遠紫外線は所謂放射線に分類されるか2024年11月28日 06:30

 放射線とは即ち電離放射線のことと習った。
 即ち、物質から電子を分離し(電離)、イオン化する能力を持つ放射線である。

 フィリップスのUV-C(遠紫外線)放射装置(アマゾンで2650円で購入できる)は家庭用消毒装置である。この装置の発生する遠紫外線は説明書によれば、波長253.7ナノメートルである。

 水素原子のイオン化エネルギー13.6eVを波長に換算すると91ナノメートルである。(中田宗隆著「量子化学ー基本の考え方16章」(東京化学同人)p.112)
 
 同ページにはこれも遠紫外線となっている。

 水素原子をイオン化する遠紫外線は電離放射線と定義できるが、フィリップスの遠紫外線波長253.7ナノメートルは水素原子のイオン化エネルギよりは低い。
(エネルギーE=hc/λの関係があり、
 ここで、hはプランク定数、cは光速、λが波長なので波長が大きいとエネルギーは小さくなる。)

 従って、253.7ナノメートルは水素に対しては放射線ではないと主張できるようにも思えるが、90ナノメートルは上記のテキストでは遠紫外線である。

 従って、遠紫外線は放射線でもあり、放射線でもない場合があるということになる。太陽からの紫外線はエネルギー的には連続だから、波長90ナノメートル以下の高エネルギーの遠紫外線も含まれるはずである。即ち、それは水素のイオン化も可能な放射線ということになる。

また、水素が太陽光などで励起状態になっているとすると、仮に253.7ナノメートルでもイオン化は可能となる。
 
 水素の電子のエネルギー順位nにおけるエネルギレベルEn(eV)


 En=‐13.6/n/n

である。ここでEnは負で定義されているが、イオン化するということは電子が自由電子(En=0)になることである。即ち、Enの絶対値以上のエネルギーをを外部から電磁波などで与えればイオン化する。

仮に太陽光で励起されnが2(第2励起レベル)となっているならば

 En=‐3.4eV

であり、これは波長に換算すると360ナノメートルである。即ち、フィリップスのUV-C照射装置でもイオン化が可能になる。即ち、放射化することになる。

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