からほぼ確実である。
このよく一致した数値は米政府向けに当時の米軍やオッペンハイマーらロスアラモスの上層部が相談して作った数値だとしか考えられない。
これを現在でも証明できる方法を見つけることができた。
広島の放射線影響研究所(RERF)が公開している広島・長崎の被ばく者発がんデータを各市毎に分けて分析すると最後の表に示したように、全く異なる結果になることが分かったのである。
このデータの被ばく線量はRERFの米国人側担当者が評価した値なのである。(原爆の爆発力は軍事機密ということで日本側は米側から供給されたデータをそのまま受け取ることしかできない仕組みになっている。)
ところが、RERFから公表されている人体への被ばく影響関連データは、広島;長崎の両市のデータを合わせた評価値だけである。各市毎に分離して評価したデータは出されていない。
この結果、低線量領域では、発がんの被ばく線量にしきい値があるのかないのか不確かになっているのである。本来、被ばく線量により両者を評価しているのだから、被ばくの場所でこの値が異なることはあり得ないはずで、どちらかのデータが操作されたとしか考えられない。広島の被ばく生存者と長崎の被ばく生存者の数は同程度である。
この表の低線量領域(1000mGy以下)での発がんに関する過剰相対リスクは広島では負と長崎では概ね正で傾向が逆転している。即ち、両市を合わせて評価すれば不確かさは大きくなり、線量0でちょうど過剰相対リスクが0近くになるようにできており、線量が低くても人体影響が生じるとするLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)仮説を支持するかのようなデータになっている。
上記の経緯を考慮すれば、長崎の被ばくデータ、即ち、長崎の線源データには何らかの意図的、系統的な操作がされたと考えるのが自然である。
福島事故など原子力災害時の対応への影響はここから生じている。このような操作されたデータが現在の低線量での被ばく影響を法的にも保証しているLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)のベースデータになっている。LNTモデルはどんな低線量被ばくでも発がんリスクがあるというモデルでなのである。
即ち、このLNTモデルが国際放射線防護委員会が各国政府に勧告している被ばく量規制の基準の評価法に採用されており、福島事故での避難区域の線引きにも用いられている。そして多数の事故関連死者が出ている。
日本は、長崎でも多数の被害者を出したうえ、福島事故への対応でも米軍による原爆の間接的被害を受けているのである。
以下は、統計ソフトRによる広島と長崎の男性被ばく生存者の固形がん発症リスクの計算結果である。この表でERRとは過剰相対リスクであり、被ばくしていない住民に対し、どの程度発がん事象が生じるかの比率から1.0を引いた数値である。この値が0になった線量範囲の最大値がしきい値に相当するが両市で傾向が全く異なるのが分かる。
対象被ばく線量
範囲(mGy) 広島男性ERR 長崎男性ERR
0-3400 0.53229 0.55920
0-3000 0.52917 0.54893
0-2500 0.57073 0.55257
0-2000 0.60734 0.62076
0-1750 0.57683 0.62492
0-1500 0.56950 0.49506
0-1250 0.68868 0.56793
0-1000 0.68024 0.54412
0-750 0.57822 0.2096
0-500 0.36171 -0.07064
0-300 -0.28841 0.89491
0-250 -1.12378 -1.37368
0-200 -1.52555 1.51706
0-175 -2.32424 2.23158
0-150 -2.44334 2.20752
0-125 -1.37516 1.92733
0-100 -1.53605 2.19552
0-80 -3.14243 0.98108
0-60 -2.66847 -2.03801
0-40 -12.4006 -10.3098
0-20 -12.6825 13.0406
0-5 -61.4725 119.8396
オッペンハイマーはネバダの砂漠でトリニティと呼ばれる、長崎の原爆のための爆発実験を責任者として行ったわけだが、その際に、爆心から数キロの距離に兵士を多数配置し、被ばくの影響を調べる様、軍部から依頼されていた。トリニティの実験は成功したのだが、その出力は精度よくわかってはいなかったので兵士は3キロほどの距離にいたため、殆ど急性の症状はでなかったのである。映画でも各研究者がバラバラの出力を予測したことが描かれている。
日本の敗戦ののち、米ソの冷戦が本格化すると考えていたトルーマン大統領は、原爆が兵士に及ぼす影響のデータを確実なものと従ったのだが、プルトニウム原爆はプルトニウム240のために、濃縮ウランほど確実には爆発しない。そこで、広島で濃縮ウランで確実に日本にダメージを与えた3日後に長崎にプルトニウム原爆を落とし、被ばくデータを日本人を使った人体実験を再度行ったのである。
従って、米軍首脳としてもオッペンハイマーらにとっても、長崎原爆とトリニティの爆発力は同一でないといけないはずである。現に、現在、両者の爆発力をネットで調べると、
長崎原爆(ファットマン):約 21キロトン(21,000トン)
トリニティ実験:約 20キロトン(20,000トン)
と5%の差しかない。これはプルトニウム原爆の不安定さ(プルトニウム240などの自然崩壊の統計的変動や爆縮装置の微妙な差)を考慮すれば異常なほどよく一致した値となっている。
トリニティか、長崎原爆かどちらか或いは両方とも間違った値になっていることは以上の経緯からほぼ確実である。
このよく一致した数値は米政府向けに当時の米軍やオッペンハイマーらロスアラモスの上層部が相談して作った数値だとしか考えられない。
これを現在でも証明できる方法を見つけることができた。
広島の放射線影響研究所(RERF)が公開している広島・長崎の被ばく者発がんデータを各市毎に分けて分析すると最後の表に示したように、全く異なる結果になることが分かったのである。
このデータの被ばく線量はRERFの米国人側担当者が評価した値なのである。(原爆の爆発力は軍事機密ということで日本側は米側から供給されたデータをそのまま受け取ることしかできない仕組みになっている。)
ところが、RERFから公表されている人体への被ばく影響関連データは、広島;長崎の両市のデータを合わせた評価値だけである。各市毎に分離して評価したデータは出されていない。
この結果、低線量領域では、発がんの被ばく線量にしきい値があるのかないのか不確かになっているのである。本来、被ばく線量により両者を評価しているのだから、被ばくの場所でこの値が異なることはあり得ないはずで、どちらかのデータが操作されたとしか考えられない。広島の被ばく生存者と長崎の被ばく生存者の数は同程度である。
この表の低線量領域(1000mGy以下)での発がんに関する過剰相対リスクは広島では負と長崎では概ね正で傾向が逆転している。即ち、両市を合わせて評価すれば不確かさは大きくなり、線量0でちょうど過剰相対リスクが0近くになるようにできており、線量が低くても人体影響が生じるとするLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)仮説を支持するかのようなデータになっている。
上記の経緯を考慮すれば、長崎の被ばくデータ、即ち、長崎の線源データには何らかの意図的、系統的な操作がされたと考えるのが自然である。
福島事故など原子力災害時の対応への影響はここから生じている。このような操作されたデータが現在の低線量での被ばく影響を法的にも保証しているLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)のベースデータになっている。LNTモデルはどんな低線量被ばくでも発がんリスクがあるというモデルでなのである。
即ち、このLNTモデルが国際放射線防護委員会が各国政府に勧告している被ばく量規制の基準の評価法に採用されており、福島事故での避難区域の線引きにも用いられている。そして多数の事故関連死者が出ている。
日本は、長崎でも多数の被害者を出したうえ、福島事故への対応でも米軍による原爆の間接的被害を受けているのである。
以下は、統計ソフトRによる広島と長崎の男性被ばく生存者の固形がん発症リスクの計算結果である。この表でERRとは過剰相対リスクであり、被ばくしていない住民に対し、どの程度発がん事象が生じるかの比率から1.0を引いた数値である。この値が0になった線量範囲の最大値がしきい値に相当するが両市で傾向が全く異なるのが分かる。
対象被ばく線量
範囲(mGy) 広島男性ERR 長崎男性ERR
0-3400 0.53229 0.55920
0-3000 0.52917 0.54893
0-2500 0.57073 0.55257
0-2000 0.60734 0.62076
0-1750 0.57683 0.62492
0-1500 0.56950 0.49506
0-1250 0.68868 0.56793
0-1000 0.68024 0.54412
0-750 0.57822 0.2096
0-500 0.36171 -0.07064
0-300 -0.28841 0.89491
0-250 -1.12378 -1.37368
0-200 -1.52555 1.51706
0-175 -2.32424 2.23158
0-150 -2.44334 2.20752
0-125 -1.37516 1.92733
0-100 -1.53605 2.19552
0-80 -3.14243 0.98108
0-60 -2.66847 -2.03801
0-40 -12.4006 -10.3098
0-20 -12.6825 13.0406
0-5 -61.4725 119.8396
ポアソン分布とポアソン回帰の怪奇な関係 ― 2025年03月03日 10:34
物事を理解するには、受け身ではなく、積極的に理解しようとする内容を出力することだという話を聞いた。出力するとは英語なら口に出したり、書き出したりすることである。統計論なら、分かりにくいポアソン分布や回帰分析とは何かということを書きだしてみることだろう。以下は直感で書いたこれらの事柄である。
統計の教科書でポアソン分布の最初に掛かれていることは、サッカーの点数とか、馬に蹴られて死亡した数とかがポアソン分布に従うという話である。まずここで普通は何のことかと思ってしまう。
これを自分なりに解釈すれば、こういうめったに起こらないことが、一定の時間内に何回生じるかを計測すると、ポアソン確率分布に従うということである。では、この場合、何が確率変数で、何がその確率分布なのかーこれが具体的なイメージができなかった。
この関数は確率変数xとその事象の平均生起回数λの式になっている。
P(X=x)= exp(-x)・λ^x/x!(1)
という理解しがたい式である。
この式の導出は教科書に譲るとして、
λは平均生起回数なのでサッカーならば多数の試合の得点の平均値であることは理解できる。ではxとはなにか、それが確率変数なのか、ここがまず分かりにくい。
X=xとは何を意味しているのか。じっくり考えるとxとは生起回数、即ち、一般的なサッカー試合における得点数ということである。これが1点ならばX=1であり、上式でxに1を代入すればあるサッカー試合で1点しか入らないという試合になる確率がでる(ことになっている)。
では、上式でλとはなにか。これは平均生起回数であり、1点なのか2点なのか3点なのか、2.5点なのか統計データが無ければ決めることはできないということである。
逆に言えば、多数の試合のデータがあり、その平均得点数λが真の値として得られたのちに、その後の同様の試合で、その試合の得点が1点(X=1)なのか、2点(X=2)なのか3点なのか(x=3)・・・・・・・をP(X=x)として計算できるということに過ぎない。
即ち、確率変数Xとはある試合における予想得点数であり、0から無限に近い数までのどの数になるかは任意である(現実的には0点から5点くらいの範囲であろうが)ーということを示す変数である。
従って、ポアソン分布では確率変数Xが大きくなるとPは無限小に近くなるグラフが一般的である。但し、各Pの合計は1になる。ようにP式はできている。
では平均生起回数(=平均得点数)はどうやって求めるのか。
これがポアソン回帰分析の役割である。
真のλというのは現実には得られないので、これまでの多くのサッカー試合の得点数を調査し、そのリストを作成する。そして、例えばあるワールドカップの試合の得点予測をするのであれば、ワールドカップクラスの過去の全試合の対戦国、ホーム・アゥエー、リーグ戦かトーナメントかなどの説明変数xjおよび目的変数(得点数)λiを対象に回帰分析をする。その回帰モデルは、
λi=exp(β0+Σjβjxij)(2)
とし、各試合ごとの合計が最も過去の実績に近くなるような分析法(最尤法)を用いて平均λを求める。ここで最尤法とは(1)式を使ったiについての積をまず求める。
これは尤度関数と呼び、この回帰係数により求められた確率関数の積は回帰係数値により変化する。
この尤度関数が最大になれば確率関数の積が最大になるので最も有りうる回帰係数になる。
直接これを求めるよりもこの尤度関数を対数変換した対数尤度
l(Θ)=Σi(-λi+xilog(λi)-log(xi!))
が最大になるような(2)式のβj(回帰係数)を計算機により繰り返し計算で求める方法である。これは尤度関数自体を最大化する計算では尤度変化が小さく計算誤差が大きくなるためである。
なお、この対数尤度の最大化計算は解析的には困難で、計算機による数値計算を繰り返すことで最適化した回帰係数を得る。
なお、サッカー試合では延長戦がなければ時間が同じなので得点率も試合ごとに同じ時間と仮定できるが、例えば、個人のがん発生数など時間依存の場合は、その個人iの生存年数tiの対数をオフセットとして(2)式の対数変換式の右辺に加えることで時間幅の相違まで考慮したポアソン回帰解析により平均λを計算できる。この場合は生存期間を暴露量として考慮したがん発生数としてλが評価できる。ポアソン回帰解析ではこの生存期間の対数値はオフセット量と呼ばれている。
また、得られた回帰係数の検定として帰無仮説と対立仮説を
H0:βk=0
H1:βk≠0
とする両側検定を行い、検定統計量は
Z=βk/標準誤差(βk)
とする。統計ソフトRでは
|Z0|としてp値を返す。このp値が有意水準α(予め0.1,0.05,0.01などを設定する)よりも小さければ帰無仮説を棄却する。
ここで
標準誤差(βk)=√(U^2/Σ(Xi-Xa)^2
ここで
U^2=Σei^2/(n-2)
ei=Yi(観測値)-Y(回帰値)
Xq:Xiの平均値
n:観測数
となる。
参考資料1)Rで学ぶ統計データ分析、本橋永至(オーム社)
参考資料2)回帰分析入門、豊田秀樹(東京図書)
統計の教科書でポアソン分布の最初に掛かれていることは、サッカーの点数とか、馬に蹴られて死亡した数とかがポアソン分布に従うという話である。まずここで普通は何のことかと思ってしまう。
これを自分なりに解釈すれば、こういうめったに起こらないことが、一定の時間内に何回生じるかを計測すると、ポアソン確率分布に従うということである。では、この場合、何が確率変数で、何がその確率分布なのかーこれが具体的なイメージができなかった。
この関数は確率変数xとその事象の平均生起回数λの式になっている。
P(X=x)= exp(-x)・λ^x/x!(1)
という理解しがたい式である。
この式の導出は教科書に譲るとして、
λは平均生起回数なのでサッカーならば多数の試合の得点の平均値であることは理解できる。ではxとはなにか、それが確率変数なのか、ここがまず分かりにくい。
X=xとは何を意味しているのか。じっくり考えるとxとは生起回数、即ち、一般的なサッカー試合における得点数ということである。これが1点ならばX=1であり、上式でxに1を代入すればあるサッカー試合で1点しか入らないという試合になる確率がでる(ことになっている)。
では、上式でλとはなにか。これは平均生起回数であり、1点なのか2点なのか3点なのか、2.5点なのか統計データが無ければ決めることはできないということである。
逆に言えば、多数の試合のデータがあり、その平均得点数λが真の値として得られたのちに、その後の同様の試合で、その試合の得点が1点(X=1)なのか、2点(X=2)なのか3点なのか(x=3)・・・・・・・をP(X=x)として計算できるということに過ぎない。
即ち、確率変数Xとはある試合における予想得点数であり、0から無限に近い数までのどの数になるかは任意である(現実的には0点から5点くらいの範囲であろうが)ーということを示す変数である。
従って、ポアソン分布では確率変数Xが大きくなるとPは無限小に近くなるグラフが一般的である。但し、各Pの合計は1になる。ようにP式はできている。
では平均生起回数(=平均得点数)はどうやって求めるのか。
これがポアソン回帰分析の役割である。
真のλというのは現実には得られないので、これまでの多くのサッカー試合の得点数を調査し、そのリストを作成する。そして、例えばあるワールドカップの試合の得点予測をするのであれば、ワールドカップクラスの過去の全試合の対戦国、ホーム・アゥエー、リーグ戦かトーナメントかなどの説明変数xjおよび目的変数(得点数)λiを対象に回帰分析をする。その回帰モデルは、
λi=exp(β0+Σjβjxij)(2)
とし、各試合ごとの合計が最も過去の実績に近くなるような分析法(最尤法)を用いて平均λを求める。ここで最尤法とは(1)式を使ったiについての積をまず求める。
これは尤度関数と呼び、この回帰係数により求められた確率関数の積は回帰係数値により変化する。
この尤度関数が最大になれば確率関数の積が最大になるので最も有りうる回帰係数になる。
直接これを求めるよりもこの尤度関数を対数変換した対数尤度
l(Θ)=Σi(-λi+xilog(λi)-log(xi!))
が最大になるような(2)式のβj(回帰係数)を計算機により繰り返し計算で求める方法である。これは尤度関数自体を最大化する計算では尤度変化が小さく計算誤差が大きくなるためである。
なお、この対数尤度の最大化計算は解析的には困難で、計算機による数値計算を繰り返すことで最適化した回帰係数を得る。
なお、サッカー試合では延長戦がなければ時間が同じなので得点率も試合ごとに同じ時間と仮定できるが、例えば、個人のがん発生数など時間依存の場合は、その個人iの生存年数tiの対数をオフセットとして(2)式の対数変換式の右辺に加えることで時間幅の相違まで考慮したポアソン回帰解析により平均λを計算できる。この場合は生存期間を暴露量として考慮したがん発生数としてλが評価できる。ポアソン回帰解析ではこの生存期間の対数値はオフセット量と呼ばれている。
また、得られた回帰係数の検定として帰無仮説と対立仮説を
H0:βk=0
H1:βk≠0
とする両側検定を行い、検定統計量は
Z=βk/標準誤差(βk)
とする。統計ソフトRでは
|Z0|としてp値を返す。このp値が有意水準α(予め0.1,0.05,0.01などを設定する)よりも小さければ帰無仮説を棄却する。
ここで
標準誤差(βk)=√(U^2/Σ(Xi-Xa)^2
ここで
U^2=Σei^2/(n-2)
ei=Yi(観測値)-Y(回帰値)
Xq:Xiの平均値
n:観測数
となる。
参考資料1)Rで学ぶ統計データ分析、本橋永至(オーム社)
参考資料2)回帰分析入門、豊田秀樹(東京図書)
平均余命とこれからの対応 ― 2025年02月27日 21:33
厚労省の平均余命のサイトには下記のデータが表示されている
表1 主な年齢の平均余命とその延び
(単位:年) 年齢 男 女
平成22年 平成21年 前年との差 平成22年 平成21年 前年との差
0歳 79.64 79.59 0.05 86.39 86.44 △ 0.05
5 74.90 74.87 0.03 81.64 81.69 △ 0.05
10 69.94 69.90 0.04 76.67 76.73 △ 0.06
15 64.98 64.93 0.05 71.70 71.75 △ 0.05
20 60.07 60.04 0.03 66.75 66.81 △ 0.06
25 55.24 55.20 0.04 61.83 61.90 △ 0.07
30 50.41 50.37 0.04 56.92 57.00 △ 0.08
35 45.59 45.55 0.04 52.03 52.11 △ 0.08
40 40.81 40.78 0.03 47.17 47.25 △ 0.08
45 36.10 36.09 0.01 42.36 42.44 △ 0.08
50 31.51 31.51 0.00 37.61 37.70 △ 0.09
55 27.07 27.09 △ 0.02 32.95 33.04 △ 0.09
60 22.84 22.87 △ 0.03 28.37 28.46 △ 0.09
65 18.86 18.88 △ 0.02 23.89 23.97 △ 0.08
70 15.08 15.10 △ 0.02 19.53 19.61 △ 0.08
75 11.58 11.63 △ 0.05 15.38 15.46 △ 0.08
80 8.57 8.66 △ 0.09 11.59 11.68 △ 0.09
85 6.18 6.27 △ 0.09 8.30 8.41 △ 0.11
90 4.41 4.48 △ 0.07 5.76 5.86 △ 0.10
仮にあなた75歳ならば統計的には
平成22年 平成21年 前年との差 平成22年 平成21年 前年との差
75 11.58 11.63 △ 0.05 15.38 15.46 △ 0.08
となり、あなたは後11年は生きられる。ではあなたはその11年を以下に生きるべきか、統計は何も教えてkれない。
統計とはそのようなレベルのデータなのである。
統計や医師の推奨値に左右されずにじっと我が手を見て判断できるだけの教養を身に着けたいものである。
これは教養に裏付けられた直観でしかないのだろう。
オッペンハイマーと長崎原爆被ばく者データに関する疑惑 ― 2025年01月27日 11:26
映画オッペンハイマーでは、米国政府とオッペンハイマーの原爆開発の目的のずれが戦後の両者の対立になった経緯が描かれている。
その前提となるのが、広島に落とされた濃縮ウラン型原爆と長崎に落とされたプルトニウム原爆の物理、機械的相違である。
濃縮ウラン型は、臨界量未満の濃縮ウラン(ウラン235は90%以上)を円柱状にして置き、その中心に濃縮ウランの棒をピストルのように打ち込み十分な超臨界状態になったのちに、その棒の先端につけた中性子源から中性子を発生させて爆発させる。比較的簡単な構造である。
一方、オッペンハイマーが開発の主役となったプルトニウム型では、プルトニウム240という自発的に核分裂する核種が微量に含まれてしまうので、濃縮ウランのような単純構造では、超臨界状態になった瞬間にプルトニウム240からの中性子が発生すると核分裂による熱膨張で未臨界に戻ってしまう。そこで、映画にも出てきたエドワード・テラーが爆縮装置と呼ばれるプルトニウム球の周囲に配置し、ダイナマイトによる爆発力で周囲から圧力を加えることでこの熱膨張を抑制し、十分な爆発力を得る構造としたのである。
これは、原爆用濃縮ウランの製造には天然ウランの核分裂性核種ウラン235の比率0,7%を90%以上に濃縮する必要があり、複数段の濃縮装置に多大な電力と時間が必要だった一方で、プルトニウムは低燃焼度のウランとプルトニウムの化学分離の操作だけで製造できたからである。
しかし、プルトニウムの爆発には、混入するプルトニウム240がいつ中性子を発生するか、また、爆縮装置がうまくプルトニウムを圧縮してくれるかといった予測困難な問題があり、映画にもあるようにネバダの砂漠で、トリニティと呼ばれた実験を行い、核爆発力と兵士をモルモットにした実験が行われた。但し、この爆発力の見積もりは各研究所や大学機関で1桁以上の差があり、映画にもあるように兵士の配置が遠すぎて人体影響はほぼ見られなかった。
その一か月後、トリニティと同設計での長崎原爆が落とされたわけである。
米国政府としては、広島の原爆は構造が簡単なので確実に爆発することは分かっていたのだが、日本が降伏する前にこのプルトニウム型原爆を実験したかったのであろう。僅か、3日後に長崎に落とされた。
それは米ソ冷戦への備えとして落としたとしか思えない。オッペンハイマーは本来、戦争抑止のために開発したはずのプルトニウム原爆が長崎で一般市民に使われたため怒って戦後は核開発の反対論者になりスパイ容疑で裁判にかけられたという経緯が映画の後半の主題である。
なぜ、こんな歴史を今更と思うだろうが、最近、広島と長崎の被ばく者のがん発生率を分析したところ、長崎の被ばく者のデータに異常があることが分かったのである。下記は、統計ソフトRを用いて、広島と長崎の全被ばく生存者の被ばく量と固形がん発生リスクを分析した例の一部である。比較のため、400mGy以下の低線量範囲での比較結果のみ示すと以下のようになった。これは被ばく線量で比較したリスクであり本来広島と長崎で同傾向にならなければならない。
しかし、この発がんリスクの傾向には両市間で大きな相違がある。特に、低線量ほどリスクが大きいという結果になっている長崎市のデータには大きな問題点があると考えられる。
過剰相対リスク
線量範囲上限(mGy) 広島 長崎
400 0.800261919 1.074421
395 0.824506781 1.1539922
390 0.762176781 0.9001722
385 0.606536237 0.8074187
380 0.449953241 0.7136868
375 0.46056437 1.4629095
370 0.402776568 1.3920268
365 0.343500724 1.3379963
360 0.351151039 1.4072673
355 0.337969751 1.4299797
350 0.381182007 1.2312231
345 0.34177201 1.3835407
340 0.374849678 1.4768707
335 0.370562729 1.4780478
330 0.380518099 1.5373031
325 0.433673548 1.5516461
320 0.42436209 1.4702071
315 0.389640276 1.4744703
310 0.41947781 1.452396
305 0.387485792 1.5655033
300 0.394948014 1.5922935
295 0.357323841 1.5622991
290 0.274949467 1.5703467
285 0.281841652 1.4481003
280 0.191281463 1.4227193
275 0.04866446 1.324307
270 0.010104968 0.7065839
265 -0.039332547 0.6599728
260 -0.062113667 0.5607039
255 0.036832546 0.6496324
250 0.032308858 0.5364669
245 -0.027708853 0.5187721
240 -0.15646723 0.4587613
235 -0.024652604 0.6546835
230 -0.027032151 0.7043639
225 -0.196488201 0.9900249
220 -0.409485062 0.8853397
215 -0.400626553 1.3036376
210 -0.57532354 1.7205693
205 -0.50957413 1.8403411
200 -0.5731726 1.7960502
195 -0.432323911 1.6873863
190 -0.346773482 1.5683574
185 -0.4573594 1.7707782
180 -0.69571222 1.9248327
175 -0.77079978 1.8519268
170 -0.71257012 1.8313211
165 -0.60604274 1.8313416
160 -1.12293456 1.9668285
155 -1.04698777 2.1748121
150 -1.22083713 2.3757664
145 -1.26964591 2.4033531
140 -1.2604374 2.3091317
135 -1.29393523 2.9558068
130 -1.12734239 2.5811838
125 -1.17592585 2.6175639
120 -0.97255067 3.1983467
115 -0.7274648 2.81164
110 -1.25345566 3.391352
105 -0.90906343 3.6543439
100 -0.75480281 3.3584566
95 -0.87192938 3.6832095
90 -0.8670818 3.6731799
85 -2.07942782 2.8818158
80 -1.67384656 3.2677596
75 -1.49534276 3.3213478
70 -2.17616184 2.6867913
65 -3.18824079 2.2826986
60 -2.58641499 1.8196848
55 -1.96280793 2.1530867
50 -5.17692524 0.4978661
45 -10.03418265 -4.3050707
40 -11.4643578 -3.8941149
35 -11.88674029 -4.8044495
30 -12.87833898 -0.4475859
25 -17.91586969 2.9018796
20 -18.23896135 8.2770877
15 -20.20001794 12.8368038
10 -6.6801729 20.7522318
その前提となるのが、広島に落とされた濃縮ウラン型原爆と長崎に落とされたプルトニウム原爆の物理、機械的相違である。
濃縮ウラン型は、臨界量未満の濃縮ウラン(ウラン235は90%以上)を円柱状にして置き、その中心に濃縮ウランの棒をピストルのように打ち込み十分な超臨界状態になったのちに、その棒の先端につけた中性子源から中性子を発生させて爆発させる。比較的簡単な構造である。
一方、オッペンハイマーが開発の主役となったプルトニウム型では、プルトニウム240という自発的に核分裂する核種が微量に含まれてしまうので、濃縮ウランのような単純構造では、超臨界状態になった瞬間にプルトニウム240からの中性子が発生すると核分裂による熱膨張で未臨界に戻ってしまう。そこで、映画にも出てきたエドワード・テラーが爆縮装置と呼ばれるプルトニウム球の周囲に配置し、ダイナマイトによる爆発力で周囲から圧力を加えることでこの熱膨張を抑制し、十分な爆発力を得る構造としたのである。
これは、原爆用濃縮ウランの製造には天然ウランの核分裂性核種ウラン235の比率0,7%を90%以上に濃縮する必要があり、複数段の濃縮装置に多大な電力と時間が必要だった一方で、プルトニウムは低燃焼度のウランとプルトニウムの化学分離の操作だけで製造できたからである。
しかし、プルトニウムの爆発には、混入するプルトニウム240がいつ中性子を発生するか、また、爆縮装置がうまくプルトニウムを圧縮してくれるかといった予測困難な問題があり、映画にもあるようにネバダの砂漠で、トリニティと呼ばれた実験を行い、核爆発力と兵士をモルモットにした実験が行われた。但し、この爆発力の見積もりは各研究所や大学機関で1桁以上の差があり、映画にもあるように兵士の配置が遠すぎて人体影響はほぼ見られなかった。
その一か月後、トリニティと同設計での長崎原爆が落とされたわけである。
米国政府としては、広島の原爆は構造が簡単なので確実に爆発することは分かっていたのだが、日本が降伏する前にこのプルトニウム型原爆を実験したかったのであろう。僅か、3日後に長崎に落とされた。
それは米ソ冷戦への備えとして落としたとしか思えない。オッペンハイマーは本来、戦争抑止のために開発したはずのプルトニウム原爆が長崎で一般市民に使われたため怒って戦後は核開発の反対論者になりスパイ容疑で裁判にかけられたという経緯が映画の後半の主題である。
なぜ、こんな歴史を今更と思うだろうが、最近、広島と長崎の被ばく者のがん発生率を分析したところ、長崎の被ばく者のデータに異常があることが分かったのである。下記は、統計ソフトRを用いて、広島と長崎の全被ばく生存者の被ばく量と固形がん発生リスクを分析した例の一部である。比較のため、400mGy以下の低線量範囲での比較結果のみ示すと以下のようになった。これは被ばく線量で比較したリスクであり本来広島と長崎で同傾向にならなければならない。
しかし、この発がんリスクの傾向には両市間で大きな相違がある。特に、低線量ほどリスクが大きいという結果になっている長崎市のデータには大きな問題点があると考えられる。
過剰相対リスク
線量範囲上限(mGy) 広島 長崎
400 0.800261919 1.074421
395 0.824506781 1.1539922
390 0.762176781 0.9001722
385 0.606536237 0.8074187
380 0.449953241 0.7136868
375 0.46056437 1.4629095
370 0.402776568 1.3920268
365 0.343500724 1.3379963
360 0.351151039 1.4072673
355 0.337969751 1.4299797
350 0.381182007 1.2312231
345 0.34177201 1.3835407
340 0.374849678 1.4768707
335 0.370562729 1.4780478
330 0.380518099 1.5373031
325 0.433673548 1.5516461
320 0.42436209 1.4702071
315 0.389640276 1.4744703
310 0.41947781 1.452396
305 0.387485792 1.5655033
300 0.394948014 1.5922935
295 0.357323841 1.5622991
290 0.274949467 1.5703467
285 0.281841652 1.4481003
280 0.191281463 1.4227193
275 0.04866446 1.324307
270 0.010104968 0.7065839
265 -0.039332547 0.6599728
260 -0.062113667 0.5607039
255 0.036832546 0.6496324
250 0.032308858 0.5364669
245 -0.027708853 0.5187721
240 -0.15646723 0.4587613
235 -0.024652604 0.6546835
230 -0.027032151 0.7043639
225 -0.196488201 0.9900249
220 -0.409485062 0.8853397
215 -0.400626553 1.3036376
210 -0.57532354 1.7205693
205 -0.50957413 1.8403411
200 -0.5731726 1.7960502
195 -0.432323911 1.6873863
190 -0.346773482 1.5683574
185 -0.4573594 1.7707782
180 -0.69571222 1.9248327
175 -0.77079978 1.8519268
170 -0.71257012 1.8313211
165 -0.60604274 1.8313416
160 -1.12293456 1.9668285
155 -1.04698777 2.1748121
150 -1.22083713 2.3757664
145 -1.26964591 2.4033531
140 -1.2604374 2.3091317
135 -1.29393523 2.9558068
130 -1.12734239 2.5811838
125 -1.17592585 2.6175639
120 -0.97255067 3.1983467
115 -0.7274648 2.81164
110 -1.25345566 3.391352
105 -0.90906343 3.6543439
100 -0.75480281 3.3584566
95 -0.87192938 3.6832095
90 -0.8670818 3.6731799
85 -2.07942782 2.8818158
80 -1.67384656 3.2677596
75 -1.49534276 3.3213478
70 -2.17616184 2.6867913
65 -3.18824079 2.2826986
60 -2.58641499 1.8196848
55 -1.96280793 2.1530867
50 -5.17692524 0.4978661
45 -10.03418265 -4.3050707
40 -11.4643578 -3.8941149
35 -11.88674029 -4.8044495
30 -12.87833898 -0.4475859
25 -17.91586969 2.9018796
20 -18.23896135 8.2770877
15 -20.20001794 12.8368038
10 -6.6801729 20.7522318
日本でもBMI25-27が死亡リスク最小となっていた ― 2025年01月17日 05:20
国立がんセンターの下記サイトにおける日本のコホート研究のプール解析によれば、
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2830.html
「男性の「全死因」を見ると、23未満のBMIに対応する3つのカテゴリーにおいて死亡リスクが上昇しています。これは統計的に有意なものです。死亡リスクはBMI25-27のカテゴリーで最低であり、それよりBMI高値カテゴリーでは上昇に転じるのですが、統計学的に有意に高くなるのはBMI30-40のカテゴリー(肥満)だけです。死亡リスクの上昇は、むしろBMI低値(やせ)の方がより顕著であり、グラフは「逆J型」の曲線を描きます。死因別に見ると、「がん」と「その他」の死因による死亡リスクは「全死因」同様「逆J型」の曲線を描きますが、「心臓病」と「脳血管疾患」による死亡リスクは、BMIの高低による上昇が拮抗しているか、またはBMI高値の場合により顕著な上昇が見られ、そのグラフは「U型」または「J型」の曲線を描いています。
女性の「全死因」による死亡リスクのグラフも、男性と同様、「逆J型」の曲線を描きますが、「がん」による死亡リスクについては男性の場合と異なり「逆J型」が見られず、統計的に有意なリスク上昇がみられるのはBMI30-40カテゴリー(肥満)においてのみでした。「心臓病」と「脳血管疾患」の死亡リスクについては男性の場合と同様「U型」または「J型」の曲線が見られました。」
と記載されており、一般に言われていたBMIを25以下にすべきという見解とは明らかに異なっている。男性で23未満では25よりも死亡リスクが増えているがこれは統計的に有意であると述べている。
これが最近一部の医師が言い出した小太りがよいという意見の根拠となっているのかもしれない。
がんでも他の病気でも、どんな病気を対象とするかでリスク最小の体系やBMIは異なると言われているが、全死亡リスクを対象とすれば、BMIは25以上、27以下が平均的にはのぞましいということなのであろう。但し30を超えると明らかに死亡リスクが増えるのでこれは超えてはいけない。
(かなり太めの著者の個人的感想です。)
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2830.html
「男性の「全死因」を見ると、23未満のBMIに対応する3つのカテゴリーにおいて死亡リスクが上昇しています。これは統計的に有意なものです。死亡リスクはBMI25-27のカテゴリーで最低であり、それよりBMI高値カテゴリーでは上昇に転じるのですが、統計学的に有意に高くなるのはBMI30-40のカテゴリー(肥満)だけです。死亡リスクの上昇は、むしろBMI低値(やせ)の方がより顕著であり、グラフは「逆J型」の曲線を描きます。死因別に見ると、「がん」と「その他」の死因による死亡リスクは「全死因」同様「逆J型」の曲線を描きますが、「心臓病」と「脳血管疾患」による死亡リスクは、BMIの高低による上昇が拮抗しているか、またはBMI高値の場合により顕著な上昇が見られ、そのグラフは「U型」または「J型」の曲線を描いています。
女性の「全死因」による死亡リスクのグラフも、男性と同様、「逆J型」の曲線を描きますが、「がん」による死亡リスクについては男性の場合と異なり「逆J型」が見られず、統計的に有意なリスク上昇がみられるのはBMI30-40カテゴリー(肥満)においてのみでした。「心臓病」と「脳血管疾患」の死亡リスクについては男性の場合と同様「U型」または「J型」の曲線が見られました。」
と記載されており、一般に言われていたBMIを25以下にすべきという見解とは明らかに異なっている。男性で23未満では25よりも死亡リスクが増えているがこれは統計的に有意であると述べている。
これが最近一部の医師が言い出した小太りがよいという意見の根拠となっているのかもしれない。
がんでも他の病気でも、どんな病気を対象とするかでリスク最小の体系やBMIは異なると言われているが、全死亡リスクを対象とすれば、BMIは25以上、27以下が平均的にはのぞましいということなのであろう。但し30を超えると明らかに死亡リスクが増えるのでこれは超えてはいけない。
(かなり太めの著者の個人的感想です。)
固形がん発症率の広島と長崎の差への疑問 ― 2025年01月09日 07:20
以前も広島と長崎の原爆について映画オッペンハイマーが混同していることを書いたが、現在の被ばく基準で用いているICRPやRERF(放射線影響研究所)も明確な区別をしていない。同じ被ばく量ならば、両市で同じ傾向になるはずだ。
(もし、放射線を放出する核種により、生体影響に差があるならば、グレーやシーベルトという単位で生体影響を定量化することはできず、ウラン型の広島とプルトニウム型の長崎で被ばく量と生体影響が異なることもありうるかもしれないが、そうなるとセシウム被ばくの福島にはそもそもICRP基準は適用できないことになる。)
実際にRERFのデータを用いて、男性被ばく生存者の固形がん被ばくの両市の差を統計ソフトRで被ばく線量ごとに解析してみると、以下のような大きな差がある。 広島では366mGyから365mGyの間で、リスクが正から負に変わっており、単純に言えば365mGy以下では、被ばくによりがんに掛かるリスクは減っているということになる。即ち、この付近にしきい値があるのである。しかし、長崎ではしきい値が現れていない。米軍やRERFの前身であるABCC(原爆傷害調査委員会)のまとめたデータベースのどこかに系統的なエラーがあるとしか考えられない。
なお、本検討では、1990年以前の解析とはことなり、がん発生要因の主要な項目である調査対象者の喫煙状況の影響が正しく反映されるよう、喫煙状況不明者を除いている。このような分析結果は、現在のICRPの基準、即ち、現在の日本を含む法令で定められた基準にも反映されないままであり、被ばく量と過剰相対リスクの関係は直線であり、被ばく線量とがん発生リスクの関係はほぼ比例すると仮定されている。
即ち、366mGy以上の高線量範囲(具体的には3400mGyの範囲での過剰相対リスクが低線量範囲まで線量に比例して低下するという直線しきい値なし仮定(LNT仮定)が使われているのである。その大きな根拠がRERF等による広島・長崎の被爆者データ解析であり、福島の避難区域設定にも使われている。即ち、映画オッペンハイマーで見られるように、日本は太平洋戦争、米ソ冷戦依頼、計3回、米国およびその影響下にあったABCC,RERFとICRPのいい加減なデータベースによる被害を受けたのである。
このようなデータが、ICRPの被ばく基準、即ち、我が国の法律で決まっている被ばく基準のベースなのである。統計精度がある程度確保されているはずの瞬時被ばくのデータベースでさえこのような矛盾に満ちた状況である。いかに不完全なデータベースのもとで我々は放射線影響を判断しているのかがわかる。
評価線量範囲の 1Gy当たりの固形がん発生過剰相対リス
直腸最大線量 (被ばくが0の場合に対するリスク増加比)
評価線量範囲の 1Gy当たりの固形がん発生過剰相対リス
直腸最大線量 (被ばくが0の場合に対するリスク増加比)
(mGy) 広島 長崎
評価線量範囲の 1Gy当たりの固形がん発生過剰相対リス
直腸最大線量 (被ばくが0の場合に対するリスク増加比)
(mGy) 広島 長崎
370 0.05014384 0.3218923
369 0.03921758 0.2621733
368 0.04399446 0.2840757
367 0.02078363 0.3266424
366 0.01600546 0.3311220
356 -0.07718261 0.4395684
355 -0.06092961 0.4501425
354 -0.06301736 0.4746947
353 -0.05270192 0.3870624
346 -0.05668218 0.3279153
345 -0.0513327 0.3279153
344 -0.04437882 0.2876345
343 -0.04190011 0.3298557
342 -0.0245894 0.3326452
338 -0.001502919 0.2797840
333 -0.09260494 0.3204773
332 -0.001612864 0.322535
331 -0.001573156 0.3709325
313 -0.002300576 0.2830735
311 -0.002165569 0.2907617
309 -0.002775812 0.2912475
282 -0.01406185 0.3043829
281 -0.013195 0.293223
278 -0.3014552 0.2179566
136 -0.6655109 1.2151276
135 -0.6341554 1.1515731
134 -0.002092768 1.1041003
133 -0.538726486 1.240648
132 -0.5913186 1.0453058
131 -0.53967183 0.7007727
130 -0.001779996 0.5850069
129 -0.52713219 0.6372332
128 -0.53059088 0.6372332
127 -0.4848428 0.538797
126 -0.003870772 0.5492105
115 -0.2554249 0.572928
113 -0.003052164 0.5577695
111 -0.005447146 0.6463547
107 -0.007178959 0.8934375
105 -0.002949315 0.4872323
102 -0.41597588 0.5872866
101 -0.002665859 0.4793594
90 -0.6632563 0.7595273
89 -0.9130388 0.8539176
88 -0.007943117 0.9064776
87 -0.9925226 0.7674534
(もし、放射線を放出する核種により、生体影響に差があるならば、グレーやシーベルトという単位で生体影響を定量化することはできず、ウラン型の広島とプルトニウム型の長崎で被ばく量と生体影響が異なることもありうるかもしれないが、そうなるとセシウム被ばくの福島にはそもそもICRP基準は適用できないことになる。)
実際にRERFのデータを用いて、男性被ばく生存者の固形がん被ばくの両市の差を統計ソフトRで被ばく線量ごとに解析してみると、以下のような大きな差がある。 広島では366mGyから365mGyの間で、リスクが正から負に変わっており、単純に言えば365mGy以下では、被ばくによりがんに掛かるリスクは減っているということになる。即ち、この付近にしきい値があるのである。しかし、長崎ではしきい値が現れていない。米軍やRERFの前身であるABCC(原爆傷害調査委員会)のまとめたデータベースのどこかに系統的なエラーがあるとしか考えられない。
なお、本検討では、1990年以前の解析とはことなり、がん発生要因の主要な項目である調査対象者の喫煙状況の影響が正しく反映されるよう、喫煙状況不明者を除いている。このような分析結果は、現在のICRPの基準、即ち、現在の日本を含む法令で定められた基準にも反映されないままであり、被ばく量と過剰相対リスクの関係は直線であり、被ばく線量とがん発生リスクの関係はほぼ比例すると仮定されている。
即ち、366mGy以上の高線量範囲(具体的には3400mGyの範囲での過剰相対リスクが低線量範囲まで線量に比例して低下するという直線しきい値なし仮定(LNT仮定)が使われているのである。その大きな根拠がRERF等による広島・長崎の被爆者データ解析であり、福島の避難区域設定にも使われている。即ち、映画オッペンハイマーで見られるように、日本は太平洋戦争、米ソ冷戦依頼、計3回、米国およびその影響下にあったABCC,RERFとICRPのいい加減なデータベースによる被害を受けたのである。
このようなデータが、ICRPの被ばく基準、即ち、我が国の法律で決まっている被ばく基準のベースなのである。統計精度がある程度確保されているはずの瞬時被ばくのデータベースでさえこのような矛盾に満ちた状況である。いかに不完全なデータベースのもとで我々は放射線影響を判断しているのかがわかる。
評価線量範囲の 1Gy当たりの固形がん発生過剰相対リス
直腸最大線量 (被ばくが0の場合に対するリスク増加比)
評価線量範囲の 1Gy当たりの固形がん発生過剰相対リス
直腸最大線量 (被ばくが0の場合に対するリスク増加比)
(mGy) 広島 長崎
評価線量範囲の 1Gy当たりの固形がん発生過剰相対リス
直腸最大線量 (被ばくが0の場合に対するリスク増加比)
(mGy) 広島 長崎
370 0.05014384 0.3218923
369 0.03921758 0.2621733
368 0.04399446 0.2840757
367 0.02078363 0.3266424
366 0.01600546 0.3311220
356 -0.07718261 0.4395684
355 -0.06092961 0.4501425
354 -0.06301736 0.4746947
353 -0.05270192 0.3870624
346 -0.05668218 0.3279153
345 -0.0513327 0.3279153
344 -0.04437882 0.2876345
343 -0.04190011 0.3298557
342 -0.0245894 0.3326452
338 -0.001502919 0.2797840
333 -0.09260494 0.3204773
332 -0.001612864 0.322535
331 -0.001573156 0.3709325
313 -0.002300576 0.2830735
311 -0.002165569 0.2907617
309 -0.002775812 0.2912475
282 -0.01406185 0.3043829
281 -0.013195 0.293223
278 -0.3014552 0.2179566
136 -0.6655109 1.2151276
135 -0.6341554 1.1515731
134 -0.002092768 1.1041003
133 -0.538726486 1.240648
132 -0.5913186 1.0453058
131 -0.53967183 0.7007727
130 -0.001779996 0.5850069
129 -0.52713219 0.6372332
128 -0.53059088 0.6372332
127 -0.4848428 0.538797
126 -0.003870772 0.5492105
115 -0.2554249 0.572928
113 -0.003052164 0.5577695
111 -0.005447146 0.6463547
107 -0.007178959 0.8934375
105 -0.002949315 0.4872323
102 -0.41597588 0.5872866
101 -0.002665859 0.4793594
90 -0.6632563 0.7595273
89 -0.9130388 0.8539176
88 -0.007943117 0.9064776
87 -0.9925226 0.7674534
米国医学長官のアルコールがんリスク勧告とは ― 2025年01月04日 04:04
ABCやNPRなどによれば
米国外科長官は1月3日に、アルコール摂取と癌リスクとの関連を警告する勧告を発表したとのことである。
ビール、ワイン、蒸留酒を含むあらゆる種類のアルコールを摂取すると、女性の乳がん、大腸がん、食道がん、喉頭がん、肝臓がん、口腔がん、咽頭がんなど、少なくとも7種類のがんのリスクが高まると、ヴィヴェク・マーシー米外科長官はXの投稿で勧告の発表を行った。
https://x.com/Surgeon_General/status/1875150680517931387
この調査で基準としたのは一日にa drinkに対し、two drink やthree drinkでは有意なリスク増加ということだが、では a drinkとはどの程度か
ChatGPTでは
アメリカで「a drink」と言う場合、これは一般的に「標準的なアルコール飲料量 (standard drink)」を指します。標準的なアルコール飲料量には、純アルコールが 約14グラム 含まれています。以下のような目安があります:
ビール: 約12オンス (355 ml)、アルコール度数5%程度
ワイン: 約5オンス (148 ml)、アルコール度数12%程度
蒸留酒(ウイスキー、ウォッカなど): 約1.5オンス (44 ml)、アルコール度数40%程度
となっている。
即ち、缶ビール1缶相当のアルコール量が基準でこれが2缶ならばがんリスクに有意な増加が認められるということである。
Xに投稿されたがん発生絶対リスクの図では、
週にa drinki以下の女性群に比べ 一日にtwo drinkの女性群では絶対リスクが16.5%から21.8%に増えている。
この差が約5%なので、この量の飲酒で100人中約5人のがん発症増となる。
男性では同じく、100人中約3人のがん発症増となる。
では、全く飲まないのならがんリスクはどうなのか。女性で100人中16.5%、男性で10.0%はがん発症するのか。これが今回の報道では明確になっていない。当面はa drink以下のアルコール摂取をお勧めするというのが今回の勧告であろう(と酒好きは解釈したい)。
米国外科長官は1月3日に、アルコール摂取と癌リスクとの関連を警告する勧告を発表したとのことである。
ビール、ワイン、蒸留酒を含むあらゆる種類のアルコールを摂取すると、女性の乳がん、大腸がん、食道がん、喉頭がん、肝臓がん、口腔がん、咽頭がんなど、少なくとも7種類のがんのリスクが高まると、ヴィヴェク・マーシー米外科長官はXの投稿で勧告の発表を行った。
https://x.com/Surgeon_General/status/1875150680517931387
この調査で基準としたのは一日にa drinkに対し、two drink やthree drinkでは有意なリスク増加ということだが、では a drinkとはどの程度か
ChatGPTでは
アメリカで「a drink」と言う場合、これは一般的に「標準的なアルコール飲料量 (standard drink)」を指します。標準的なアルコール飲料量には、純アルコールが 約14グラム 含まれています。以下のような目安があります:
ビール: 約12オンス (355 ml)、アルコール度数5%程度
ワイン: 約5オンス (148 ml)、アルコール度数12%程度
蒸留酒(ウイスキー、ウォッカなど): 約1.5オンス (44 ml)、アルコール度数40%程度
となっている。
即ち、缶ビール1缶相当のアルコール量が基準でこれが2缶ならばがんリスクに有意な増加が認められるということである。
Xに投稿されたがん発生絶対リスクの図では、
週にa drinki以下の女性群に比べ 一日にtwo drinkの女性群では絶対リスクが16.5%から21.8%に増えている。
この差が約5%なので、この量の飲酒で100人中約5人のがん発症増となる。
男性では同じく、100人中約3人のがん発症増となる。
では、全く飲まないのならがんリスクはどうなのか。女性で100人中16.5%、男性で10.0%はがん発症するのか。これが今回の報道では明確になっていない。当面はa drink以下のアルコール摂取をお勧めするというのが今回の勧告であろう(と酒好きは解釈したい)。
ポアソン分布解と波動関数の相似性について ― 2024年11月09日 07:54
統計論におけるポアソン分布の母数λ(単位時間当たりの事象の平均回数)を、その分布の要因となる独立変数と各偏微分係数の積和ととり、その自然関数を取って評価することが一般的である。これは自然関数とすることで、母数が非不値であること、即ち、確率が必ず正値になることが保証できる。なぜなら、自然関数exp(x)は実数xに対し常に正値を与えるからである。
一方、量子論における波動関数は同じく自然関数を用い、exp(iΘ)で表される。ここでiは虚数単位である。オイラーの公式により、これはsin(Θ)+icos(Θ)と同じであり、波動関数がsin波とcos波の合計であることを保証している。
この二つの項(sin関数とcos関数)は、一方が空間依存の波、他方が時間依存の波である。即ち、虚数単位を用いることで、波動関数が空間依存の周期的な波と時間依存の周期的な波の重ね合わせであることを保証している。また、波動関数の2乗が波動関数に対応する粒子の、ある空間、時間での存在確率を表せる。(虚数の自乗が実数になるため)。
即ち、ポアソン分布が対象とする事象は、サッカーの試合ごとの得点分布のような希少事象であるが、この実世界の確率分布が実数の自然関数で表される。一方、電子や光子などの目で見えない粒子の波動関数という理論的確率分布を表す関数が虚数の自然関数で表されるという事実は、自然関数が実世界のみならず、量子論における理論的世界の本質を表しているということになる。この自然関数の関与は直感的にも偶然の相関とは思えない。
一方、量子論における波動関数は同じく自然関数を用い、exp(iΘ)で表される。ここでiは虚数単位である。オイラーの公式により、これはsin(Θ)+icos(Θ)と同じであり、波動関数がsin波とcos波の合計であることを保証している。
この二つの項(sin関数とcos関数)は、一方が空間依存の波、他方が時間依存の波である。即ち、虚数単位を用いることで、波動関数が空間依存の周期的な波と時間依存の周期的な波の重ね合わせであることを保証している。また、波動関数の2乗が波動関数に対応する粒子の、ある空間、時間での存在確率を表せる。(虚数の自乗が実数になるため)。
即ち、ポアソン分布が対象とする事象は、サッカーの試合ごとの得点分布のような希少事象であるが、この実世界の確率分布が実数の自然関数で表される。一方、電子や光子などの目で見えない粒子の波動関数という理論的確率分布を表す関数が虚数の自然関数で表されるという事実は、自然関数が実世界のみならず、量子論における理論的世界の本質を表しているということになる。この自然関数の関与は直感的にも偶然の相関とは思えない。
放射線による白血病等発症の男女差 ― 2024年10月18日 08:16
広島の放影研(放射線影響研究所)が公開している広島・長崎の原爆による1950年から2001年までの間に、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫の罹患データを統計ソフトRで解析してみた。これは10月15日のブログで書いた男女合計のデータを、更に細かく男女別に解析した結果である。
以下の結果から、男女ともに、少なくとも晩発性の血液疾患に関しては200mGy程度に閾値があり、それ以下の被ばく線量ではホルミシス的効果もありうるということになる。急性白血病では被ばく後数年にピークがあると言われているので、このデータは反映していないことに注意が必要である。
なお、高空で航空機搭乗時に被ばくする恐れのある太陽フレアの初期プロパルシブ相でのX線に被ばくしても線量によっては、晩発性の血液病への影響がない可能性もある。
従って、下記記事のCA被ばくは、瞬時でも線量がかなり高いか典型的な急性白血病である可能性が高い。
米国の調査で女性機内乗務員(CA)が乳がんや白血病に一般女性の1.5倍から4倍程度なりやすい(下記サイト)のは、太陽フレアの被ばく機会が多いからではないかと9月14日に書いている。
https://www.arpansa.gov.au/cancer-prevalence-among-flight-attendants-compared-general-population
国際線内での瞬時被ばくが測定できるような計測装置の開発設置が必要である。(現在、μ秒レベルの瞬時被ばくが測定できる小型装置は存在しない。)
男性(広島・長崎合計)
線量範囲 線量偏回帰係数 解析精度
(mGy) ERR /Gy p値
5ー20 -3.149 1.52E-01
5-40 -3.184 1.23E-01
5-60 -3.317 7.77E-02
5-80 -3.788 2.62E-02
5-100 -1.672 2.70E-01
5-125 -1.635 2.22E-01
5-150 -1.089 3.72E-01
5-175 -0.792 4.83E-01
5-200 -1.089 2.85E-01
5-250 0.256 7.89E-01
5-300 -0.044 9.57E-01
5-500 0.213 7.20E-01
5-750 0.851 8.36E-02
5-1000 1.039 1.54E-02
5-1250 1.002 8.04E-03
5-1500 1.415 1.81E-04
5-1750 1.282 2.09E-04
5-2000 1.236 1.68E-04
5-2500 1.406 1.37E-05
5-3000 1.642 3.55E-07
3000以上 1.658 8.74E-08
女性(広島・長崎合計)
線量範囲 線量偏回帰係数 解析精度
(mGy) ERR /Gy p値
5ー20 -1.648 4.55E-01
5-40 -1.768 3.96E-01
5-60 -1.636 3.88E-01
5-80 -2.012 2.42E-01
5-100 -2.756 7.58E-02
5-125 -1.456 2.88E-01
5-150 -1.788 1.36E-01
5-175 -1.397 1.93E-01
5-200 -0.558 5.74E-01
5-250 -0.070 9.36E-01
5-300 0.173 8.26E-01
5-500 0.547 3.29E-01
5-750 0.546 2.01E-01
5-1000 0.407 2.38E-01
5-1250 0.749 2.63E-02
5-1500 0.921 4.85E-03
5-1750 1.055 9.68E-04
5-2000 1.165 2.25E-04
5-2500 1.216 5.97E-05
5-3000 1.269 1.39E-05
3000以上 1.218 1.32E-05
以下の結果から、男女ともに、少なくとも晩発性の血液疾患に関しては200mGy程度に閾値があり、それ以下の被ばく線量ではホルミシス的効果もありうるということになる。急性白血病では被ばく後数年にピークがあると言われているので、このデータは反映していないことに注意が必要である。
なお、高空で航空機搭乗時に被ばくする恐れのある太陽フレアの初期プロパルシブ相でのX線に被ばくしても線量によっては、晩発性の血液病への影響がない可能性もある。
従って、下記記事のCA被ばくは、瞬時でも線量がかなり高いか典型的な急性白血病である可能性が高い。
米国の調査で女性機内乗務員(CA)が乳がんや白血病に一般女性の1.5倍から4倍程度なりやすい(下記サイト)のは、太陽フレアの被ばく機会が多いからではないかと9月14日に書いている。
https://www.arpansa.gov.au/cancer-prevalence-among-flight-attendants-compared-general-population
国際線内での瞬時被ばくが測定できるような計測装置の開発設置が必要である。(現在、μ秒レベルの瞬時被ばくが測定できる小型装置は存在しない。)
男性(広島・長崎合計)
線量範囲 線量偏回帰係数 解析精度
(mGy) ERR /Gy p値
5ー20 -3.149 1.52E-01
5-40 -3.184 1.23E-01
5-60 -3.317 7.77E-02
5-80 -3.788 2.62E-02
5-100 -1.672 2.70E-01
5-125 -1.635 2.22E-01
5-150 -1.089 3.72E-01
5-175 -0.792 4.83E-01
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5-250 0.256 7.89E-01
5-300 -0.044 9.57E-01
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5-1500 1.415 1.81E-04
5-1750 1.282 2.09E-04
5-2000 1.236 1.68E-04
5-2500 1.406 1.37E-05
5-3000 1.642 3.55E-07
3000以上 1.658 8.74E-08
女性(広島・長崎合計)
線量範囲 線量偏回帰係数 解析精度
(mGy) ERR /Gy p値
5ー20 -1.648 4.55E-01
5-40 -1.768 3.96E-01
5-60 -1.636 3.88E-01
5-80 -2.012 2.42E-01
5-100 -2.756 7.58E-02
5-125 -1.456 2.88E-01
5-150 -1.788 1.36E-01
5-175 -1.397 1.93E-01
5-200 -0.558 5.74E-01
5-250 -0.070 9.36E-01
5-300 0.173 8.26E-01
5-500 0.547 3.29E-01
5-750 0.546 2.01E-01
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5-1250 0.749 2.63E-02
5-1500 0.921 4.85E-03
5-1750 1.055 9.68E-04
5-2000 1.165 2.25E-04
5-2500 1.216 5.97E-05
5-3000 1.269 1.39E-05
3000以上 1.218 1.32E-05
AIで原爆放射線と白血病の関係は明確になるか ― 2024年10月15日 17:19
広島の放射線影響研究所が公開している白血病関連のデータは残念ながら1950年よりも以前のデータは無い。これでは終戦後の混乱の中で、原爆被ばく数年内にピークがあると言われる急性骨髄性白血病(AML)の多くが含まれない。しかし、1950年から2001年までの間に、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫の罹患データが公開されており、約120000の対象者に対し、1200件ほどの症例が被ばく線量などのデータとともにリストされている。
AIの医学応用がノーベル賞で注目されているが、ここでは、手元パソコンでできる範囲で、これらの症例と被ばく線量の関係を分析してみた。
(手法は、本ブログ9月3日の固形がん解析と同様、統計ソフトにより、
ゼロ線量(5mGy以下)の被ばく者を基準として、線量範囲を上方に広げていった場合のERR(ERR/Gyとは、ExcessRelativeRisk/Gyの略であり、RelativeRisk(ゼロ線量者の発症リスクを1とした場合の超過分) を単位線量(1Gy)被ばくに換算して表示した値である。ここでは、両市、両性に対する全症例を対象に解析した。
線量範囲 線量偏回帰係数 解析精度
(mGy) ERR /Gy p値
5ー20 -6.144 5.79E-01
5-40 -7.113 3.05E-03
5-60 0.067 9.69E-01
5-80 -0.152 8.97E-01
5-100 0.588 5.44E-01
5-125 0.251 7.36E-01
5-150 -0.457 4.25E-01
5-175 -0.432 3.77E-01
5-200 0.029 9.48E-01
5-250 -0.186 5.94E-01
5-300 0.310 3.09E-01
5-500 0.346 7.61E-02
5-750 0.393 5.45E-03
5-1000 0.488 2.39E-05
5-1250 0.514 4.31E-07
5-1500 0.422 1.16E-06
5-1750 0.480 9.19E-09
5-2000 0.510 3.15E-10
5-2500 0.512 2.69E-12
5-3000 0.503 2.48E-13
3000以上 0.512 1.10E-13
このp値にみられるように信頼できる値を0.05以下とすると一般には750mGy以上でERRが0.5程度になると考えられるが、5-40mGryのp値が0.05以下であり、これを信用すれば血液がんも固形がんと同様、ERRが低線量で負になる可能性もあるということになる。
今後、AI発達とともにがん発症と放射線影響の関係もより明確になっていくであろう。そのためにも、現在日本が保有している原爆による各種がんの発症データの信頼性、精度を交渉する必要がある。その最重要なデータとして、米側が独占している広島長崎原爆線源データの詳細の公開が望まれる。現代の核兵器は1945年当時とは全く異なるメカニズムなので、機微情報ではないはずだ。
AIの医学応用がノーベル賞で注目されているが、ここでは、手元パソコンでできる範囲で、これらの症例と被ばく線量の関係を分析してみた。
(手法は、本ブログ9月3日の固形がん解析と同様、統計ソフトにより、
ゼロ線量(5mGy以下)の被ばく者を基準として、線量範囲を上方に広げていった場合のERR(ERR/Gyとは、ExcessRelativeRisk/Gyの略であり、RelativeRisk(ゼロ線量者の発症リスクを1とした場合の超過分) を単位線量(1Gy)被ばくに換算して表示した値である。ここでは、両市、両性に対する全症例を対象に解析した。
線量範囲 線量偏回帰係数 解析精度
(mGy) ERR /Gy p値
5ー20 -6.144 5.79E-01
5-40 -7.113 3.05E-03
5-60 0.067 9.69E-01
5-80 -0.152 8.97E-01
5-100 0.588 5.44E-01
5-125 0.251 7.36E-01
5-150 -0.457 4.25E-01
5-175 -0.432 3.77E-01
5-200 0.029 9.48E-01
5-250 -0.186 5.94E-01
5-300 0.310 3.09E-01
5-500 0.346 7.61E-02
5-750 0.393 5.45E-03
5-1000 0.488 2.39E-05
5-1250 0.514 4.31E-07
5-1500 0.422 1.16E-06
5-1750 0.480 9.19E-09
5-2000 0.510 3.15E-10
5-2500 0.512 2.69E-12
5-3000 0.503 2.48E-13
3000以上 0.512 1.10E-13
このp値にみられるように信頼できる値を0.05以下とすると一般には750mGy以上でERRが0.5程度になると考えられるが、5-40mGryのp値が0.05以下であり、これを信用すれば血液がんも固形がんと同様、ERRが低線量で負になる可能性もあるということになる。
今後、AI発達とともにがん発症と放射線影響の関係もより明確になっていくであろう。そのためにも、現在日本が保有している原爆による各種がんの発症データの信頼性、精度を交渉する必要がある。その最重要なデータとして、米側が独占している広島長崎原爆線源データの詳細の公開が望まれる。現代の核兵器は1945年当時とは全く異なるメカニズムなので、機微情報ではないはずだ。
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