瞬時少量暴露と長期少量暴露の違い2025年09月06日 08:45

 暴露とはある外部環境に対し、生体がさらされた場合に影響されることをいう。

 その外部環境は何でもよいが、ここでは飲食物と放射線を取り上げる。

 飲食物の中には薬も含まれる。医食同源ともいうように、体内に摂取するあらゆる物質は飲食物である。

 一般に薬は、摂取間隔に厳密な時間間隔を設定し、一度に大量摂取しないように制限されている。これは、たとえ健康に良いといわれる飲食物であっても、瞬時に大量摂取することで悪影響を及ぼすことがあるためである。

 わかりやすい例でいえば、醬油を一度に2リットル飲むと、死亡することがある。酒の一気飲みと同じである。しかし、醤油も毎日少量摂取することで、健康を維持できる。

 紫外線はどうか。紫外線は適度に毎日浴びることで、ビタミンDが体内に生成され、健康維持に役立つが、紫外線発生器で強力な紫外線を浴びれば瞬時であってもがん発生リスクは上昇する。

 では放射線はどうか。これも紫外線や飲食物と同様なのではないだろうか。
 広島・長崎の被ばく者のがん発生リスクはある被ばく線量以上では明らかに増加している。
 原爆被ばくは瞬時(1マイクロ秒以下)の被ばくである。爆発時間は放射線影響研究所の線源評価報告書DS02に示された値である。

 瞬時被ばくの例としては、年に数回起こる太陽フレアの発生時の瞬時X線被ばくがある。この瞬時被ばくは光速で太陽フレア発生後地球上空に到達し、宇宙飛行士はX線被ばくを受ける。(谷口義明「太陽と太陽系の科学」(放送大学出版会)p.32)

一方、空気によるX線の減衰は減衰係数μと透過する距離dの積の指数関数として表せる。

 I=Io×exp(-μ・d)

μは空気の全吸収係数で約1.08㎝2/g(プライス、西口監修、関野訳、「放射線計測」、(コロナ社)、p.29)であり、密度を乗じることで単位長さ当たりの減衰係数に出来る。

各コードの空気密度から減衰係数を単位計算して求めると

高度      密度 ρ (kg/m3) μ (/cm)
Sea level (0 km)    1.225    2.21E-4
10 km (ジェット巡航高度) 0.4135   7.45E-5
100km 1.0E-7 1.80E-16
200km             2.0E-9        3.6E-8
400 km (ISS付近)  1.0E-12   1.80E-11

となる。ここでE-4は10のマイナス4乗を示す。

 透過中の平均密度をその平均高さでの密度とし、これを上式を用いて各位置間の減衰を求めると、
ISS(国際宇宙ステーション)でのIをIoとすると
I(10㎞)≒Io
I(海水面)=I(10㎞)*3.57E-71

となり、ISS高度とジェット巡航高度では差は殆どない。
一方、海面レベルでのジェット巡航高度に対する比率は3.57E-71倍 となり、大きく減衰するのである。

 大気圧は地表で1kg/cm2だから鉛の比重を10g/cm3とすると空気が鉛厚さで1m程度の遮へいと同等の効果となる。

 これが8月25日の記事で書いた女性客室乗務員(CA)のがん発生率が一般人(海面レベルで殆どを過ごす女性)の3倍程度(下記サイト)になる理由だと考えられる。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29940975/

しかし、瞬間被ばくはCAや頻回高空旅行客だけの問題でも、被ばく者だけの問題でもない。特に日本人は医療被ばくで瞬間被ばくを受ける機会が多い。

 それもX線撮影が多い。CTやがん治療は瞬間ではなく、数分から数時間かけた被ばくだが、X線撮影だけは数μ秒の瞬間被ばくである。

 もちろん、医療での被ばく量を低減する努力は行われているし、総線量に対する制限は満足している。

 しかしそれは年間総線量に対する制限値である。瞬間被ばくはそれでは規制対象にならない単位時間当たりの被ばく線量である。 年間総線量制限は満足していながら、数マイクロ秒で被ばくする高線量率被ばくなのである。現在の国際放射線委員会(ICRP)勧告による法規制には線量率に対する規制条件はない。即ち、海外旅行者や頻回X線撮影を受ける人々に対する瞬時被ばくによるがん発生リスクの防護措置はなされていない。
 一方、福島事故などの長時間被ばく(年間)被ばくに対する基準は厳しく存在している。これが放射線被ばく基準の矛盾した現状であり、21世紀を生きる我々、即ち航空機利用や医療被ばくで瞬間被ばくを受ける我々にとって、無益な規制を強いていていることになる。

 なぜなら、福島事故のような年間数百mシーベルトレベルの被ばくには人類の歴史の中で免疫が出来ている。P53など数十のDNA修復遺伝子が知られている。

 しかし、DNA修復は細胞内の化学反応であり、時間がかかる。瞬間的に大量に被ばくを受けると免疫機能が間に合わない。

 原爆も上空での太陽フレア被ばくもX線撮影も20世紀になって初めて人類が経験する被ばく形態なので、免疫がないということである。

ポアソン解析での母数と説明変数の関係分析2025年08月12日 07:03

 あるRのスクリプトを読んでいたら

母数のベースラインの式が

exp(a+blog(x)+clog^2(x))

だという。なんでこうなるのか。

ポアソン回帰分析のテキスト(豊田秀樹「Rで学ぶ回帰分析入門」(東京図書)によれば、

log(λi)=β+Σβixij

なので

λ=exp(β+log(βjxj))

となってもよさそうではある。ただ、quadratic splineとしたところがよくわからない。

ChatGPTの答えは
ChatGPT
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2次スプライン関数(二次多項式スプライン)が a(年齢)でスムーズ になる理由は、
「つなぎ目(ノット)で多項式をつなぐときに関数値と**1階微分(傾き)**が連続するようにパラメータを制約している」からです。
1. 普通の二次関数だと

1本の二次式(例 y=β0+β1a+β2a2y=β0​+β1​a+β2​a2)だと、全域で同じ曲率を持ちます。
年齢ごとの増加パターンが変化する場合はうまくフィットしません。
2. スプラインは区間ごとに別の二次式

年齢70歳に**ノット(knot)**を置くと、

a≤70a≤70 の区間と

a>70a>70 の区間
で別々の二次式を使います。

3. 「スムーズ」になる条件

スプラインは、単に式をつなぐだけではなく、ノットで以下の条件を課します:

関数値が連続
fleft(70)=fright(70)
fleft​(70)=fright​(70)

1階微分が連続
fleft′(70)=fright′(70)
fleft′​(70)=fright′​(70)

これにより、年齢70歳で段差や折れ目がなく、自然に曲率が変わる形になります。
4. LSSでの log(a/70) 形式との関係

LSSのモデル式
cslog⁡(a/70)+bslog⁡2(a/70)+gslog⁡2(a/70)⋅I(a>70)
cs​log(a/70)+bs​log2(a/70)+gs​log2(a/70)⋅I(a>70)

は、

log⁡(a/70)log(a/70) とその2乗で「全域の曲線」を作り、

I(a>70)I(a>70)(指示関数)をかけて70歳以上に追加の曲率 gsgs​ を入れる
ことで、「70歳で滑らかにつながる」二次スプラインを実現しています。

5. イメージ

70歳を境に曲率を変えるが、接続部では段差・折れ線がない

高齢側だけ追加のカーブを入れられるので、
若〜中年と高齢期で異なる上昇パターンを表現可能

のようなもので、結構恣意的なモデルである。
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ところで、Rではデータセットでの目的変数と説明変数の関係が、かなり恣意的にある関数で変わる暗黙の了解がある。これを知っていないとRスクリプトを読み間違えることになる。それがFamilyという変数である。ポアソン回帰分析を使用する場合にはFamily=poissonと指定するがこの指定により、回帰式の変数扱いが勝手に変わるので注意が必要だ。その説明が下記である

ChatGPT
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glm() の式や変数の解釈は family の種類によって変わります。
特に Poisson 回帰(family = poisson())では、リンク関数(link = "log" が既定)やオフセットの扱いが他の回帰とは異なります。
1. 基本的な考え方

glm() は
g(μ)=Xβ+offset
g(μ)=Xβ+offset

という形でモデルを構築します。

$\mu$ : 応答変数の期待値 E[Y]E[Y]

$g(\cdot)$ : リンク関数(family によって異なる)

$X\beta$ : 説明変数と係数の線形結合

offset : 固定的に加える値(係数は推定しない)

2. familyごとの違い
family デフォルトリンク $\mu$ の意味 オフセットの役割
gaussian identity 平均値 単に切片に足される
binomial logit 確率 pp logit(p) に加える定数
poisson log 発生率・強度 対数スケールで加える(例: 期間や人口の補正)
3. Poisson回帰の場合
3.1 モデル式

Poisson回帰(link = "log")では
log⁡(μi)=Xiβ+offseti
log(μi​)=Xi​β+offseti​

となり、指数を取ると
μi=exp⁡(Xiβ+offseti)
μi​=exp(Xi​β+offseti​)
3.2 オフセットの典型例

事故件数を「観測時間」や「母集団規模」で補正する場合
例えば観測時間 titi​ がある場合:

glm(y ~ x1 + x2 + offset(log(t)), family = poisson, data = df)

ここで log(t) が直接線形予測子に加わります。
つまりモデルは
log⁡(μi)=Xiβ+log⁡(ti)
log(μi​)=Xi​β+log(ti​)
μi=ti⋅exp⁡(Xiβ)
μi​=ti​⋅exp(Xi​β)

の形になります。
4. なぜ Poisson では log が絡むのか

Poisson分布の期待値は非負でなければならないため、リンク関数として log を用いるのが自然です(指数を取ると必ず正になる)。
オフセットも log スケールに置かれるため、「乗算効果」をモデルに組み込むのに便利です。
5. よくある混乱点

gaussian では offset は単純に足し算されるが、poisson では log スケールに足される

Poisson 回帰で観測期間を補正するとき、オフセットに生の期間 tt を入れるのではなく、log(t) を入れる必要がある

family を変えるとリンク関数が変わるため、同じ式に見えてもパラメータの意味が変わる
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このような整合性、一貫性のないスクリプトの世界に生きている我々はどこに連れていかれるのだろうか。AIを制御できるのは誰なのだろうか。

広島と長崎の被ばく者データを非公開にしたワケは2025年08月08日 03:46

 広島の原爆の日のニュースを見ていたら、この原爆の記録は広く公開されて世界中に発信すべきだという関係者の声が多くあった。当然のことだろう。


 その最も詳しいデータセットである被ばく者寿命期間調査(LifeSpanStudy)の2009年版LSS-2009が担当機関の放射線影響研究所(RERF)から昨年非公開となった。その理由は明確にはされていないが聞いたところでは被ばく者の個人情報保護のためだという。

 しかし、この非公開以前のデータセットには個人を特定できるようなデータは含まれていない。個々のデータにおける対象者の年齢やがん発生の有無、被ばく線量ははわかるが、それと個人名をどうやって結び付けられるのだろうか。誕生日が示されているわけではない。同年齢者は数千人レベルである。発がん者は数万人レベルである。被ばく線量は、米国の担当のため、個々の対象者の遮蔽計算をどのようにしたのか日本側ですら把握できていない。データ数は10万単位である。このような大規模コホート調査データに対し個人情報保護が重要だという名目で非公開にするのなら疫学データはどんなものも非公開になってしまうだろう。どうやったらこの疫学データから個人を特定できるのかRERFには例示してもらいたいものだ。その説明はこれまで一度もない。


 では、なぜそれまで10年以上にわたり公開してきたデータをRERFは突然非公開にしたのだろうか。LSS-14という昔の不完全なデータセットは公開したままではあるが、このデータセットはLSS-2009データセットとは異なり、被ばく以外の重要な発がん要因である喫煙のデータが含まれていないので、正確な統計処理はできないことを承知の上で公開のままにしているのかもしれない。

 下記リンクは、京大関係者がLSSなどの被ばくと発がんの関係についての調査研究の代表例をわかりやすく解説した資料である。

  https://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/~manabe/tanakashiro_cebe2019.pdf

 この解説のまとめ(シート19、シート30等)に書かれているようにいずれの論文も

「直線閾値なし(LNT)モデルは否定されなかった」

という結論になっている。

 逆に言えば、これらの論文は直線閾値なし(LNT)モデルが否定されないことを目的としているとも考えられる。

 即ち、どんな低線量でも被ばく影響があるという趣旨のLNTモデルをこれらの論文の著者は守りたいということである。

 ところが、本リンク論文のシート6に書かれているように、このLNTモデルを否定する論文が近年多数発表されるようになった。

 これがある関係者にとっては問題なのだろう。

 なぜなら、このLNTモデルが現在の各国の法規制データの引用元であるICRP(国際放射線防護委員会)勧告の基本となる考え方なのである。このLNT仮説が否定されると被ばく規制関係のすべての法体系が(医療被曝も含め)根拠を失うことになる。これは機械設計で言えば、JIS規格やANSI規格を否定するようなものなのである。原子炉設計関係者にとってもこれは大変な事態である。これまで、配置設計や避難計画などに用いてきた法規制が根拠を失うことになるので、それが非安全側だろうが安全側だろうが、現状を変えたくないのである。

 私的にはLNTモデルは安全側でも非安全側でもなく、被ばく線量率によりどちらにでもなりうると考える。即ち、太陽フレアのような高空での瞬間被ばくでは、ICRPの年間1mSv被ばくを守っていても線量率が瞬間的に非常に高い場合には発がんするし、たとえ年間100mSvでも年間を通してほぼ一定の被ばく(即ち低線量率被ばく)なら発がんリスクは小さいまたは負になりうるというものである。

 下記の論文(WAMモデル)のような考え方がICRPのLNT仮説よりはより正確だと思う。即ち、原爆のような瞬間被ばくと長時間低線量被ばくでは同じ線量の被ばくでも人体影響は全く異なるという考えである。


 LNT仮説や現在の法規制にはこの考え方が入っていない。原爆の被ばく時間(数マイクロ秒)は年間時間(約3千万秒)の12桁下だが、ICRPの最近の勧告でも、LNT仮説での線量率補正は原爆被ばく者データをベースに作成した基準に対し、低線量率の場合は2倍許容線量を増加してよいという補正をしただけである。

 このような勧告はアルコールで例えれば、18リットルを1分で飲む一気飲みの場合と180ccを1分かけて飲む場合の差のさらに10桁以上の差を同一と混同したようなものである

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00223131.2016.1164635

 だが、このWAMモデルの妥当性を広島、長崎のデータで検証しようとしても、RERFがLSSデータを公開しないのであればほぼ不可能である。

 広島長崎の原爆データの詳細が公開されているはずの米国国立公文書館の調査にでも行くしかないが、そんな費用と時間を持っている人はほぼいないであろう。また、RERFは日米政府の共同出資の機関ではあるが、日本人の被ばくデータはRERFしか持っていないかもしれない。

 マスコミはその使命として、被ばく者のコメントを伝えるだけでなく、RERFなどの公的機関が広島・長崎のデータを広く世界中に周知するよう働きかける責務もあると思う。


 なお、広島と長崎はともにマイクロ秒のオーダーだが、原爆構造のさにより被ばく時間は数倍の差がある。
(7月26日記事参照)

 これをRERF評価では混同し、被ばく者データを同一式で線量率を無視して両都市一括で扱っている。この不正確さがLNT仮説の維持に役立っていると思うが、被ばく者のLSSデータが非公開になった現在、正確な検証のしようもない状態である。

変数変換が許されるワケ2025年08月07日 04:42

 ポアソン解析などの目的変数が説明変数の指数関数となるような場合によく利用される、変数変換だが何故このような勝手な変換が回帰分析で許されているのか、長年疑問だった。


 しかし、これはスケーリングの変換だと思えば納得できるように思える。

 3次元座標で、XYZ座標から極座標への座標変換のようなものだ。ある特定のデータの表示方法が直線状の座標点からθ、φのような曲線座標に変換されても同じ点を表すと思えば納得できる。

 対数変換した目的変数のデータ点の方が説明変数のデータ点と関連性を簡単な式で示せるという話は、球面上の点をXYZ座標で示すより、極座標で示すほうが簡単だということと同じようなものだ。


 一対一対応できる変数変換ならどんな変換でもありうるが、その変換が説明変数と目的変数の関係性をうまく表現出来ればいいということになる。

 自然現象は指数関数で表せることが多いので、対数変換が線形データである説明変数との関係を簡単化するというのもなんとなく理解できる気がする。

長崎と広島の発がんリスク差の原因は?2025年07月26日 10:24

 昨日の朝のNHKでも長崎の女性被ばく者のがん発症率が高いという趣旨の報道があった。

 なぜ、長崎女性被ばく者の発がん率が高いのか、広島被ばく女性ではそこまで高くないようなのに、その差はどこから来るのか。

 統計データ上は確かにかなりの差があるようだ。
男女平均でも大きな傾向の違いがある。(本ブログ1月27日記事等)

 ではこの原因はどこにあるのか、1月27日ブログでは線量評価データ自体の問題を指摘したが、ほかにも可能性はありそうだ。

それは以下の3点である。
(1)残留α放射能の違い
(2)中性子源の違い
(3)爆発時間の違い

(1)残留α放射能の違い
広島原爆はTNT換算で約16キロトン、長崎原爆は約21キロトンと言われており、核分裂生成物の発生量には大きな差はない。また、核分裂生成物からの放射能は1か月単位で崩壊していくので仮に空気中に残っていても被ばく影響は小さく、広島長崎の発がんリスクの差を説明できそうにない。
しかし、両原爆の核物質には大きな相違がある。
広島原爆は主にウラン‐235であり、長崎原爆はプルトニウムー239
である。原爆が爆発してもすべてのこれらの物質が核分裂するわけではなく、その消費割合は下記のChatGPTとのQ&A1によれば広島で最大1.5%、長崎原爆で最大約20%である。即ち、

残留量は
広島で約63kg
長崎で約5kgとなる。

これらは重金属なので簡単には拡散せず、爆心付近に落下した可能性がある。各物質の半減期と放出されるα粒子のエネルギーは

ウラン‐235 7億年 αエネルギー約4.3MeV
プルトニウム‐239 7万4千年 αエネルギー約5.1MeV

で長崎原爆のほうが量は一桁少ないが、半減期は4桁小さいので、残留放射能のα線源強度としては、広島原爆に比べ

長崎原爆が3桁高く、
ベクレル数では

広島原爆 20MBq
長崎原爆 1.2GBq

になる。仮に爆心付近に落下したこれらのα放射体を吸入したとすれば、α粒子による発がんリスクは長崎のほうが3桁高いということになる。

しかし、現在の被ばく評価では、爆発時の即発ガンマ線及び即発中性子による被ばく量しか対象にしておらず、この被ばく量と発がんリスクだけを関係づけているので、両原爆におけるこのα粒子吸入による効果は無視されている。

福島事故でも放出されたセシウムの強度は半減期とは関係なく低下している。同様に、仮に両原爆の残留放射能が爆心付近に落下しても現在では検出されないであろう。

(2)中性子源の違い

長崎型原爆はプルトニウム原爆であるため、不完全爆発を防ぐために中性子源を広島型(ウラン原爆)より数倍多く含んでいた。即ち、爆縮後に中性子を大量にプルトニウムに注入して、瞬間的に爆発させるという工夫である。このため、下記ChatGPTとのQ&A2によれば、長崎型では
ポロニウム(Po-210)は約50Ci(1.9GBq)
含まれており、
一方、広島型は明確ではないが
ポロニウム(Po-210)は数Ci(0.1GBq程度)
しか含まれていないようである。

Po-210とは半減期138日で5.2MeVのα粒子を発生する放射性物質である。このα粒子がベリリウムと爆発の瞬間に混合して大量の中性子を発生する。

 すべてのポロニウムが瞬時になくなるわけではない。半減期が138日ということは、爆発の瞬間にはほぼ製造時と同じだけ残っており、爆発後も付近に拡散してしまったために、被ばく者が吸入した可能性も考えられる。

要因(1)(2)をまとめると、長崎型原爆ではポロニウムは上記のプルトニウムよりもベクレル数では1.6倍大きいので爆心付近に落下して吸入した場合にはプルトニウムよりも影響が大きい。

 ポロニウム、プルトニウムともに長崎原爆の被ばく評価では無視されている。測定もすでにできない状態だが、仮に爆心付近に落下して被ばく者が吸入していれば、広島との発がんリスクの差を説明する有力な要因となろう。

(3)の爆発時間については、特に定量化は困難だが、放射線影響研究所による各原爆の爆発時間は1μ秒以下とされている。
 ChatGPTによる下記Q&A3によれば、爆発時間(即発放射線を放出している時間)は
広島原爆:0.8μ秒
長崎原爆:0.5μ秒

である。長崎原爆/広島原爆の出力比はTNT換算で21/16=1.3

なので、長崎原爆/広島原爆の時間線量率としては、

 0.8/0.5×1.3=2.1倍

となる。

 下記リンクに引用されている論文で解説されているように、時間線量率ががんリスクに影響するとすると、数倍の相違の影響の可能性がある。但しマウスとヒトでは影響度が異なるかもしれない。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00223131.2016.1164635






Q&A1
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Q:広島原爆、長崎原爆の各々について、核分裂したウラン、プルトニウムの割合はどの程度だったでしょうか。
ChatGPT:

はい、ご質問の「広島原爆・長崎原爆において、投下された核物質のうち実際に核分裂した割合」は、非常に重要な工学的・物理学的ポイントです。
✅ 結論:核分裂した核物質の割合(推定)
原爆 使用核物質 全体の核物質量 核分裂した量 核分裂割合
広島(リトルボーイ) ウラン-235 約 64 kg 約 0.6~1 kg 約 1%〜1.5%
長崎(ファットマン) プルトニウム-239 約 6.2 kg 約 1 kg 約 15%〜20%

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Q&A2
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Q:LittleBoyに中性子源はないということでしたが、https:/en.wikipedia/wiki/Little_Boy#Assembly_detailsの図にはPolonium-Beryllium Initiatorが含まれていますがどちらが正しいですか
ChatGPT:

結論(先にポイントだけ)

最終的に実戦で投下された Little?Boy には、確かにポロニウムーベリリウム (PoーBe) の内部中性子源が取り付けられていました。

コードネーム “ABNER”。4 個の小型カプセルがターゲット側(細い「スパイク」=インサート)の周囲にねじ込まれていました。
ウィキペディア

ただし 設計当初は「中性子源は不要」と考えられており、後から“保険”として追加された ため、

① 一部の技術史・解説書は「Little?Boy にはイニシエータが無かった」と書く

② Wikipedia などの図面には “Polonium?Beryllium Initiator” が描かれている
という 二つの記述が混在 しています。
両方とも背景を踏まえれば矛盾しません。

なぜ「不要」とされていたのか

ウラン?235 は自発核分裂で毎秒約70n/g の中性子を放出します。

ガン型は部材が合体するまで約1ms かかるので、「背景中性子だけでも連鎖反応はほぼ確実に発生する」と見積もられていました。

したがって ABNER が無くても爆発は起きる → 1945 年の Smyth Report や戦後しばらくの公開資料では中性子源に触れていません。

それでも「付けることにした」理由
課題 ABNER 追加で得られたメリット
統計ゆらぎ:背景中性子が少ない瞬間に合体すると出力が数 % 落ちる恐れのため、衝突と同時に 10の2~10の3乗 個の中性子を一括注入し、再現性を確保

早期暴発(プレデトネーション):合体途中で中性子が入ると出力が下がる Po‐Be カプセルは衝突時の衝撃で初めて混合→タイミングを固定
安全性:機体事故時に臨界にならないよう余剰反応度は小さい 追加しても臨界裕度への影響は無視できる程度

ABNER は Po‐210 を数Ci 程度しか使わず、プルトニウム爆弾の「Urchin」(約50Ci)よりずっと小さい簡易な構造でした。
“後付け・少量” という経緯が「無かった」とする誤解を助長した、と言われます。
ウィキペディア
情報が食い違う背景

機密指定の長期化

Fat?Man 用「Urchin」は 1940?50 年代に断片的に公開されたのに対し、ABNER の詳細は 1990 年代後半まで公式には言及されませんでした。

早期の技術史が Smyth Report に依存

そこにイニシエータが載っていないため、派生解説も「Little?Boy には無い」と記述しがち。

近年の再構築研究(J.Coster Mullen など)

散逸していた組立手順の図面・Tinian での証言を統合し、Po‐Be カプセルの存在を実証。

この成果が Wikipedia の図や最新の専門書に反映され、「ある」説が主流になった。

まとめ
観点 内容
最終仕様 4 個のポロニウムーベリリウム (ABNER) イニシエータあり
技術的必須性 ほぼ不要 だったが出力の安定化と保険のため追加
資料の食い違い 初期公開資料に記載が無かった + 機密解除時期の差
したがって 「イニシエータなし」も「あり」も、どの段階の情報を指しているかによって正否が変わる、というのが結論です。
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Q&A3
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広島型原爆の爆発時間は?
ChatGPT:

広島型原爆(リトルボーイ:Little Boy)の「爆発時間」とは何を意味するかによって異なりますが、主に次の3段階に分けて説明できます。
🔷 ① 核分裂連鎖反応の持続時間

本当の「核爆発時間」、すなわち連鎖反応によってエネルギーが放出されている時間です。

ウラン235の核分裂は1世代ごとにおよそ 10ナノ秒(ns)= 0.00000001秒。

核爆発ではおよそ40〜80世代の連鎖反応が続くとされているため:

10 ns×80=約0.8 μs
10 ns×80=約0.8 μs

▶ 答え:核爆発そのものの持続時間は約0.7〜1マイクロ秒(μs)程度。
🔷 ② 光・放射線の初期放出時間

放出されるガンマ線、中性子、X線は光速で放出されるため、発生直後の1マイクロ秒以内に周囲数百メートルに達します。

このため、「初期放射線の照射時間」もおおよそ1〜2マイクロ秒程度です。

🔷 ③ 火球形成・爆発として目に見える時間

核分裂で発生した熱と圧力が空気を加熱して火球(fireball)を形成。

火球が10メートル超に膨らむまでに約1ミリ秒(0.001秒)。

数百メートルに達するのに約1秒前後かかります。

▶ 目に見える「爆発の時間」は数ミリ秒〜数秒。
🔶 まとめ表
現象 広島型原爆での時間
核分裂連鎖反応 約 0.7〜1 マイクロ秒
初期放射線の放出 約 1〜2 マイクロ秒
火球形成開始 約 0.1〜1 ミリ秒
火球の最大展開 約 1〜2 秒
衝撃波が地上に到達 爆心直下なら 0.1〜0.3 秒程度
🔍補足

爆発時間という言葉が「核エネルギーの解放に要する時間(連鎖反応の時間)」を意味するなら、1マイクロ秒以内です。

広島の原爆では、約63 kgのウランのうち約800 gが核分裂し、そのほとんどのエネルギーが1マイクロ秒足らずで一気に放出されたと考えられています。

必要であれば、**火球の温度・成長モデル(Taylor–Sedov解)**や、DS02の放射線パルスモデルについてもご紹介できます。
あなた:
長崎型原爆の爆発時間は?
ChatGPT:

長崎型原爆(ファットマン:Fat Man)の「爆発時間」も、広島型と同様に、次のように3つの段階で考えると正確に理解できます。
🔷 ① 核分裂連鎖反応の持続時間(=本当の核爆発時間)

使用核種:プルトニウム239(Pu-239)

プルトニウムの核分裂連鎖反応もウラン同様、1世代あたり約10ナノ秒(ns)。

連鎖反応は約40〜50世代で終了(Puの特性上、世代数はやや少ない)。

10 ns×50=約0.5 μs
10 ns×50=約0.5 μs

▶ 答え:核分裂反応そのものの持続時間は約 0.5 マイクロ秒(μs)以内
🔷 ② 初期放射線の放出時間

核反応と同時に、中性子線・ガンマ線・X線が光速で周囲に放出される。

**爆縮が完了し、臨界状態に到達した瞬間(μs単位)**に全方向に放出。

▶ およそ 1〜2 マイクロ秒以内に放射線放出が完了。
🔷 ③ 火球形成と爆風拡散(視覚的な爆発時間)

核分裂で放出されたエネルギーが周囲の空気を加熱し、**火球(fireball)**を形成。

初期の膨張速度は超音速。直径10メートル以上に膨張するまでに:

約1ミリ秒(0.001秒)
約1ミリ秒(0.001秒)

最大火球(200〜300 m)には1〜2 秒程度かかる。

衝撃波は空気中を秒速330 m程度で進むため、爆心地近傍への衝撃波到達は0.1〜0.5秒。

✅ 時間スケールまとめ(長崎型)
現象 時間
核分裂連鎖反応 約 0.5 μs(マイクロ秒)
初期放射線放出 約 1〜2 μs
火球形成開始 約 0.1〜1 ms(ミリ秒)
火球最大膨張 約 1〜2 秒
衝撃波到達(地表) 約 0.1〜0.5 秒(距離に依存)
🔍 特徴的な違い(広島型との比較)
要素 広島型(ウラン) 長崎型(プルトニウム)
核分裂持続時間 約 0.7〜1 μs 約 0.5 μs
反応の速さ やや遅い 非常に速い(爆縮による高密度)
爆発効率 約 1.38%(約800g分裂) 約 13%(約1.0kg分裂)
中性子源 不使用(自然中性子) Po-Be中性子源を精密タイミングで使用
🔬 補足:ファットマンの爆縮過程

ファットマンは爆縮型で、爆薬による対称圧縮でプルトニウム球を臨界まで縮小。

この爆縮プロセスは約10〜20マイクロ秒で完了し、その直後に核反応が一気に開始。

爆縮タイミングが早すぎても遅すぎても、核反応が不完全になってしまうため、中性子源の発火タイミングが極めて重要。

t分布とp値の悩ましい関係2025年07月16日 19:24

p値がどうしても感覚的に理解できないので、ChatGPTに質問したら下記のような質問と回答であった。

以下のQ&Aを定性的に解釈してみる。

ここでt値とは仮定した平均値と標本平均の差を標本分散、標本数で割った形になっている。

即ち仮定した平均というのは帰無仮説という、実際にはありえないほど極端な仮定での平均値である。例えば、ある薬を飲ませたところ、血圧は標本平均と同じだったという場合、この薬の効果はゼロなので、帰無仮説での仮定した平均値は標本平均と同じ値になる。従ってt値は非常に大きな値になる。

t分布とは中心極限定理により、標本平均の分布が正規分布に近づくことを利用した分布であり、標本数や標本分散にも依存する。

t値が異常におおきいということはt分布の端に来ていることになる。すなわち、それ以上の値となる確率の積分値ーこれがp値なのだがーが非常に小さくなることを意味する。

p値の基準は一般的には5%を採用することになっている。すなわち、t値およびt分布から得られるp値が0.05以下であれば、ありえない平均値であるとして、その帰無仮説自体が棄却、即ち帰無仮説が否定される。

 その結果として、帰無仮説の反対の対立仮設が正しいと採択される。
(薬が血圧変動を生じないことが帰無仮説なので)ここでは、薬が血圧の変動をもたらしたことが対立仮設である。

 すなわち、不正確な言い方ではあるが、薬が何らかの血圧変動を生じたという説が妥当だということをp値の評価により証明されたことを示している。








***************************

Q:
t分布とt値、p値の関係をわかりやすくお願い
ChatGPT:

もちろんです!「t分布」「t値」「p値」の関係を、初学者にもわかりやすく説明します。
🔷 1. そもそも何をしたいのか?

私たちは「ある主張が正しいか?」をデータを使って調べたい。

たとえば:

「薬Aは効果があるか?(効果なし=帰無仮説 H₀、効果あり=対立仮説 H₁)」

🔷 2. t分布とは?

「標本の平均と母平均の差」が偶然起こる範囲かどうかを判断するために使う分布。

標本が小さい(n < 30)ときや、母分散が分からないときに登場します。

「正規分布」に似ているけど、裾(端っこ)が広い分布です(小さいデータでは不確かさがあるため)。

🔷 3. t値とは?

t値 = 標本平均と母平均の差を、ばらつきで割ったもの

具体的には:
t=xˉ−μ0s/n
t=s/n
​xˉ−μ0​​

ここで:

xˉxˉ:標本平均

μ0μ0​:仮定された母平均(帰無仮説の値)

ss:標本の標準偏差

nn:標本サイズ

👉 t値は「母平均からどれだけズレているか?」を表す指標。
🔷 4. p値とは?

その t値 以上のズレが、偶然で起こる確率です。

小さければ小さいほど、「偶然とは考えにくい」=「差が有意である」。

たとえば:

p=0.03p=0.03 → 偶然でこんな差が出る確率は 3%。

よく使う基準: 5%(= 0.05)未満なら有意と判断。

🔷 5. 3つの関係をまとめると:

t値をデータから計算する

自由度に応じたt分布を使って、そのt値に対応するp値を求める

p値が小さいなら、「帰無仮説は怪しい」と判断

🔶 例:薬の効果を見るt検定

帰無仮説 H₀:「薬の効果はない(差はゼロ)」

標本平均 = 105、母平均 = 100、標準偏差 = 5、n = 25

計算すると:
t=105−1005/25=51=5
t=5/25
​105−100​=15​=5

→ 自由度24のt分布で、t=5のp値は めちゃくちゃ小さい(p < 0.001)

→ 結論:「効果がない」は棄却、「薬は効果がある」かもしれない!
✅ まとめ
用語 意味
t分布 t値がどれくらいの確率で起こるかを示す分布
t値 標本のズレの大きさ(どれだけ母平均と違うか)
p値 そのズレ(t値)が偶然起こる確率

Q:
仮定された母平均とは
ChatGPT:

「仮定された母平均」というのは、検定の出発点(帰無仮説)で「正しい」と仮定している母集団の平均値のことです。これは t検定やz検定をする際の基準になる値です。
🔶 例で説明します
💡 たとえば:

ある薬を飲んだ後の血圧の平均を測ったとしましょう。
健康な人の平均血圧(治療前の状態)は 120 mmHg だとします。
🔷 1. 仮定された母平均とは?

この場合の「仮定された母平均」とは:

「この薬には効果がないとしたら(=帰無仮説),
血圧の平均は 120 mmHg のままであるはず」

という仮定の下での 母平均 = 120 を指します。
🔷 2. t値を計算する式の中の「μ₀」
t=xˉ−μ0s/n
t=s/n
​xˉ−μ0​​

ここでの μ0μ0​(ミューゼロ)が、仮定された母平均です。
🔶 なぜ「仮定された」なのか?

実際の母平均はわからない。

そこで「ある値(例えば 120)」を仮に正しいと置いて、

**それと自分のデータがどれくらい違うのか?**を評価する。

🔷 目的は?

その仮定(μ₀)は、データと比べておかしくないか?
つまり:

データがその仮定から大きくズレていたら → 「その仮定、怪しい」となる

ズレが小さければ → 「その仮定でもおかしくない」

✅ 要するに…
用語 意味
仮定された母平均(μ₀) 「帰無仮説で正しいとされている平均値」
t検定の目的 「この μ₀ に比べて、データの平均は有意にズレているか?」を判断
🔚 例まとめ:

仮定された母平均 μ0μ0​ = 120

標本平均 xˉxˉ = 125

標準偏差 s = 5、n = 10

⇒ t値を計算し、p値を見て判断!

他にも、「2群の差を見るt検定(二標本t検定)」では「差がゼロ(μ₁−μ₂=0)」が仮定される、というバージョンもあります。そちらも必要なら説明します。

発がんリスクに関する長崎原爆と太陽フレアの微妙な関連2025年07月09日 07:02

長崎被ばく者の発がんリスクは広島被爆者の発がんリスクに比べ同一線量で2倍程度大きいことは1月27日の記事で書いたが、その理由は線量評価だけだろうか。

細胞内の分子は高速で移動している。二河成男「生命分子と細胞の科学」(放送大学出版会)p.173によればグルコースのような小さな分子では1ミリ秒で1μメートルは移動する。

一方、放射線を受けたDNAはP53などの細胞のがん化を防ぐ腫瘍抑制タンパク質により修復される。この修復速度が被ばくした線量率よりも十分早ければがん化は防ぐことができる。

従って、線量が同一でも線量率次第でがん化が生じたり、生じなかったりすることになる。

残念ながら、現在の国際放射線委員会(ICRP)或いは我が国をはじめ多くの規制基準には殆ど線量率に関わる基準はない。低線量なら許容値を2倍にするといった程度である。

しかし、太陽フレアという瞬時被ばく現象がある。これが、米国航空業界のCAのがん発症率を一般人女性の3倍程度に上げているという説がある。(本ブログ2月22日記事参照)

地上に暮らす一般人は太陽フレアの高エネルギーX線を殆ど受けないが、1万メートル以上の航空機に滞在するCAは太陽フレア被ばくを受ける機会が一般人の3倍以上はあるということで説明がつく現象である。

今年は太陽フレアの頻発年であるので、海外旅行ではそのリスクは増加することになる。太陽フレアX線は瞬間的な被ばくなので、時間線量は十分小さいが、線量率は大きい。しかし、残念ながらその正確な測定値は公表されてはいないようだ。

これらの事象を総合して考察すると、長崎の原爆では広島よりも時間線量率が2倍程度大きかった可能性がある。即ち、爆発時間が半分程度に短かったのである。これならば、TNT換算値に線量は比例しても線量率は倍になるので、がん発症率は高くなり、長崎被ばく者のがん発症リスクが、広島被爆者よりも大きい理由付けができる。

広島の放射線影響研究所の報告には、両原爆共に爆発時間は1μ秒以下と書かれているだけで、正確な値は公開されていない。これが発がんリスクに大きく影響することは明らかになってきているのにその最重要データすら軍事機密の闇の中である。

これは、原爆では爆縮した後に中性子発生装置が起動するのであるが
そのメカニズムが微妙すぎるので秘匿されているのだろうとは想像できる。長崎原爆は爆縮機構がついていたが、確実に爆発させるために中性子発生装置の強度が広島よりも強く、瞬間的に爆発した可能性もある。しかし、広島、長崎の時間線量率の区別ができなかった結果、ICRPの基準では線量率が無視されて総被ばく線量だげが発がんリスクのパラメータになってしまった。そして、太陽フレアのような瞬時被ばくだが、線量は小さく測定に掛からないような事象での発がんは見逃されるという状況が現存している。そして、福島のような低線量率長時間被ばくだけが問題にされているのである。

原爆の被ばくも高空での太陽フレア被ばくもX線撮影被ばくも人類が20世紀まで経験もしたことのない高線量率被ばくである。そのような人類が免疫機構を得ていない被ばく形態ではがんリスクも高まることは容易に想像できる。

しかし、インドのケララ地方のように、低線量率だが年間被ばく量が高い地域での発がん率が本当に低いのかといった議論だけが注目されている。

もしかするとX線検査のような高線量率短時間被ばくのほうがCTのような低線量率長時間被ばくよりも発がんリスクは高いのかもしれないが、医療被ばくの評価も結局はICRP基準に基づいており、時間積分線量のみで発がんリスクが議論されているのが悲しい現状である。

これらの議論をはっきり決着させるためにも、トランプは米軍に命令して、TNT換算値だけでなく、両原爆の爆発時間、即ち時間線量率の正確な値も日本側に知らせるべきである。

トランプが広島・長崎の原爆を肯定する発言をするならば、日本政府にはこの要求をする権利と義務があると思う。

AIで個人が特定される日2025年06月05日 05:27

 報道によればトランプ大統領が留学希望者のSNS発信情報履歴から米国へ不利益な学生の入国拒否ができるよう関係機関に指示しているらしい。

 少なくとも民主主義国家では、政治家の選挙において、投票者の個人名は匿名となっている。これは個人名を明らかにした場合には、自由意思による選挙が不可能になるからであろう。憲法もそれは保証しているはずである。

 SNS等で個人を特定するには、名誉棄損など発信内容に法的な問題があり、且つ、裁判所が認めた場合のみプロバイダーが発信者のIPアドレスを通報するという一連の手続きが必要になる。

 SNSなどで匿名が許されるのは投票で許されるのと同様、社会的公正の実現のためには必ずしも個人情報をすべて明らかにする必要はないということだろう。特に日本のような個人の主権が明確に確立していない社会では発言の自由を確保するために必要なことである。

 SNSで匿名を必要としない人々は芸能人や評論家のような個人名で仕事をすることでメリットを得る場合が多いと思う。実名で発信するほうが内容に責任を持たせやすいが、そのような場合が社会の公正さにどの程度影響するかはケースバイケースだろう。

 しかし、トランプ大統領の政策では、主義主張により、個人を差別することになる。現在は、留学生だけだが、そのうち、某社会主義国家のように一般人も含めて入国拒否される可能性もある。

 その際に用いる手段として、AIというものもありうる。膨大なネットの発信情報から、個人を特定するのは計算機と最近AIで利用されているある種のアルゴリズムを使えば比較的容易である。しかも、すでに多くの人々がSNSで様々な主張をしている。このブログも例外ではない。

 米国がそのような個人情報とSNS発信情報を結びつけるのはそれほど難しくない。何しろネット情報のほとんどがサーバーに蓄積され、それを所有し利用できるのは大手IT企業主であるマスク氏などのクラウド領士と呼ばれる数名の人物である。

 クラウド領士と政治権力が結びついているのが現在の米国の姿である。米国に自由に渡航することが、ロシア以上に困難になる日は意外に近いかもしれない。

 AIも過去の様々な技術と同様、権力者のみが自由に使用できる状況は不幸な結果をもたらすだろう。それを防止できる簡単な手段はまだ見つかっていない。

 AIなんて、使用者が賢ければ問題はないと思っていたが、権力者だけが自由にできるようなAI技術は防ぐ必要がある。

Pythonは配列が0から始まりRは1から始まるがその勘違い対策も2025年04月11日 08:04

以下の回答部分はすべてChatGPTなのでご注意ください。

2000年時に21世紀はいつから始まるかなんて議論がありましたがこれですっきりするかもしれません。

あなた:
なぜRでは配列が1から始まり、Pythonでは0から始まるのですか、その歴史的経緯は
ChatGPT:

これはとても面白い質問です!RとPythonで配列のインデックスが異なる(Rは1から、Pythonは0から)理由には、それぞれの歴史的・哲学的背景が関係しています。
🔹 Rが1から始まる理由
1. RはS言語の後継

Rは1970年代にベル研究所で開発されたS言語をルーツに持っています。

S言語は統計解析を目的に設計されており、統計学者や数学者が使うことを意識していました。

数学ではベクトルや行列の添え字は通常「1から始まる」ので、S言語でもそれに倣いました。

2. ユーザー目線を重視

Rはユーザーフレンドリーさを大事にしており、数学的直感に沿う「1始まり」が自然だと考えられました。

例えば「第1要素」は数学的にもR的にも同じ感覚で扱えます。

🔹 Pythonが0から始まる理由
1. C言語の影響

PythonはC言語で実装されており、Cの設計思想を受け継いでいます。

C言語ではポインタ演算が基本で、「配列の先頭アドレス + 0」で最初の要素を指します。これが0始まりの原点です。

2. 計算効率と表現の簡潔さ

0始まりのほうがオフセット計算に都合が良い。 たとえば、配列の長さnのとき、インデックスは 0 から n-1。

スライス(部分配列)のとき、a[i:j] で「i番目からj番目の手前まで」が自然に扱える。

3. Pythonの設計思想:実用本位

Pythonは科学計算や教育、プログラミングの実用性を重視しており、効率と明快さを優先しました。

🔸 まとめ
言語 インデックス開始 理由
R 1 数学者向け、S言語由来、直感的
Python 0 C言語由来、計算効率、スライスの都合

必要なら、それぞれの言語でインデックスをカスタマイズする方法や、0始まりのRの書き方のトリックなんかも紹介できますよ!興味ある?
あなた:
それより、両方使うユーザが勘違いしない方法は
ChatGPT:

いい視点ですね!
RとPythonを両方使うユーザーにとって、インデックスの「ずれ」問題はかなり罠になりやすいです。
特に同じデータを両方で処理する場面では、バグの温床になります。
🔰 両方使うときに勘違いしないための方法・工夫
✅ 1. コメントや変数名で「何基準」かを明示

# Rの例(1始まりを明示)
first_element <- x[1] # 1-based index

# Pythonの例(0始まりを明示)
first_element = x[0] # 0-based index

👉 one_based_index / zero_based_index のように名前に入れてもOK。
✅ 2. 自分ルールを作る

「Pythonでは必ず0ベース」

「Rでは常に1ベース」
→ 言語に合わせて常に従うクセをつける

✅ 3. スライス処理の時は特に注意

x[2:5] # Python: 3番目〜5番目手前 → インデックス2,3,4(要素3つ)

x[3:5] # R: 3番目〜5番目 → インデックス3,4,5(要素3つ)

→ どちらも3つ取り出すけど、指定方法が違う!

🧠 意識的に「何番目の要素なのか」と「何の言語か」をセットで考えることが大事。
✅ 4. 共通データはインデックス列をつけておく

たとえばCSVに書き出すとき、**明示的に「ID」列(1始まり)**を入れておくと、あとで混乱しにくい。
✅ 5. 自作ヘルパー関数を使う(慣れてきたら)

Pythonで「R風」にアクセスする関数も作れます。

def r(x, i):
return x[i - 1] # R風の1始まりでアクセス

使い方:

x = ['a', 'b', 'c']
print(r(x, 1)) # 'a'

R側でも逆に python_index <- r_index - 1 として変換すればOK。
💡 最後に:頭の中で言語を切り替える

R → 人間の感覚(第1, 第2…)

Python → 機械の感覚(0から数える)

という風に、**言語ごとの「脳内スイッチ」**を明確にしておくのがコツです。
一つの言語で作業しているときは、そっちに100%染まるのが安全。




追加質問2
RのコードをそのままPython化したい

ChatGPT
RコードをPythonに変換するための基本ルール
✅ 1. インデックス:1始まり → 0始まりに変換

R:

x <- c("a", "b", "c")
x[1] # "a"

Python:

x = ["a", "b", "c"]
x[0] # "a"

👉 すべて i → i - 1 に置き換える必要がある。
✅ 2. スライス:RとPythonは終了位置が違う

R:

x[2:4] # 2番目〜4番目 → 要素2,3,4

Python:

x[1:4] # インデックス1〜3 → 要素2,3,4

👉 Rの a:b は「a〜bを含む」
👉 Pythonの a:b は「aからb手前まで」
✅ 3. for文のループも注意

R:

for (i in 1:length(x)) {
print(x[i])
}

Python:

for i in range(len(x)):
print(x[i])

👉 Rは1〜n、Pythonは0〜n-1で回す。
🛠️ 自作ヘルパーでR風にする(1始まりで扱いたい場合)

def r_get(x, i):
return x[i - 1]

def r_set(x, i, value):
x[i - 1] = value

例:

x = ["a", "b", "c"]
print(r_get(x, 1)) # "a"
r_set(x, 2, "B") # x[1] = "B"
print(x) # ["a", "B", "c"]

🧪 簡単な例:Rの処理をPythonに
Rのコード:

x <- c(10, 20, 30, 40)
sum(x[2:4])

Python版(正確に変換):

x = [10, 20, 30, 40]
result = sum(x[1:4]) # x[1], x[2], x[3]

🔄 まとめ:R → Python変換時の注意点チェックリスト
処理 Rの感覚 Python変換の注意
インデックス 1から -1する
スライス 末尾含む 末尾-1にする
ループ 1〜n 0〜n-1
配列長 length() len()
要素追加 c(x, y) x + [y] or append()

「このRコードをPythonにしてほしい」って具体例があるなら、それをもとに変換もできるよ。あるいはPandas/Numpyベースにしたい場合の書き方も出せるよ!

長崎原爆が福島でも被害を広げたワケ2025年03月24日 05:15

 昨日、記したのオッペンハイマーの映画では、彼がトリニティ実験を行った後、同じ型のプルトニウム原爆を長崎に落とすよう依頼されるまでの経緯が描かれていた。

 オッペンハイマーはネバダの砂漠でトリニティと呼ばれる、長崎の原爆のための爆発実験を責任者として行ったわけだが、その際に、爆心から数キロの距離に兵士を多数配置し、被ばくの影響を調べる様、軍部から依頼されていた。トリニティの実験は成功したのだが、その出力は精度よくわかってはいなかったので兵士は3キロほどの距離にいたため、殆ど急性の症状はでなかったのである。映画でも各研究者がバラバラの出力を予測したことが描かれている。

 日本の敗戦ののち、米ソの冷戦が本格化すると考えていたトルーマン大統領は、原爆が兵士に及ぼす影響のデータを確実なものと従ったのだが、プルトニウム原爆はプルトニウム240のために、濃縮ウランほど確実には爆発しない。そこで、広島で濃縮ウランで確実に日本にダメージを与えた3日後に長崎にプルトニウム原爆を落とし、被ばくデータを日本人を使った人体実験を再度行ったのである。

 従って、米軍首脳としてもオッペンハイマーらにとっても、長崎原爆とトリニティの爆発力は同一でないといけないはずである。現に、現在、両者の爆発力をネットで調べると、
 
長崎原爆(ファットマン):約 21キロトン(21,000トン)
トリニティ実験:約 20キロトン(20,000トン)

と5%の差しかない。これはプルトニウム原爆の不安定さ(プルトニウム240などの自然崩壊の統計的変動や爆縮装置の微妙な差)を考慮すれば異常なほどよく一致した値となっている。
トリニティか、長崎原爆かどちらか或いは両方とも間違った値になっていることは以上の経緯からほぼ確実である。

 このよく一致した数値は米政府向けに当時の米軍やオッペンハイマーらロスアラモスの上層部が相談して作った数値だとしか考えられない。

 これを現在でも証明できる方法を見つけることができた。

 広島の放射線影響研究所(RERF)が公開している広島・長崎の被ばく者発がんデータを各市毎に分けて分析すると最後の表に示したように、全く異なる結果になることが分かったのである。

 このデータの被ばく線量はRERFの米国人側担当者が評価した値なのである。(原爆の爆発力は軍事機密ということで日本側は米側から供給されたデータをそのまま受け取ることしかできない仕組みになっている。)

 ところが、RERFから公表されている人体への被ばく影響関連データは、広島;長崎の両市のデータを合わせた評価値だけである。各市毎に分離して評価したデータは出されていない。
 この結果、低線量領域では、発がんの被ばく線量にしきい値があるのかないのか不確かになっているのである。本来、被ばく線量により両者を評価しているのだから、被ばくの場所でこの値が異なることはあり得ないはずで、どちらかのデータが操作されたとしか考えられない。広島の被ばく生存者と長崎の被ばく生存者の数は同程度である。

 この表の低線量領域(1000mGy以下)での発がんに関する過剰相対リスクは広島では負と長崎では概ね正で傾向が逆転している。即ち、両市を合わせて評価すれば不確かさは大きくなり、線量0でちょうど過剰相対リスクが0近くになるようにできており、線量が低くても人体影響が生じるとするLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)仮説を支持するかのようなデータになっている。

 上記の経緯を考慮すれば、長崎の被ばくデータ、即ち、長崎の線源データには何らかの意図的、系統的な操作がされたと考えるのが自然である。
 
 福島事故など原子力災害時の対応への影響はここから生じている。このような操作されたデータが現在の低線量での被ばく影響を法的にも保証しているLNTモデル(しきい値なし直線影響モデル)のベースデータになっている。LNTモデルはどんな低線量被ばくでも発がんリスクがあるというモデルでなのである。

 即ち、このLNTモデルが国際放射線防護委員会が各国政府に勧告している被ばく量規制の基準の評価法に採用されており、福島事故での避難区域の線引きにも用いられている。そして多数の事故関連死者が出ている。

 日本は、長崎でも多数の被害者を出したうえ、福島事故への対応でも米軍による原爆の間接的被害を受けているのである。

 以下は、統計ソフトRによる広島と長崎の男性被ばく生存者の固形がん発症リスクの計算結果である。この表でERRとは過剰相対リスクであり、被ばくしていない住民に対し、どの程度発がん事象が生じるかの比率から1.0を引いた数値である。この値が0になった線量範囲の最大値がしきい値に相当するが両市で傾向が全く異なるのが分かる。

対象被ばく線量
範囲(mGy)  広島男性ERR   長崎男性ERR
 0-3400      0.53229    0.55920
 0-3000      0.52917    0.54893
 0-2500      0.57073    0.55257
 0-2000      0.60734    0.62076
 0-1750      0.57683    0.62492
 0-1500      0.56950    0.49506
 0-1250      0.68868    0.56793
 0-1000      0.68024    0.54412
  0-750      0.57822    0.2096
  0-500      0.36171    -0.07064
  0-300      -0.28841    0.89491
  0-250      -1.12378    -1.37368
  0-200      -1.52555    1.51706
  0-175      -2.32424    2.23158
  0-150      -2.44334    2.20752
  0-125      -1.37516    1.92733
  0-100      -1.53605    2.19552
   0-80      -3.14243    0.98108
   0-60      -2.66847    -2.03801
   0-40      -12.4006    -10.3098
   0-20      -12.6825    13.0406
   0-5       -61.4725    119.8396