ビッグバンとダークマター、ダークエネルギーの誤解2023年12月28日 06:41

  ビッグバンとは宇宙の始まりは空間の一点が爆発し膨張するというモデルであるとばかり思っていた。これなら、無限の宇宙空間という想像すらできない実在の無限を考える必要がないので、気楽に宇宙が語れる?。

 しかし、放送大学の宇宙の誕生と進化の講義(須藤靖先生)では、それは誤解だという。即ち、光の速度が有限なので、138億年前のビッグバンの直後の宇宙背景輻射による光が天球のすべての方向から来ているのが観測されるのは、ビッグバン時も宇宙が一点から膨張したわけではないことを示している。(ビッグバンという用語は、ビッグバン宇宙論を提唱したガモフの理論をトンデモだと揶揄した学者がつけた名前であり、ガモフは爆発だとか一点から膨張したとかいうことは一言も言っていない。単に膨張して冷却される過程で宇宙のあらゆるものができてきたというモデルである。)

 138億年より昔の時空はどうだったかについては、講義では、「恐らく」その外側にも宇宙は広がっているので、将来、その外側の宇宙も見えるはずだということである。

 ここで、やはり、無限の概念に戻らなければならないのは残念だが仕方ない。それで、宇宙の果てはどうなっているのかについて、今も天文学者は口を濁しているように見えるのだろう。


 さらにダークマターやダークエネルギーの概念である。これはブラックホールとは関係ない、ましてや、ブラック企業とは全く無縁の概念である。宇宙の拡大速度や重力バランスを考えると、現在観測で推定される宇宙の物質では説明がつかず、その数十倍の物質が宇宙には存在しているはずだということで、それがダークマターである。

 また、ダークエネルギーとは、一般相対性理論で、アインシュタインが宇宙の膨張速度を説明するために付け加えたいわゆる宇宙項と深く関係しており、万有引力ではなく、実効的に斥力に相当するエネルギーが宇宙項である。この結果、宇宙の膨張速度は加速しているのである。即ち、現在の想定ではダークエネルギーにより宇宙の膨張が加速しているということになる。

 驚くべきことに宇宙の既知の物質は宇宙エネルギーの5%だけであり(物質とエネルギーは等価だというのが相対論であるが)、残りの95%はダークマターとダークエネルギーだということである。

 この世の95%は未知の部分であるということでますます宇宙論が楽しくなってきた。