二人の天才とSMRの微妙な関係2022年04月26日 17:30

孫正義氏とビルゲーツ氏は仲が良いらしい。よく写真にお二人で映っているが、これは過去の話なのかもしれない。

孫正義氏が設立した自然エネルギー財団は、最近このような報告を出した。
https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20210528.php

この小型モジュ―ル式原子炉(Small Mojular Reactor,SMRと略される)であり、米国ではビルゲーツはSMRのメーカであるテラパワー社を主宰している。
この報告ではSMRの欠点を指摘しつつ、すべての電力エネルギーを自然エネルギーだけでは賄えないので、その分を何とかするためには、SMRの研究開発は、許容範囲であると言いたいらしい。
この曖昧と思える結論は、孫氏とビルゲーツ氏のエネルギセキュリティに関する温度差を反映したものかもしれない。どこかに忖度がなければよいのだが、結論が曖昧な理由が分かったように思う。

なお、上記のリンクで、自然エネルギーで8割賄えると記載されているが、これは、ビルゲーツ及びこの報告の著者が住む米国のことで、日本には当てはまらないはずだが、この記事にはそのような注釈はない。単に日本語訳と書かれているだけである。このような日米の気象条件の差を敢えて無視するような態度が、軽水炉では福島事故を招いた。このような日米の環境相違点が重要であることを認識できず、読者に誤解をあたえるような関係者に危惧を覚えた。

知床観光船事故のデジャブ感2022年04月26日 19:11

知床観光船事故の船長や会社情報を知って、デジャブ感に襲われた人も多いだろう。
それは、数年前の碓氷峠でのスキーバス転落事故である。
あの時の管理が悪い会社と大型バスを運転したことがない新人運転手の組み合わせだった。
そして、今回は、海も船も詳しくないらしい社長と昨年、長崎から単身赴任してきたという、新米船長の組み合わせである。
但し、多少の相違もある。
テレビ情報が正しいのであれば、社長は運航は大丈夫だと思ったと話したらしい。事故当日の朝、港で、船長に「今日はやめておいたほうがいい」と忠告した別会社の関係者が、船長は何も言わずにいってしまったそうだ。
この二つのエピソードを考え合わせると、社長は船長に出航を指示した可能性がある。船長が運航の絶対権限を持つと聞いていたが、バス会社同様、船会社も規制緩和とかで、過当競争にさらされていた影響なのかもしれない。この会社だけの特殊事情があったにせよ、中小企業の経営状態は悪くなる一方のようだ。大手メーカーも技術継承が難しいという状況では、このような会社で運航技術を継承できないのは当然だろう。まして、リストラの後釜要員として入社した船長が社長の指示を拒否できなかったという状況をもたらした政策にも大きな瑕疵があったと思う。船体の検査のような表面的なことだけでなく、会社組織、従業員の管理、権限の明確化までふくめた規制の強化がここでも求められるが、バス会社やタクシー会社だけに留まっていた政府、国会にも大きな責任がある。

船長は長崎で水陸両用船の船長をしていたようだが、温かい静水海面しか経験がなかった船長を雇い入れ、北海の海への運航を独断で命じたのであれば、船長以上に社長に大きな責任があるのは明確だろう。