広島・長崎の被ばく者データを見直す必要性2023年12月23日 05:09

放射線に絡む全ての社会現象は、国際放射線防護委員会(ICRP)の被ばく防護に関わる勧告・指針に依拠した法律・基準に大きく影響されている。今回の福島事故処理水放出騒ぎも同じである。

この大元であるICRP勧告自体が間違っている可能性が大きい。その被ばく基準の科学的根拠は、広島・長崎の被ばく生存者のがん発生調査に大きく依存している。しかし、広島と長崎では、放射線量とがん発生率の関係が異なっている。それが単に定量的に違うだけならまだよいが、定性的にも違う。即ち、広島ではある線量範囲でがん発生率が減少するのに、長崎では増加しているのである。その時の比較対象者は、原爆投下時に各市の中心から20キロ以上離れた市外位置住民であり、被ばく線量は0と評価されている。

なぜこのようなことが生じるのか、原因は二つ考えられる。

一つは、調査データに不整合がある場合である。例えば、市外位置住民のがん発生データの見積もり方と被ばく住民ではがん発生数の評価方法が両市の間で異なっていた事が考えられる。
がん発生数と言っても単純では無い。そのがんが、同一人の別の場所から転移したものか、無関係に次のがんが発生したものかは、当時の医学レベルでは医師により判断が異なっていたことは大いにありうる。
被ばくゼロでのがん発生数が数倍異なれば、被ばく効果は逆転しうるのである。なぜなら、被ばく以外の効果が勝るからである。その多くは、喫煙によるもので当時は多くの日本人が、女性も含め喫煙習慣があった。がんが喫煙によるものか、被ばくによるものか、新陳代謝によるものかは今でも分からない。

更に両市で異なるのは、原爆のタイプである。広島は濃縮ウラン型で、長崎広島はプルトニウム型である。このため、原爆の構造が大きく異なる。ガンマ線の被ばくが線量の多くを占めるとはいえ、中性子の寄与がどのていどだったのか、地形の影響がどうなのか、今でも議論のあるところである。悲しいことに、軍事機密ということで、その評価の詳細は、米国から日本にはかいじされていない。当時はソ連との冷戦が予想されており、トルーマン大統領が、簡単に大量生産できると思ったプルトニウム型の実験を長崎ですかさずやりたがってのは理解できなくも無い。
しかし、線量評価の詳細、特に、ファットマン原爆の構造も含めて日本側に開示すべきだろう。今も、肝心の放射線線源データは簡単な1ページの表のみであり、担当は米国人に限られている。

もう一つの要因としては、被ばくデータやがん発生データが正しいとしても、その統計処理法が、間違っている場合である。

例えば、喫煙効果と放射線効果は個別のものとして評価されているいる。タバコには、燐酸肥料を通して花崗岩にあるポロニウム210という放射性物質が含まれている。この喫煙にがん発生は、喫煙効果なのか、被ばく効果なのか判然とはしない。仮に、両市の住民のタバコ原料に違いがあれば、原爆の被ばく影響と喫煙効果を混同した評価になっていても不思議ではない。

いずれにせよこのような疑問点だらけのICRP基準でマスコミや政府が福島事故や原発を議論している事態を見直すことから始めなければ日本に将来は無い。日本は科学技術しか頼れない資源小国なのだから。

ドライアイの安全、安価な治し方2023年12月16日 05:37

 ドライアイの原因は上下瞼の内側に数十個並んでいるマイボーム腺が詰まり、本体、瞳表面を覆っている涙の膜の表面にあるべき油分が薄くなって、涙が蒸発してしまうことにある。

 これは眼科医や薬局でドライアイ用の目薬で一時的に治すこともできるが、このマイボーム腺の詰まりの原因である固形油分を溶かしてしまうことが根本的な治療法になる。固形油分は瞼付近を体温以上に温めればよい。やけどするほど熱く温める必要はない。

 温めるだけだから目薬よりも安全、安心で副作用も考えられない。

 しかし、瞼を温める手軽な方法がない。朝晩風呂に入ってゆっくり蒸しタオルを使えればよいがそれも時間と手間がかかる。

 ところで、蒸しタオルマシーンという、家庭用の小型マシーンがネットでは3千円から購入できる。(サイトと年式で大幅に価格が異なるので注意が必要ですが最新式でなくても機能に大きな差はない。)

https://item.rakuten.co.jp/zakkaya-bigsmiles/rt_0063_towel_warmer/?variantId=r-sku00000002&scid=af_pc_etc&sc2id=af_113_0_10001868&icm_agid=&gclid=Cj0KCQiAj_CrBhD-ARIsAIiMxT9SFv-hVxgItvZgF9xUkobR959XVWhz5XU67oMFXrqfT_kQUCLCMq4aAk-9EALw_wcB&ifd=57&iasid=wem_icbs_&icm_acid=255-776-8501&icm_cid=18507537738



価格が高いのはこれに付属している圧縮紙タオルの専用パッケージで、プラスチック容器に圧縮紙タオルが入っているのだが、紙パック20枚入りで1000円程度はするようだ。しかも、これはどこで購入できるのかよくわからない。

 しかし、この蒸しタオルマシーンの構造を調査したところ、この専用カートリッジは上記の目的のためには不要であることが分かった。

 本来の専用パッケージを装着する孔に、小さな圧縮紙タオルを上部から落とし、タオル感知部の上部にタオルを置けば、普通に動作する。

 その際、落下させる圧縮紙タオルとしては、直径2㎝のものを一個使う。百均で売られていたもので、20個入り110円なので、正規パッケージ品の10分の1の価格である。

 この直径2㎝の圧縮紙タオルは、近くの百均で見つけたが、もしなければ、下記サイトから見つかるはずである。
https://monolog.r-n-i.jp/item/4972822411332

 これを1個上記マシーンの孔に落として、上の押しボタンを三回長押しすると不思議なことに下のトレイが開き、お湯と膨張途中の紙タオルが出てきた。ここでもう1個紙タオルをトレイのお湯の上に置けば、2個の円筒状の蒸しタオルが出来上がる。

 このようにしてパソコン脇の机上で作った2個の蒸しタオルを広げて両目に載っければ、ドライアイはなくなる。
 
 但し、マイボーム腺の詰まりがすぐに消えるわけではなく、これを数日間朝晩続ける必要はある。

 今のところ、この治療を断続的に続け、痛みは消えた。また、医者の目薬をつける必要もほぼなくなった。

 これまで、何万円かを眼科医と目薬に使ってきたが、この蒸しタオルマシンと百均の圧縮紙タオルのセットで安い費用で治療できたことになる。
特に、医者のドライアイ目薬をつけると目やにが目じりに固まって気になるが、これはその心配がない。

 また、このセットは、簡単な眠気ざましやお肌に優しい簡易パックとしても使えるかもしれない。使用後、キーボードなど机の周りを清浄に保つのには最適である。ティッシュペーパーの消費量も大幅に下がることになるのでお勧めである。

 なお、この蒸しタオルマシーンは水タンクに水を入れて使うが、水を貯めっぱなしにしておくとカビやウイルスの増殖が進む。最近は浄水器と称して、塩素を除去した水を供給する蛇口が多い。この蛇口から出た水を貯めておくと、浄水器なしの蛇口の水、即ち塩素入り水道水よりも危険である。数日貯めた水は廃棄して清潔を保つことが重要だ。

指痛と無線マウスの関係のその後の状態2023年12月15日 06:25

 11月25日の記事で、下記のように書いた。
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 半年前から右手中指の関節間に痛みを感じるようになった。きっかけはスマホの非接触型充電機能があるスマホフォルダーがダッシュボードについた車で長時間運転をした時である。そのフォルダ-と右手の距離は数センチメートルだった。

 その後、中指の痛みは治まらず、時々痛みの個所も中指の中で移動するようになってきた。また、その痛みも耐えられないほどではないが強くなってきたような気がする。

 そこで、これには無線マウスから発する電磁波が関係するのではないかと思いつき、先日、有線マウスに取り換えてみた。(キーボードは有線のままである。)

 その結果、なぜか右手中指の痛みは治まったのである。
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 その後の経緯であるが、使っていた有線マウスが家人のパソコンで必要になり、別の有線マウスを100円ショップで購入した。(本当に110円で買えた。)

 この有線マウスを現在使用しているが、指痛は再発していない。

 ただ、パソコンとは関係ないが、先日、車のダッシュボード近くで、携帯を充電しながら運転していたら、若干の指痛を感じ始めたので、携帯充電は中止した。

 これは電磁波過敏指になってしまったらしい。本当にこんな病気はあるのだろうか?それとも電磁波プラセボなのか?謎は深まるが、ともかく無線マウスと充電携帯から指までの距離を取っていれば、指の痛みは感じないので安心である。電磁波強度は距離の2乗の逆数に比例するのである。

 聞いた話では、携帯の電磁波強度は耳近傍の温度上昇が10分で1度以下にするようにしているらしい。
 これは、身体を水と近似すると、耳近傍で1kg当たり4.2Kジュールのエネルギーが吸収されたことになる。
 一方、放射線では定義により、1グレイ(1シーベルト相当)は物質1kg当たり1ジュールのエネルギー吸収なので、スマホ電磁波は4.2グレイのエネルギー放出に相当する。
 放射線での致死量近くのエネルギーが携帯の電磁波のエネルギー基準ということになる。エネルギーだけで比較すると携帯電磁波も放射線レベルであり、危険なのかもしれない。

JCO事故による被ばく健康影響の再考2023年12月12日 05:05

http://www.murasugi.com/contents/document02-004

には元新潟大学安保教授による被ばくと健康影響の図(ホルミシスを提案した米国ラッキー教授案)が引用されている。放射線ホルミシスはまだ定説にはなっていないが、物質による生体影響は一般に最適点があるので放射線である光子にも最適点があって不思議ではない。

 この図では、年間被ばく量が1mGy/年~10000mGy/年の間が健康に過ごせる範囲であり、その最適値は100mGy/年ということになっている。

 JCO事故は即発臨界事故であり、瞬間被ばくをしたので、広島原爆と同様、被ばく時間は1m秒だと仮定する。
 上記の上限値10000mGy/年を1m秒当たりに換算すると

10000/(365×24×3600×1000)=3.15E-7mGy/m秒

となる。(E-xは10の-x乗を示す。)
ガンマ線なのでmGyはmSvと同じ生体影響である。

 健康維持のための下限値1mGy/年は同様に

3.15E-11mGy/m秒

であり、これ以下の被ばく量では健康上の問題が生じると上記記事では主張している。

この被ばく量が1m秒あたりの瞬間被ばくの許容限度になる。

 12月10日の本サイトの記事では、JCO事故での生存作業者の最大線量は1200mSvだった。これは瞬間被ばくなので、上記仮定から

1.2E3mSv/m秒

と同じことであり、10ケタ大きい。

逆に言えば、瞬間被ばくは慢性被ばくよりも10桁程度は危険ということになる。

 即ち、慢性被ばくであれば、許容された被ばく量でも瞬間被ばくでは許容されない被ばく形態があるということである。これは被ばく継続時間に大きく依存する。

 広島原爆では150mGy程度からがん発生が放射線影響が認められるようになっている。即ち被ばく継続時間が1m秒とすると

1.5E2mGy/m秒

でがん発生が増加する。JCO事故の生存作業者はその10倍被ばくしたのでがん発生増加はありうる。

 しかし、東海村役場に車で突入した容疑者の被ばく量は中性子とガンマ線の線質効果を考慮したうえで得られた被ばく量で33mSv/m秒
なである。しかもこの値は、容疑者がJCO事業所に隣接して住んでいた場合である。
 この数値は、上記1500mGy/m秒の0.022倍であり、がん発生は考えられないということになる。喫煙習慣があるならば、その影響による発がん確率の方がけた違いに大きい。

 彼がこのような評価を承知していたなら、村役場突入は躊躇したのではないだろうか。

 備考)広島原爆の被ばく者線量評価ではGy単位での線量評価を行っている理由は、原爆爆発位置が地上約600mで生存者までの距離が長いために、中性子の空気層などによる遮へい効果が大きく、中性子の線量効果がガンマ線の10%程度と小さいという理由でガンマ線の1.1倍が全体の線量という評価を行っているためである。但し、原爆内部での遮へい効果は軍事機密により今も未公開となっている。なお、原爆の爆発時間は1μ秒以下と書かれている資料もあるが、これは適当な数字で実際には100μ秒から1m秒程度と評価できる。

JCO事故で中性子被ばくはどの程度だったか?2023年12月10日 05:45

 東海村役場に乗用車で突入した容疑者は1999年のJCO事故で体調を崩したと話しているという。

 原子力安全委員会のJCO事故の報告書では、

  「今回の作業は「常陽」の燃料用として、平成11年度に濃縮度18.8%、ウラン濃度380gU/㍑以下の硝酸ウラニル溶液を転換試験棟において製造することを目的としていた。
 作業は3人で実施され、29日から硝酸ウラニル溶液の製造を開始している。本来であればウラン粉末を溶解塔で硝酸を加えて溶解すべきところを、ステンレス容器(10㍑)でウラン粉末を溶解した後、作業手順書をも無視して、ステンレス容器(5㍑)及び漏斗を用いて、1バッチ(作業単位:2.4kgU)以下で制限して管理すべき沈殿槽に7バッチ(約16.6kgU)の硝酸ウラニル溶液を注入したとしている。
 上記の作業の結果、9月30日午前10時35分頃、沈殿槽内の硝酸ウラニル溶液が臨界に達し、警報装置が吹鳴した。この臨界は、最初に瞬間的に大量の核分裂反応が発生し、その後、約20時間にわたって、緩やかな核分裂状態が継続したものであった。10月1日午前2時30分頃から、沈殿槽外周のジャケットを流れる冷却水の抜き取り作業が開始され、午前6時15分頃、臨界状態は停止した。その後、ホウ酸水を注入し、午前8時50分には臨界の終息が最終的に確認された。
 この臨界による総核分裂数は、沈殿槽内の残留溶液の分析結果から、2.5×1018個と評価されている。 」

 これから即発臨界による瞬間被ばくであることがわかる。

 また、ガンマ線被ばくについては、
 
 「今回の事故により現場で作業をしていたJCO社員3名が重篤な被ばくをし、うち1名が12月21日に死去した。これら3名の線量はそれぞれ16~20グレイ・イクイバレント(GyEq)以上、6.0~10GyEq、1~4.5GyEq程度であった。このほか、56名の被ばくが確認された。そのうち36名についてはホールボディ・カウンタで検出され、その値は0.6~64mSv(暫定値)であった。また、フィルムバッジの測定結果により22名の被ばくが確認され、その値は0.1~6.2mSv(1cm線量当量)(ガンマ線)であった。なお、フィルムバッジで検出された22名のうち2名はホールボディ・カウンタでも検出されている。
また、臨界状態の停止のための作業等に従事したJCOの社員24名について、被ばくが確認され、ホールボディ・カウンタで検出された者の値は9.1~44mSv(暫定値)で、線量計(ポケット線量計)で測定された者の値は0.03~120mSv(1cm線量当量)(暫定値)であった。」

 とのことで、ガンマ線の被ばくは広島・長崎の被ばく者評価から、がん発症影響に関するしきい値(一部放医研研究者などの見解では150mSvと言われている)以下の値であったと考えられる。

 では、中性子被ばくはどうだっただろうか。

 容疑者は役場の対応に不満を持ったようだが、心理的影響だと切り捨てる前に、ICRP基準で、吸収線量当たりガンマ線の10倍程度の影響があると言われている中性子線に対する被ばく評価を正確に見積もる必要はあるだろう。

 Weinburg/WignerのThe Physical Theory of Neutron Chain Reactors、p.128によれば、U-235の核分裂当たりのエネルギ配分は、即発ガンマ線のエネルギーは6±1MeVで、中性子の運動エネルギーは5MeVである。
  
 一方、ICPRの線質係数は、ガンマ線1に対し、中性子約10(正確には線質係数には中性子エネルギー依存性があるが)である。

 これから、JCO関係生存作業者の中性子線による被ばく線量は、最大でおよそ

 120×5/5×10=1200(mSv)

となる。この報告書からは、ガンマ線を120mSv被ばくした作業者は、爆発時に室外にいたはずで、中性子はこれほどは被ばくしていないはずである。爆発時には室外(コンクリート壁の外側)にいたからである。

 では、容疑者はその時、どの程度被ばくしただろうか。最大1200mSvとして、JCO事業所からどの程度はなれていたかが問題となる。

 建屋や空気の遮へい効果を無視すれば、ほぼ距離の2乗の逆数で減衰する。容疑者はJCO社員ではないはずだから、敷地境界の外部にいたはずである。報告書図1からは事故のあった転換試験棟から県道連絡線まで約60mである。上記JCO社員が線源から10m位置で作業していたと仮定すると、容疑者が被ばくできる最大中性子線量は

 1200×(10^2/60^2)=33mSv

であり、上記のしきい値より十分小さい値となっている。
 ある情報では容疑者は久慈地区に住んでいたようであり、その場合には距離は1000m以上あるので0.1mSvとなり、飛行機で海外旅行をするよりも小さい。

 役場職員はこのような定量的評価値を容疑者に示した方が説得力はあったかもしれない。

 福島事故でも同じだが、放射線被ばくとは、物理化学的影響よりも心理的影響、即ち”放射線プラセボ”(放射線を浴びたという認識によるストレス影響)が効いてくるものである。今回のような思い込みによる悲劇の再発を防ぐには、放射線の人体影響及び人体の対放射線免疫機能に対する正確な知識習得と公報、ICRP基準と考え方の見直しが必要であろう。メディアも従来の報道姿勢を改め、まずは科学的な分析能力を身に着けるべきだ。

怪我の功名2023年12月06日 22:36

 怪我の功名とは失敗して利益を得ることだ。

 先日、山で転んで怪我はしなかったものの妙な利益を得た。

 それは、ある山からの下りで、先人に追い付こうと、ステップを良く見ないで遠くのほうに足を掛けたところ、その足場はもろくも崩れ、転ばないように近くの根を掴んだが、その根も腐っていて頭から転げたときのことである。転んで青空をミルのも久しぶりだったのでちょっと気持ちが良くなり、足を上にした状態で、なされるがまま数分空を見上げていた。気持ちの良い状態である。

 一般に山スキーでは転倒した場合、頭が下だと立ち上がれないので、足を180度上空に向けて回転させ、足が頭よりも斜面の下方に来るように態勢を整える。

 今回も雪とスキーはないが、足を下に向けて体を回転させようとしたが、右手に持ったストックが邪魔になり、うまく回転が開始できなかった。仕方なく、数分間、空を見て頭を下にした状態で休んでみた。気持ちが良かった。

 そして、おもむろに立ち上がったのだが、その瞬間に、リセットされたかのように両足の筋肉が軽くなっていたのである。それまで、4時間近い登りでほぼ疲労困憊状態だった両足が、朝の歩き始めのように軽々と動くようになっていた。

 これは初めての経験だった。足を無重力状態にすることで、疲労が消えてしまうのである。

 これは怪我の功名と言えるものでろう。(転んでも怪我はなかったので正確には用語の祖語はあるが)

 今後はこれを利用して、山で足が疲労したら、両足を上に向けてしばらくキープし、足の疲労回復を図ろうと思う。

ALARAの欠陥2023年12月06日 04:58

 国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告している指針の中に、ALARA(As Low as reasonably achievable)という、「達成可能な範囲でできるだけ被ばく線量を低下させるべきである」という原則がある。
 これは一見正しいように見える。

 しかし、このALARA原則にはある大きな欠陥がある。それは、時間線量率を無視しているところにある。

 広島・長崎の原爆では、1ミリ秒以下という短時間で数グレイの被ばく線量を受け、数十%のレベルでがんが発症した。この被ばく時間が1年間だったなら、がん発症は大幅に低下したはずである。これは下記の動物実験結果などから容易に推定される。

Maisin JR, AWambersic, GB Gerber, G Mattelin, M Lambiet-Cottier, J Gueuletteet. The effect of a fractional gamma irradiation on life shortening and disease incidence in BALB/c mice. Radiat Res. 94, 359-373, 1983.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6344131/

分かりやすく言えば、一気飲みのアルコールのほうが、年間10升の酒を飲むよりも大幅に危険だということである。

 しかし、ICRPの基準に従って、健康診断で使われるX線撮像装置を改良し、被ばく量を小さくするには、X線投射時間を1/10に短くして、その分、X線強度を5倍に上げたほうが被ばく線量が半分にできるので良いはずである。
 
 このような改良は、ALARA原則には適合しているが、上記の動物実験結果からは危険な改良ということになる。なぜなら、被ばく量は小さくなったが、時間線量率は5倍になっているのである。

 ALARA原則は時間線量率については触れていない。危険な原則と言わざるを得ない。

 福島事故では被ばく線量の制限のみを考慮してICRP基準を適用し、避難区域を設定したが、そのICRP基準も広島・長崎原爆被ばく者のデータを基にしたものである。時間線量率と時間積分線量の差を認識しない基準に基づいて法律や政策が設定されている悲劇が続いているが、健康診断装置の方はどうなのだろうか。

ウイルスしきい値問題2023年12月04日 21:25

 以前、ある県の保健関係部局のサイトに、感染症ごとの感染に必要なウイルスの数が記載されていたことがあった。

 平日の夕方の満員電車で、隣に感染者が咳をしていたとする。
ある程度のウイルス濃度ならば免疫機能で罹患しないはずだが、
高濃度のウイルス飛沫を浴びて、風邪症状が出てしまうこともありうる。

 家人が東京の繁華街で風邪ウイルスをもらってきたようで、咳をして発熱している。私も喉がおかしくなり微熱も出てきたが、ウイルス濃度を下げようと鼻と喉の内部をお湯で何度も洗い流し、付着しているであろうウイルスをできるだけ除去するようにしたところ、数時間で喉のイガイガと微熱は治まりまった。

 これはプラセボ効果だろうか。

 放射線効果と同様、ウイルス濃度も発症へのしきい値があるはずだ。   しきい値以下に鼻、喉のウイルス濃度を抑えておくことが重要である。

 以前も、インフルエンザに感染した同僚と電車内で話しているうちに鼻の粘膜が痛くなり、微熱も出てきたので、トイレで洗顔と鼻の奥、喉の奥を何度も洗浄し、微熱と痛みが軽減していく経験をした。

 この強制的な呼吸器系温水洗浄による効果はプラセボではなく、感染防止に実際に効くのではないか。
 鼻、喉、口の洗浄方法と各種ウイルス濃度の減少、ウイルス濃度と感染率の相関についてのデータに統計精度の高い確実なものがあれば、強制お湯洗浄による風邪症状予防法として役に立つだろう。

読唇術と難聴2023年11月29日 06:24

最近、時々聞き取れないことが多くなった。老人性難聴なのであろう。
補聴器をつけるほどではないようにも思うがそれが一番厄介な状態である。自分では聞き取れていると思っても相手は回答がマッチしていないのでいやな思いをする。コミュ難である。

 これを解決する手段として、読唇術を身に着けるという方法はどうだろうか。

 ちょっと調べてみたが、残念ながらろうあ者でもマスターしている人はほとんどいないし、通常は読唇術の正解率は半分以下なのだそうだ。

 だが、よく考えると他人の話を聞くときに読唇術のように、真正面から相手の顔を見て、態度も見るような状態にしていることはまれである。

 大体が、耳で話を聞いているだけで、相手をまともには見ていない。これでは、相手の言いたいことを正確に把握することは難しい。これからは、できるだけ正対して他人の話を聞くように努力しよう。

 もう一つ、単語の一部を聞き取れないときにうまい方法があった。それは、聞こえたままの発音XXXXをそのままおうむ返しにして、「XXXXて何ですか」と話すことである。それが頻繁なら補聴器が必要だが、たまにある程度ならいいだろう。相手は「XXXX」が何なのか笑いながら教えてくれるだろう。

無線マウスと低周波治療の差2023年11月26日 05:50

 量子論によれば周波数νの電磁波のエネルギーEはプランク定数hを用いて
  E=hν
ということになっている。

 手元の無線マウスで通信に使われる周波数は2.4GHzだが、運動選手の疲労回復や、整体治療で用いられる低周波治療の周波数は1200Hzだそうである。

 即ち、エネルギーで2000倍の差がある。

 但し、これは電磁波の粒子である光子1個のエネルギーである。

 光子の個数はその装置や発生源からの距離に依存するので電磁波を被ばくしたときの全エネルギーは状況次第ではある。

 しかし、光子自体は細胞内の原子核や電子との相互作用でエネルギーをやり取りし、生体に影響をおよぼすのであるから、第一義的には光子のエネルギーが重要なファクターであろう。

 こう考えれば、電磁波の周波数が最も重要である。即ち、適度な治療効果を得るには、高すぎても、低すぎても良くない。
 がんの放射線治療とがん予防の規制の関係の場合は、数ミリシーベルト以下に規制しながら、放射線治療では数シーベルト以上を照射するのに比べれば、電磁波の規制のほうが妥当性は高い。電磁波の場合は、被ばく基準の基になった原爆や太陽フレアインパルシブ相のような瞬間被ばくが考えられないということも利いているのかもしれない。

https://3rrr-btob.jp/archives/column/measuring-equipment/20678

によれば、周波数により電界強度に国際的な基準があり、スマホなどの電気製品もこの基準で製造されているはずだが、放射線同様その基準値自体が根拠は明確になっていない場合が多い。一般的には周波数が高いほど電界強度の規制値は小さくなっている。

 しばらくは、電磁波の基準は一般人に対するものと考え、高周波の電磁波を他人より多くは浴びないように工夫するのが良いと思う。

 即ち、無線マウスを一日中使うようなことは一般人とはかけ離れているはずで、あまり体には良くないということになる。