分かりにくい科学用語の言い換え方2023年01月17日 10:39

 生物学の本を読んでいたら、理解しにく日本語が並んでいる。

胞子ー胞子体
配偶子ー配偶体

といった具合である。直観的には、胞子や配偶子が集まって胞子体、又は配偶体ができるという風に解釈したが、まったく逆で胞子体から胞子が発生し、配偶体から配偶子が生じるらしい。

 では、英語ではどうなっているのか。

sporeーsporephyte
spouseーgametophyte

のようだ。これのphyte部分を体と訳したらしい。
phyteの語源は
ーが存在するところ,ーが成長するところ
という意味で
ー体
という意味はない。

 確かにそれが発生するところだから体としてもおかしくはないが、それならばー発生体というように、挙動の順序を明示してもらわないと初学者は混乱するだけだろう。

 振り返るに物理用語など他の科学用語も日本語では誤解を招くものが多い。

 放射能ー放射線ー放射性物質

はどうなるか。英語では

 radioactivityーradiationーraioactive material

(放射線は厳密には電離放射線ーionization radiation)

となるが、しばしば混同される。

 漢字は一字で多くの意味を持たせることができるが、日本語における話し言葉では同音異義語が多いので意味を明確に区別できなくなることが度々あり、これが親父ギャグの源泉ともなっている。

 上記の用語では放射能は「放射能力」と詳しく説明した用語ならば、もう少し一般的にも理解されるのではないだろうか。
 
 更に正確には放射線発生能力という用語も考えられるが、長すぎるかもしれない。

 昔は漢字を手書きしていたのでできるだけ短い用語にしたくなるのは分かるが、今は殆ど電子機器入力である。読んで意味がよく分かるように、各学術機関とも用語を見直すべきだろう。


 ついでに、放射線を生体が受けた際の量、即ち、線量の単位として用いられるシーベルト(Sv)については、空間線量、吸収線量、実効線量という異なる三つの定義の線量にたいし、同じシーベルト(Sv)という単位を与えている。これも大混乱のもとである。なにか誤魔化されているような感じに受け取られる前に早急に単位名を変更すべきである。