不快指数と暑さ指数、シーベルトの不快な関係2023年07月18日 05:16

 不快指数は日本気象協会のサイトで今でも報告されている。昔はよくテレビでも発表されていた。

その定義は、Wikipediaによれば、

 湿度を使用する場合、乾球温度(=気温)を T d (°C)、湿度を H(%)とすると、

0.81 T d + 0.01 H ( 0.99 T d − 14.3 ) + 46.3
 であり、

  65-70が快適、80-85で全員が不快、85以上は暑くてたまらない
 ということになっている。

 


 最近、環境省が発表している暑さ指数(WBGT、 Wet Bulb Globe Temperature)は、気温、湿度以外に輻射熱も考慮した指数で1950年代から米国では使わていたそうだが、

 屋外での算出式

  WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

屋内での算出式

  WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

となっている。

  ここで、黒球温度とは、

 「薄い銅板 (0.5mm) 製の中空の球体で、表面を艶消しの黒色仕上げとしたものの中心に温度計を差し込み平衡温度を測定した場合の温度」で、弱風時に日なたにおける体感温度とよい相関がある。

 一方、乾球温度は気温、湿球温度は乾湿温度計での湿球温度です。

 WBGT温度では

気温(参考) WBGT温度 運動指針
35℃以上     31度以上     運動は原則中止
31~35℃ 28~31度 厳重警戒
28~31℃ 25~28度 警戒
24~28℃ 21~25度 注意
24℃まで     21度まで     ほぼ安全

となっており、各地のWBGT温度は環境省のサイトで見ることができる。

 

 気になったのは、WBGT温度の単位である。環境省のサイトでは

「暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。 暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。 なお、当サイトにおいては気温との混同を避けるため、暑さ指数(WBGT)について単位の摂氏度(℃)を省略して記載しています。 」

となっている。即ち、正式にはWBGTの単位は℃なのだが、気温などの℃との混同を避けるため、
単位なしでWBGT温度などと記載せざるを得ない。

 これは、放射線の線量や被ばく影響などの線量を定義に関わらず、すべてシーベルト(Sv)で記載していることを連想させる。国際放射線防護委員会(ICRP)など放射線測定学会、業界、法令で使われている線量単位は定義に関わらず、Svなので混乱を生じているが、このことへの反省かもしれない。ICRPは米国の石油業界が原子力の普及を抑えるために設立支援したとも聞いているので、混乱は承知の上なのかもしれない。因みに、線量関係の定義には以下のようなものがある。

防護量
 等価線量(Sv:シーベルト) 人の臓器や組織が個々に受ける影響を表す。
 実効線量(Sv:シーベルト) 個々の臓器や組織が個々に受ける影響を総合して全身への影響を表す。

実用量
 周辺線量等量(Sv:シーベルト) 
 方向性線量等量((Sv:シーベルト) 
  環境モニタリングにおいて用いられる防護量の近似値
 個人線量等量((Sv:シーベルト) 
  個人モニタリングにおいて用いられる防護量の近似値

 これも環境省のサイトに表示されているものである。これらが、すべてSv単位で語られているのである。福島の年間1ミリシーベルト制限はどれなのか、どのマスメディアも明らかにはしていない。
このような混乱を放置して、無用な混乱を招いているが、不快極まりない。
その不快指数はどのような単位になるのだろうか?笑い事ではすまされない。

千賀投手の背番号はあの34だ!2023年07月12日 09:01

 MBAのオールスターで選ばれたメッツの千賀滉大投手の背番号をテレビでみて、思い出した。
あの不滅の伝説の投手、金田正一と同じ34なのである。
 もちろん意識して選んだのだろう。
 金田投手も草葉の陰で喜んでいるに違いない。

 野球の力は偉大だ。

アルメニアとプリゴジンの誇り2023年06月25日 05:13

 数年前、モスクワに滞在したときに、路上でアルメニアへの派兵への参加を呼び掛けるポスターをよく見かけた。これは、当時から続いていたアルメニア(ロシアが支援)とアゼルバイジャン(宗教的な繋がりからトルコも支援)の紛争における兵士募集のポスターだった。両国とも旧ソ連の共和国であり、両国の紛争を抑えることは、ロシアの義務と見なされていたのだから、派兵せざるを得ない。しかし、なぜか、そのポスターには、自衛隊のポスターとは異なり、連絡先の住所もない。電話番号だけなのである。アルメニアという大きな文字と兵士の姿だけが目立つデザインなのである。

 当時から、すでに、ロシアの徴兵制は破綻していたようだ。それがこのようなポスターに現れていた。想像するにあのプリゴジン率いる軍事民間会社ワグネルがとして、アルメニア紛争に対応していたのだろう。それが、プーチンのロシアが経済発展と旧ソ連の名主の地位を両立するための方法として選択したものだった。

 そして、ワグネルは上手くアルメニア-アゼルバイジャン紛争を鎮め、現在の一見平穏な状態に収めている。これはワグネルのトップであるプリゴジンの手柄ともいえる。

 ロシア人は特に名誉を大切にする国民である。その特性が、国民の間で、バッジ蒐集の趣味が一般的なことに現れていると以前ブログに書いた。しかし、プリゴジンがその手柄に対する褒賞として名誉ある褒賞、その印である徽章を得たというニュースはなかった。

 同じく、旧ソ連の構成国であったウクライナとロシアの紛争が今回の戦争である。プーチンはプリゴジンの助言を受けることなく、ショイグ国防相とその取り巻きだけと相談してウクライナに侵攻し、今回の膠着した状態を引き起こしてしまった。

 プリゴジンは愛国心からワグネルの派兵部隊を結成し、ウクライナに派兵したが、ロシア正規軍とぶつかるのは、誇り高き国民性から当然の成り行きだった。今回のワグネルのクーデター擬きは当然の帰結であり、今後もプーチンは枕を高くして眠ることはできないだろう。

 ロシアのあるホテルは地下通路でクレムリンと繋がっているらしい。今頃、プーチンはその通路の再点検を命じているのかもしれない。

最も怖い天災2023年06月19日 11:24

先ごろ、地震が滅多に起こらないと思われていたフランスでM5級の地震が起こり、多くの家が倒壊したとのニュースがあった。

 地球はどこでもなんでも起こりうるということだろう。

 地震雷火事親父とはよく言ったものである。現代の親父はプーチン大統領ではないだろうか。勝手に怒って多くの市民と財産を犠牲にしている。

 ここでは、それとは関係のないもっと怖い天災としての小天体の地球への衝突を考えてみる。

 年間10個程度は地球に隕石が落ちてきているらしい。その中には、数年前にシベリアに落ちた100kgレベルの隕石もあるし、恐竜をほぼ絶滅させたという巨大隕石もある。

 NASA等はそのような事態を検知するため、観測を続けているが、実際に小天体が衝突すると予測された場合、どのようなシナリオがありうるだろうか。

 小天体といっても大きさも重さも発生源もさまざまである。大部分は大気との摩擦でもえてしまうのだが、地表まで到達するものも確率的にはそれなりにあるので隕石が見つかるということになる。

 従って、対応シナリオといっても、どのようなサイズのものがいつ頃落ちてくるのかを分類して議論するべきだろう。

 やはり、恐竜を絶滅させたような巨大隕石が予想された場合が、最悪シナリオである。
 地球はしばらくは全面核戦争以上の運動エネルギーを受けた結果、高温状態になり、大気も殆ど失われることになる。地上にいても、地下であったも人類はほぼ死滅するだろう。恐竜も小型の鳥以外は生き延びられなかったのである。

 ここで参考になるのは、小松左京のSF「復活の日」である。映画でしかこのSFは知らないが、この映画では、人類をほぼ絶滅に追いやったのは生物兵器である致死性ウイルスである。それを積載したジェット機の墜落により世界中にウイルスが拡散し、隔離された南極越冬隊のみが生き延びることができたというシナリオである。

 このシナリオを小天体衝突に当てはめると、現在の国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士が南極越冬隊員に相当する。従って、ISSの飛行士は常に複数の男女である必要がある。これらの男女は、映画のオリビア・ハッセイと草刈正雄よろしく、男女の情を抑えて、多くの子孫を生産する義務を負う。
 地上に残された我々は、その支援を最後の日まで続ける義務を負う。分かりやすいシナリオである。

 その次に分かりやすいシナリオは影響が機微な通常の隕石レベルの小天体である。
 ある程度の確率で人や家屋に衝突するが、運が悪いとあきらめてもらうしかない。

 そして、最も分かりにくく争いになりそうなのが、その中間のレベルの小天体である。

1910年のハレー彗星接近では、フランスの天文学者の説により、地球の空気が失われるといううわさが流れ、大パニックになったそうだ。天文学の重要性が分かる逸話である。現代では、次回のハレー彗星接近でこのような間違いはないだろう。

 高性能の観測が整備されている現在、最も怖いのは、未発見の小天体が突然現れ、その小天体との衝突が避けられないということが数日~数年前に分かった場合である。数日前なら原爆シェルターか地下街に避難し、後は運を天に任せる以外にないだろう。その時点で地球のどの地点に落ちそうか分かれば、それ以外の土地や海上にヒトが押し寄せ、大混乱になるだろう。しかし、死者数を抑制するという意味では、高精度の軌道予測は重要である。

 結構対応が難しいのは、数年前にかなりの大きさの小天体の衝突が予測された場合である。衝突日は分かるだろうが、それまでのタイムスケジュールの中で、大混乱が予測される。その中身は、国際関係や国の存立を揺るがすものになるだろう。ある程度、落下位置が分かり、それが仮に日本だったとすると、再度、小松左京のSF「日本沈没」が参考になる。日本から大陸に避難しようと大勢の日本人が中国や韓国に渡ろうとするが、それまでの歴史的な問題から、入国を拒否されるのである。今、日本国は難民認定を厳しく制限しているが、このような状況が生じることを想像すれば、せめて世界の標準レベルの難民政策をとるべきだろう。

 即ち、宇宙の小天体衝突というような、非現実的とも思える状況というものが、現在国会で審議されている身近な法律問題に直結しているものであるということを再認識すべきだろう。

ドニプロ川カホフカダムは誰が破壊したのか?2023年06月10日 04:42

 カホフカダムの破壊工作については、Wikipediaによれば、すでに昨秋からウクライナ、ロシア双方から、相手が破壊することに対する警告がされている。

また、BBCによれば
 https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65830004
にあるように、旧ソ連が、ドイツ軍の進撃を阻止するためにドニプロ川のダムを破壊した実績がある。

 それほど、このダムの破壊が戦略的価値がある大きな出来事なのである。ウクライナの反攻を止める簡単な方法である。一方、ロシアにとっては、クリミア半島の給水が止まるという長期的な不利益がある。それは昨秋のロシア側の警告の理由でもある。

 実は、あるロシアの元KGBから聞いた話だが、モスクワは世界中の海と水路で繋がっているそうである。確かに、モスクワ近辺の地図をよく見ると、運河が縦横に周辺の川と連携しており、ドニプロ川にもドニエプロ側にもアゾフ海にも水路で到達することができる。

 プーチンにとっては、クリミア半島の農民が灌漑用水が無くて困ったとしても、今回のウクライナ反攻を阻止できれば、一帯の水路を支配でき、最終的にクリミアも支配下におけるのだから、旧ソ連時代のやり方をもう一度繰り返せばよいと思ったであろう。

 何しろプーチンもKGBの将校だったのだから、旧ソ連のやり方は十分承知しているはずだ。戦争で自国の民衆の犠牲のもとに戦局を有利に進めようとするのは、世界の常識だろう。



 ところで、ザポリージャ原発6号機の冷却問題だが、ドニプロ川の水位が下がれば、冷却は困難になる。昨年9月11日に停止したそうだが、その後の崩壊熱はどの程度だろうか。
長時間照射軽水炉燃料の、炉停止後9か月目の崩壊熱は、定格時に比べ、0.05%程度である。
ザポリージャ6号は熱出力が約3000MWだから、現在の崩壊熱は約15MWである。まだ自然循環では除熱出来そうもないが、非常用電源設備が生きていれば十分除熱可能だろう。運転員の頑張りに頼らざるを得ない。

チャールズ三世戴冠式と皇室の微妙な関係2023年05月07日 05:28

 チャールズ三世の戴冠式を見ながら考えた。

 イギリスも日本も立憲君主制ということになっている。表現の自由も建前上は保障されている。しかし、両国の王室はどうしてこんなに違うのか。

 思い出すのは、5年ほど前にモスクワに旅行した時のことである。クレムリン近くのホテルの窓から見えたモスクワ川に沿って並ぶ数千の人々の行列の光景を見て、国家とは、国民とは何かを考えさせられた。

 彼らは、モスクワ川沿いに建つロシア正教会本部のミサに参列するため近郊から集まってきた民衆である。待ち時間が長いので、多くの仮設トイレが堤防上に設置されている。半世紀の共産主義政権の弾圧にも拘わらず、ロシア正教が民衆の心の中に生き延びていたということである。毎朝、クレムリン近くでは、教会からの大きな鐘の音が響き渡る。

 ソ連崩壊後は、その宗教を今度はプーチン政権が国家統一のための道具として利用しているという構図である。プーチンはロシア正教会との連携の上で、ウクライナに侵攻したのがニュースを見ていてよくわかる。

 もう一つ印象的だったのは、赤の広場を散歩しつつ、レーニン廟を見ていた時のことである。一人の青年が、観光客も多い中、レーニン廟の前でプラカードを掲示し始めた。その瞬間、どこからともなく、ミニパトが現れ、その青年をミニパトに押し込み連れ去った。その間、1分もかからない。青年は一言も発することなく、抵抗もしなかった。

 言論の自由が奪われているということはこのような状態なのだろう。
 中国では、経済発展の中で、国民の意見は政治にどう反映されているのだろうか。かつて、作家小田実は、「中国に自由は無くなったかもしれないが、飢餓も無くなった。」とベストセラーの中に記した。しかし、飢餓が無くなった状態では、政治に縛られない自由を求めるのが人間なのだろう。食料が豊富でも、精神的に抑圧された中で生活することは辛いことなのである。

 世界国家や国連が幻想である以上、我が日本もこのような国家と個人の関係をどうするかに無関心ではいられない。何らかの国民統合のシステムが必要なはずである。

 しかし、日本には、星条旗も、ロシア正教会のような宗教も、共産党独裁政権もない。それでどういう精神的な国民統合のための支柱がありうるのだろうか。
 
 日本には共和制に耐えられるだけの知性が育っているのだろうか。フランスのような共和制は、激しい混乱を生じかねない。彼らは数度の革命により、現在の個人の尊重による共和制と大統領制を獲得してきた歴史がある。多くの日本人はそのような個人主義社会に耐えられるだろうか。

 残念ながら、宗教心も薄く、個人主義にもなじめない現在のにほんでは、暫くは天皇制を国民統合のシステムとして政治利用をするしかないというのが私の結論である。

 少なくとも、半数以上の日本国民は天皇制に反対はしていない。それは、長い歴史と伝統の力もあるだろうが、歴代の天皇の人柄、行動が多くの日本人に尊敬され続けてきたということが非常に大きいと思う。

 イギリス王室の現状はその逆で、エリザベス女王はともかく、他の王族は一般民衆と同じレベルのように見えてしまう。それは情報化社会における民主主義制度の帰結だろう。

 我々はテレビを通し、イギリス王室の現状を対岸の火事のなかで荘厳な慈雨が降っているのを見るかのようにイベントとして楽しんでいる。しかし、参列された秋篠宮御夫妻は、ヘンリー王子の挙動をどうご覧になったのか、そして、チャールズ三世の様子をどう感じたのか。

 戴冠式のチャールズ三世の様子を見ると、上皇が、早期に引退し、今世天皇に引き継いだのは非常に良い判断だったと思う。そして、日本の皇室が、秋篠宮家に対する週刊誌記事などの影響を受け流し、少なくとも上手くやっているように見えるのは国民にとって大きな幸運である。
 
 今後も女性天皇など後継問題など、皇室存続における大きな壁が生じるだろうが、イギリスのような王室分裂状態にならないよう、皇室全体で国民の尊敬を獲得し続けられるよう知恵を出していただきたい。マスコミも、イギリスのタブロイド判の真似はせず、共和制に代わる唯一の方策である立憲君主制維持のための知恵を出してもらいたい。それが、80年近くも平和を維持してきた日本が分断されずに生き延びる唯一の方法なのだから。

「絶望が虚妄であるのは、まさに希望と同じだ」2023年05月05日 06:13

 これは魯迅の言葉である。
 詳しくは下記のサイトに解説されている。

https://project.iss.u-tokyo.ac.jp/hope-archive/meigen/meigen_1.html

 中国と日本の関係、戦争と平和、革命と繁栄、その歴史が一個人の歴史と重なる。魯迅は医学を目指し仙台に来たが、中国の民衆の実体を知り、一瞬にして文学者としての道を志すことになる。医学よりも文学がより人々の幸福に寄与すると感じたのであろう。

 その魯迅が学んだ場所は今も東北大の中に一般無料公開されている。

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/profile/establishment/01/establishment0108/

 中国やロシアの現状を評価する前に一度は尋ねてみたい場所である。

西谷と鶴ヶ峰が隣接しているワケ2023年04月13日 10:55

 横浜近辺の方はご存じでしょうが、相鉄線が東横線と繋がり、神奈川県内陸部の交通の便が大幅に改善された。その接続駅が西谷である。ここは横浜港に河口を持つ帷子川が流れており、谷に地形なので西谷と呼ばれるのだろう。しかし、その一つ先の駅名は鶴ヶ峰である。国道16号を西谷から鶴ヶ峰方向に走っても殆ど勾配は感じられない。なぜ、鶴ヶ峰などという険しい山を想起するような地名になったのだろうか。
 その謎が、旭区役所に行く道沿いで解けた。
ここは、東海道が保土ヶ谷宿手前で分岐し、八王子に向かう八王子街道沿いにある。電車も車のなかった江戸時代、旅人は帷子川沿いにそって開かれた八王子街道を辿っていく以外になかった。その街道は西谷の先で川沿いから外れ、右側の山の方に登るのである。その登りが帷子川を起点にすると鶴ヶ峰の最高時点までおよそ70メートル近くになる八王子街道最大の難所だったのである。今は国道16号が横浜方面から帷子川の水面より20メートル以上高い台地部を通っているので、旧八王子街道の鶴ヶ峰付近での厳しさが分からないが、川沿いに歩いてきた旅人がここで峠を見上げたら、鶴が渡るほどの峰に見えたのではないだろうか。或いは、峠付近が鶴の形をしていたのかもしれない。いずれにせよ、峰のように感じられたのであろう。
 
 神奈川県内の東海道はほぼ歩きつくしたので、今度は八王子街道をチャレンジしようと思う。(交通費も宿泊費も無視できるので)

核返還と核変換について2023年03月28日 10:06

 ロシアがベラルーシに戦術核兵器を配備するというニュースがあったので、ソ連崩壊時になぜ核配備されていたカザフスタンやベラルーシ、ウクライナがロシアに核返還を行ったのかを調べてみた。

 https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/68/68-1.pdfによれば、ベラルーシやカザフスタンはリスボン条約に従い、すんなり核をロシアに返還し、NPTに加入したが、ウクライナだけは、核兵器の返還はかなり遅れた。これはウクライナ国内の一部にロシアを脅威を感じ、ロシアの核への対応が必要と考えた人々がいたためである。結局は全ての核をロシアに返還したが、それは、核を保有し続けるための経済的な負担にウクライナが耐えられなかったためであるとしている。確かに、核を保有するには相当の軍事費が必要になる。核爆弾は半減期14年で減少するプルトニウム241を含んでおり、原爆として機能するにはその性能の確認のための検査が必要であるうえ、事故による爆発防止やテロ対策など保持するだけでも多くの費用が掛かる。持っているだけでは意味はなく、敵を攻撃できる方法の開発にも膨大な費用が掛かることは、北朝鮮を見ていても理解できる。

 従って、核返還をすることで、NPTに参加し、核保有国からの保護を受けるほうが有利だと三国は考えたわけである。

 しかし、今回のロシアのウクライナ侵攻で事態は複雑に変化した。ベラルーシは、ロシアの核配備を受けることになった。これは、NPT条約だけでなく、リスボン条約違反でもある。ロシアの属国であるベラルーシは明確にロシアの戦争に協力するよう強制された状態になってしまった。

 従来、核の配備は曖昧であることが核抑止力になると言われてきたが、今や、プーチンの戦略は核抑止力云々のレベルではなくなった。明確な戦術核による脅しのレベルである。そういう意味で、沖縄返還時の核密約問題とはレベルが異なる。
 一時、日本もアメリカから核配備供与を受けるべきだという議論があったが、ベラルーシのように更に国際的な立ち位置は厳しくなるだろう。

 ところで、かくヘンカンと入力し変換したら核変換と表示されてしまった。
この意味は、原子核の変換である。一般には、放射性核種(所謂放射能を有する原子核)を放射能のない安定な核種に変換することを意味している。従って、これは核返還の議論とは全く逆方向の技術に関するものである。
 現在、実用化に向けて研究が進められている有力な手段としては、粒子加速器により発生させた陽子や中性子を放射性核種に照射する方法と特殊な原子炉による中性子照射によるものがある。前者は、現在の加速器では大量処分ができず、仮にできたとしても大量の電力が必要になる。後者では、その原子炉で発生する放射性物質以上に消滅する放射性物質を大きくしなければならないため、特殊な原子炉形態が必要となる。
 どちらも原理は確認されているが、現在の日本では、その経済性からまだ実用レベルには至っていない。しかし、すでに、人口放射性核種は、原発の使用済み燃料だけでなく、医療用放射性物質などの形でも発生している。これらをどうするか、地層処分が現在の唯一の解であるとして様々な議論を呼んでいるが、核変換の実用化も強く推進することが、原発への立場に関わらず環境負荷を軽減するうえで重要な技術開発項目である。

冤罪多発国日本で生き延びる方法2023年02月28日 01:25

 Yahoo報道によれば、滋賀県日野(ひの)町で昭和59年に酒店経営の女性=当時(69)=を殺害し金庫を奪ったとする強盗殺人罪で無期懲役が確定し平成23年に病死した阪原弘(ひろむ)元受刑者について、大阪高裁(石川恭司裁判長)は27日、再審開始を認める決定をした。

家族の話では、阪原受刑者は、気が弱く、警察の脅迫めいた追及に自白してしまい、逮捕されたそうだ。そして戻ってこなかった。

他にも、帝銀事件、松本サリン事件、仙台北陵クリニック事件、和歌山毒カレー事件など数多くの有名な冤罪事件が近年でも多発している。これは警察制度の欠陥でもあるが、そう簡単には直りそうにない。

 私も東名高速で静岡県警の覆面スポーツカーに後ろに付かれ、左車線がトラック車列のため、怖くて仕方なくスピードを上げたところ、そのスポーツカーに捕まったことがあった。この覆面スポーツカーの動きも一種の脅迫といえる。

 警察の脅しには決して屈してはいけない。

 殺人事件でもこの冤罪の多さである。報道されない冤罪事件は今も多発している。

 それが日本の政治、社会の特徴だからこそ、日米安保では米兵のための地位協定がある。ドイツでは犯罪を犯した米兵の裁判権はドイツ側だが、日本では米国側にある。それだけ米国が日本の司法、警察を信じていないということである。
 海外の自国民を守るのは国家の重要な役割だから、日米安保の米兵の地位協定は客観的に見て適切なのだろう。

松本サリン事件を思い出せば、世間は長野県警の言い分を鵜呑みにし、マスコミは、河野さんを真犯扱いをした。知り合いのあるインテリでも信じたほど日本人は警察とマスコミを信じている。

和歌山の毒カレー事件でカレーなべから抽出、分析されたヒ素は、今では林家のものと一致していないことが関連の学会で報告され学者間では共通認識になっている。

従って、どの法務大臣も林死刑囚の死刑執行には判を押さない。
拘置所内での死亡を待っているのである。

オソロシヤ日本である。

マスコミにより容疑者として報道されるだけで、その人の家族は社会生活が送れなくなるのが現在の日本である。

そのような社会日本で官憲に捕まっても無実を主張し続ける方法はあるのか。

 日本人はつい相手の意向に合わせた話し方をしてしまう。それが日本社会で摩擦なく過ごす知恵である。

 しかし、警察で冤罪で捕まった場合、この特性は不幸な方向に作用する。相手は追及と心理戦のプロである。普通の人は簡単にやってもいないことを自白してしまう。その結果が冤罪の多さに繋がっている。裁判官を信じてはいけない。

 従って、警察で追及されたときに相手の心理戦に乗らないよう普段から訓練することだろう。相手は、いろいろな暗示と脅迫を組み合わせて、あなたが犯罪を犯したと自白させるのである。

 これに対抗できるのが、即ち、自己暗示法の習得である。自己睡眠法とも自律訓練法とも呼ばれる、スポーツ選手が良く訓練する方法である。
 追い詰められた状況でも、自分に暗示をかけ、心身を落ち着かせ、自分自身を真の自分として保つ方法である。

 例えば、暗示には、両手両足が暖かいとか、楽に呼吸をしているとか、お腹が暖かいとか、額が涼しいとかいろいろな種類があるが、これに加えて、私はうそを付かないという暗示を加えるのはどうだろうか。
(自律訓練法は使い方を間違うと心身への影響があるので具体的な方法は専門書に従ってください。)

 これにより、警察官の前でも決して緊張せず、脅しにも乗らず、本当のことしか言わない、冤罪に無縁の人生が可能となるだろう。

 再審請求を繰り返している林真須美死刑囚は逮捕当初家族を考えて黙秘を続けたが、結果的には家族崩壊になってしまったようだ。事実を告げて警察と戦うことができる心理的な準備が重要だと思う。