誤解を招く放射能用語2024年01月31日 04:48

 基本的な用語が誤解を招くことは多い。
 放射能関係では、よく言われる放射線と放射能の使用時の混乱があるが、それは専門学者の責任でもある。

 放射線は正しくは電離放射線であり、物質を電離できるだけの高エネルギーを有する放射線である。
 一方、放射能は、放射線を発生できる能力をいうが、転じてその能力を有する物質も放射能と言ってしまう。これは正しくは放射性物質である。
 従って、放射性物質と放射能(放射能力)を混同しないで使用することが重要である。

 更に、半減期なる用語がある。これもかなり誤解を招く。放射性物質が半減するまでの期間なのだが、この減という漢字が間違いともいえる。
 減ったりはしない。別の物質に変換されるだけなのである。従って、半減期は「半変期」という用語の方が誤解を招かない。

 セシウム-137の「半変期」は30年である。30年で半分がバリウム-137に変換されるだけなのである。

 地球の年齢は、主にマントルに含まれるウラン-238(半変期45億年)と崩壊(実際には変換)してできる鉛-206(安定核種)の比率から推定できる。
 即ち、地球が出来たときから、ウラン-238(陽子数と中性子数の合計が238のウラン)は崩壊していき、α線とβ線を出しながら鉛-206(陽子数と中性子数の合計が206の鉛)に最終的に変換される。
 鉛-206への変換割合が時間により決まっているからこそ、逆に地球の年齢が46億年と推定できるのである。最初に100個のウラン-238があり、その約半数、50個が鉛-206になっていれば、46億年経過したことになる。(半減期45億年と46億年の差は丸め誤差である。)

 このように地球上の生命体は大地からも多くの放射線を浴びながら生存してきた。これは年間最大でも数百ミリシーベルトでの慢性的な被ばくである。
 しかし、20世紀に入り、ヒトは文明の進化の結果、二つの特殊な放射線を浴びることとなった。一つは、原爆による瞬間被ばくであり、もう一つは航空機利用による太陽フレア発生時の高空での瞬間被ばくである。これら二つの被ばくにより統計的に有意ながん発生の増加が報告されている。

 今年から太陽フレアの活動期に入るそうである。航空機利用は必要最小限にしたほうが良いかもしれない。

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