Tc-99はどこに消えたのか?2024年03月18日 20:09

 SPECT検査で使用したモリブデン‐99(Mo-99)の娘のテクネチウム-99m(Tc-99m)はガンマ線を出して孫のテクネチウム‐99(Tc-99)に世代交代をしたはずである。しかし、この孫核種はなかなか曾孫核種(ルテニウム-99(Ru-99)に変わらない。変わってくれれば安定なので放射線は出さない。しかし、孫核種のTc-99は平均世代交代(物理用語では半減期ー別に減るわけではなく、別の核種に変換されるだけである。)に22万年もかかる。そのため、世代交代時に放出されるベータ線やガンマ線がなかなか見つからないだけの話である。即ち、半減期が長いということは放射線を出す確率も低いわけだから、実は影響力は小さいということなのである。
 しかし、マスコミは、半減期が長いと、いつまでも無くならないので問題が大きいといういい方になる。それならば、安定核種はいつまでたっても無くならないのだから、放射性物質よりも一番問題が大きいということになる。
 どちらが正しい認識なのか、常識があれば理解はできるだろう。
実は水素の原子核(陽子)ですら、安定ではなく、わずかながら放射線を放出して崩壊する。長半減期が危険だというマスコミの言い方を真似れば、水素こそが最も危険な放射性物質ということになる。陽子は半減期10の30乗年で中間子と陽電子に崩壊することが分かっている。陽電子は電子と反応し、ガンマ線を発生する。即ち、普通の水から勝手にガンマ線が出ているのである。

 ところで、SPECT検査を受けた数千万人の患者、元患者から放出されているTc-99はなぜ、見つからないのか。それは、その崩壊で放出されるベータ線のエネルギーが低い(294KeV)ので、地中や宇宙から放出される放射線(主として1MeVレベルのガンマ線)がTc-99のβ線エネルギーよりも数けた大きいため、環境ガンマ線の減速による低エネルギ―ガンマ線の雑音(バックグラウンドとも称する)に紛れて、検出しにくいのである。即ち、ベータ線検出器は最初にベータ線とガンマ線の合計線量を検出し、次に表面にベータ線のみ遮へいするフィルターを付けてガンマ線のみの線量を検出して、その差分からベータ線の線量を測定するのだが、その差分がバックグラウンドであるガンマ線線量に比べ数ケタ小さいので検出が困難なのである。
 
 検出器精度が仮に良いものができれば、Tc-99は日本中、特に病院や患者の下水から大量に発見されるはずである。しかし、それは、他の放射線の影響に隠れていてわからない。即ち、影響がないということになる。

 地中処分される核のゴミと言われる廃棄物も長期的には現在の病院などから放出されているTc-99と同様の長寿命放射性核種だけになる。
世界には。日本より放射線のバックグラウンドが10倍以上高い地域がある。例えば、インド南西部などである。その地域のがん発生率は日本よりも低いことが報告されている。この事実を考慮すれば、放射性物質が、長寿命だから危険だというマスコミの論理は間違いだということにきずくことができるだろう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yokoyamashindo.asablo.jp/blog/2024/03/18/9668779/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。