直下型地震から生き延びる方法2021年10月09日 06:03

 一昨日、山下公園を歩いきながら、知人に「この公園は関東大震災のがれきを集めて埋め立てた土地だそうだ」と話したその夜に、関東南部は震度5の地震に襲われた。
 この地震はプレート境界型だが、影響が大きいのは、活断層での直下型地震である。改めて生き延びる方策を見直してみたい。そのため、約10万人の死者を出した関東大震災の詳細な調査データを参考にした。(諸井孝文、武村雅之、「関東地震(1023年9月1日)による被害要因別死者数の推定、日本地震工学会論文集、第4巻、第4号、2004)
 約3万人の死者を出した神奈川県では、死者数を原因順でみると、住宅倒壊、火災、津波と土砂崩れ、工場等の倒壊の順となっている。
 当時は高層ビルなどはないが、工場倒壊をビル倒壊に置き換えて考えてみる。
 まず、住宅倒壊だが、耐震基準が強化された現在の普通の住宅では家具などによる圧死をさけることであろう。
 現在では、火災が大きな死亡要因と考えられる。上記論文では、地域ごとの世帯焼失率と死者数の比例関係があると論じられている。ビルは住宅に比べ地震でも火災発生は少ないであろう。住宅密集地にいた場合は窓ガラスに注意しながら近くのビル街に逃げるのが良いように思える。更に、近くのマンションなど燃えにくいビルに逃げ込むことも考えられる。
 関東大震災の死者約10万人のうち、本所被服廠跡地の大公園に避難した住民3万5千人が周辺の火災竜巻の熱風で亡くなった。住宅街に囲まれた公園が避難地に指定されている場合、このような火災竜巻の発生のリスクを考慮して避難する必要がある。竜巻は平坦地で発生しやすいので、平地の住宅地では、公園を避けたほうがよいように思う。
 意外なのは、津波と土砂崩れである。海沿いや川沿いから離れることはもちろんだが、地下街や、地下鉄に乗っていた時は特に留意すべきだ。海沿いの地下を走る地下鉄内で停電になることを想定する必要がある。スマホのライトを頼りに地下から逃げられるかチェックしておこうと思う。
 また、横浜近辺は特に土砂崩れによる死者が多くなるのではないだろうか。関東大震災当時とは比べられないほど多くの家屋ががけ崩れ危険地帯に建っている。山津波といった大規模な崩落も考えられる。地震時に崖崩れ地帯にいたら、走って逃げる必要がある。
 工場の倒壊だが、現在に置き換えれば、高層ビルの倒壊だろうか。これは、震度7以上ならば、あり得ないことではない。ガラスの雨を避けながら、近くの低いビルに逃げ込むのが良いように思う。高層ビル内にいた場合には、ビルの中心部に移動し、倒壊や隣接ビルとの衝突に備えると多少は生存確率が上がりそうだ。
 免振ビルは水平方向の振動に対する免振なので、その構造物が直下型地震の鉛直方向加速度に耐えられるのか、検証しておいた方が良いだろう。すでに耐震基準を超えるような鉛直加速度が観測されているので、直下型地震では耐震基準も十分安全とは言えなくなっている。
 現在の生活で特に問題になるのは、車運転中や高速道路上での地震対応だろうか。
車の場合、常にカーラジオを付けておき、地震発生をすぐに捕捉する必要がある。車からの逃げ方は、車の周囲の状況によるが、一般道路では、上記の住宅地などでの対応と同様となる。
 しかし、高架の高速道路上では、車を止めた後、事故にあわずに地上に降りられるかである。すぐに車を降りると他車に衝突される危険がある。降下できる地点を常に確認しながら運転することが重要だろう。
 
 いずれにせよ、絶対的な対策はないが、上記のような心構えがない場合との生存確率の差は1桁以上あるのではないだろうか。

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