帰無仮説と対立仮説2024年01月05日 04:27

両方とも統計用語であるが、分かりにくい日本語訳である。

単純に偶然仮説と必然仮説と訳せば良かったのだ。

ある事象が基準から外れた場合、それが偶然だと思う事が帰無仮説(きむかせつ)である。
それが必然だと思う事が対立仮説である。

ここでポイントは偶然でなければ、必然なのだが、統計論では、必然という事は統計論の本質上使えないので仕方なく対立ーalternative-という用語を使ってしまったことである。alternativeにそれほど哲学的な意味は無いと思うが、なぜか学者はもっともらしい四文字熟語を使いたがるものである。

もう少し正確に言えば、観測結果が偶然に生じたと考える事が帰無仮説で、ほほ必然的に生じたと考えるのが対立仮説である。

そこで、どちらの仮説でも採用すれば、過誤ー真実から外れる事ーが発生する。 それぞれ第一の過誤(α)と第二の過誤(β)である。
ここは翻訳ができなかったようだ。統計論のテキストではギリシャ文字がそのまま書かれている。どちらを採用するにしても過誤は必ず発生する。

統計論では真実は分からないことになっている。
だからと言って、用語も分かりにくくする必然性は無い。

それでもいいと認める事を虚無仮説と名付けたい。


ところで、通常の統計処理では、データ数や得られた平均値、分散を用いた数値ー対象条件によりz値またはp値と呼ばれるーをまず計算する。次に、帰無仮説が正しいとして中心極限定理で想定される分布を設定し、この分布の端5パーセント以内にその計算値がある事を確認する事で、その結果は帰無仮説とは両立しない、即ち帰無仮説は棄却できると結論する。即ち、その結果が得られた事は必然性が有る、統計的に有意であるという手順を踏む。なぜこんな面倒な分かりにくく手順が標準になっているのか、偶然なのかもしれない。p値は現代統計論の祖フィッシャー先生も単なる目安だと話されていたようで、人によっては、意味はあまり無いーというくらいだ。

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