札幌アクア暴走事故とプリウス暴走事故2022年08月01日 16:39

 アクアとプリウスのハイブリッドシステムは共に遊星歯車でエンジンと電動モーターと駆動系を直結して電子制御するという基本的に同じシステムである。ブレーキも電気系で制御しているので、ブレーキペダルとブレーキパッドの機械的な結合は途中で切れている。
 今日札幌で暴走した車はアクアのようである。
 池袋事故は2代目プリウスであるが、ちょうど1年ほど前に、運転していた3代目プリウスに以下の不具合が生じてきた。その3代目プリウスは10年ほど乗っていたのだが、電源をいれたら、エンジンも同時に起動した。プリウスは駆動用蓄電池の容量が減ると自動でエンジンが起動する設計になっている。しかし、いつもと異なり、エンジン音が高く、高速で回っている感じである。この状態で、サイドブレーキを外し、次にフットブレーキを緩め始めた途端に、車がかなりの力で前に進もうとした。いわゆるクリープによる前進力が異常に強いのである。怖いので、フットブレーキの緩め方を微妙にコントロールしてゆっくり前進することができた。その数日前にもエンジン回転数は低めだが同じような現象が起きていた。この時も、ちょっとずつフットブレーキを緩めたり、強めに踏んだりの繰り返しで、何とか発進できた。
 普段は電源スイッチを押しても、駆動用蓄電池の容量は十分なので、エンジンはかからず、クリープも普通に制御できている。二回目に不具合を生じたときは、駐車時にエンジンをかけずに、車内でラジオなどを聞いていたので電池容量不足になったのかもしれない。その結果、電源スイッチを押した途端にエンジンが強くかかったようである。プリウスは通常のAT車と異なり、エンジン力と電気モーターの駆動力を同時に流星歯車により駆動系に伝えるように制御系ができているため、エンジンがかかった状態ではクリープ力が強くなるのは理解できるが、それが強すぎで、安全にフットブレーキを緩めることができない状況になったというわけである。いつも通りのようにフットブレーキを緩めたら、急発進していたかもしれない。
 国土交通省の車両リコール・不具合情報サイトを見ると、同じようなトラブルが大量に表示される。中には、フェイクのものや勘違い、不正操作などもあるのかもしれないが、それにしても、プリウスの制御装置だけで350件を超える不具合情報がリストされている。
 今回札幌で暴走したアクアであるが、かなりの経年車のように見える。上記の三代目プリウスのように、機械的な不具合が生じ、電気的な制御系の予測を上回る故障が生じていた可能性はないのだろうか。今回も単にブレーキとアクセルの踏み間違いとして処理されるのだろうか。
 因みに上記の三代目プリウスの不具合について、後日ドライブレコーダー(CDRらしい)を調査したディーラーの工場責任者の回答は、ブレーキペダルとアクセルペダルの2重踏みというものであった。確かにスタート時にブレーキを踏んでいる状態で異常にエンジン回転数が上がっていたので、エンジン回転数の上昇理由としてはアクセルをふんでいたとドライブレコーダー(CDR?)のデータを解釈できるのであろう。しかし、どのようにしたら2重踏みができるのだろうか。私の足の幅は広いところでも10㎝である。トゥーアンドヒールで2重踏みができるほど体が柔らかければ、プリウスなどには乗らなかった。床付近にもマットも含め2重踏みの原因になるような障害物はなかった。
 ディーラー責任者に、今回の不具合が運転者の2重踏みが原因であるというのが結論ならば、口頭ではなく、その旨書類に書いてくれと言ったら、それは拒否されたのである。その理由を聞いても何も答えなかった。
 推定するに制御系のソフトは、車のハードの不具合をすべて予測してプログラムすることは不可能なものであるということは分かっていたようだ。
 暴走事故を起こしてからでは遅いので、このディーラー責任者の対応を見て、その場で、そのプリウスを手放すことを決心した。
 札幌のアクアのドライブレコーダーの記録もこのような解釈がされるのだろうか。運転者も、アクアを永年乗る前に手放した方が良かったのではないかと同情する。

 https://kuruma-news.jp/post/148331/2
によれば、クラッシュデータレコーダー(CDR)かイベントデータレコーダー(EDR)は3代目プリウスには設置されているので、アクアも設置されているだろう。
 問題は、エンジンの回転数以外にアクセルペダルの動きが記録されているのかどうかである。
 池袋事故ではその点があいまいだった。2代目プリウスではどのようなレコーダーだったのか上記の3代目プリウスやアクアはどうなのか。トヨタは警察や裁判所の発表をどう見ているのかはっきりさせるべきだろう。トヨタの公式見解としては運転ミス以外にはありえないだろうが、上記のような書面回答を拒否する無責任なディーラーもいるのである。真実を知りたいたいところだ。
 なお、札幌のアクア事故では、暴走前に一度衝突事故を起こしたらしいので、。その際に車両の制御装置に不具合が生じ暴走に至ったという可能性もある。制御装置の衝突事故時安全性はどう担保されているのかも回答してもらいたい。

広島原爆と長崎原爆の4重の被害と今後の影響2022年08月06日 09:50

 今日は広島の原爆記念日であり、9日は長崎の原爆記念日である。改めて原爆の廃絶を願わざるを得ない。
 ウクライナの事態を受け、一部に核シェアリング論がでているが、アメリカは日本をそれほど信用しているわけではない。また、ペロシ下院議長が広島を訪問しなかったのも核兵器に対する米国の一部の立場を象徴しているだろう。
 それは広島に続いて長崎にも原爆を投下したことと関係している。当時のトルーマン大統領は、日本よりもソ連の脅威を強く感じていた。そのため、核爆発が確実に起こるが大量生産は難しい濃縮ウラン型原爆だけでなく、当時同時に開発されていたプルトニウム型原爆を長崎に落とした。日本がポツダム宣言を受け入れる前に実験する必要があった。広島型原爆で用いられた濃縮ウランの生産には大量の電気と大掛かりな化学プラントが必要だが、プルトニウムは専用の小出力原子炉で容易に発生するので、対ソ連向けの兵器として大量に短時間で生産できる。
 現在の世界の原爆は殆どが金属プルトニウムと核融合による中性子増倍ブースターの組み合わせでできている。しかし、当時は核融合ブースター装置は発明されていなかったので、プルトニウム型原爆が確実に爆発するのか開発者の間でも不安があったのである。そのため、米国は急いで長崎で実験を行ったとしか思えない。
  ウランの同位体と異なり、プルトニウムには自然に核分裂をして、中性子を発生する同位体が含まれている。それはプルトニウム239が原子炉内で中性子を吸収して生成されるプルトニウム240である。原爆の作動原理は、まず、核分裂性の物質を周辺のダイナマイトで圧縮し、十分臨界性をあげた時点で外部から中性子を投入する。その結果、大きな爆発力を得られる。しかし、圧縮途中で中性子が投入されると、その時点で核分裂による熱膨張が発生して未臨界状態に戻り、十分な爆発力が得られない。プルトニウム240による中性子発生が一定以上であると、このような不完全爆発になってしまう確率が増大する。(これがプルトニウム240を多く含む一般の原子炉燃料が核爆発に利用できない理由の一つでもある。)
 従って、トルーマン大統領は、広島に続き、長崎でプルトニウム型の原爆投下をせざるを得なかったのである。
 この二度の被災の結果、日本には更にその後二つの悲劇に襲われることになる。
 即ち、第3の被害は主に広島・長崎の被爆者調査データに基づいたICRPによる被ばく基準の設定に関わる問題である。
 ICRPとは、国際放射線防護委員会(International Commition on Radiation Protection)の略称であり、任意の民間団体だが、歴史的にはX線の医療被ばく被害を防ぐため1930年代に設立された国際X線ラジウム防護委員会がその前身であった。放射線防護に関する基準値の勧告を出しており、各国政府はそれに従っている。日本の法律もICPRの勧告に準拠している。最近の勧告であるICRP Publication2007では広島・長崎の被ばく者発がんデータなどをもとに年間線量基準を勧告している。
 しかし、その低線量域での疫学データが統計的に十分な精度がないため、LNT仮説と言われる直線外挿モデルを採用しており、線量がいくら低くてもある一定の影響があるとしている。
  このデータの元になっている被ばく者データは放射線影響研究所が整理しているが、原爆の軍事機密の影響で、放射線の線源のデータは日本側には十分に公開されていない。広島と長崎では異なる傾向もあり、それが濃縮ウラン型とプルトニウム型の影響を受けている可能性もあるが、詳しいことは公開されていないので精度を向上するには一定の制限がある。また、なぜ、瞬間的な被ばく(原爆では1ミリ秒内で放射線の大部分を被ばくをしている)が1年間の被ばく基準の設定に用いられているのか説明が不十分なままである。
 また、事故時の被ばく基準を通常時とは別に設け、5年間は通常時の20倍まで許容するとしている。その根拠もあいまいなままである。
 この結果、原爆の影響による第4の被害が近年発生した。それが福島事故時の避難区域の線引きである。当時の厚労大臣がこのICRP基準の曖昧さを適用すべきかどうかの専門家の議論を打ち切り、独断で通常時の被ばく基準を用いてしまった。
 仮に上記の事故時の被ばく基準を適用していれば、一般人の避難者は殆ど生じなくて済んだのである。
 これらの曖昧さはもとはと言えば原爆が軍事利用であったためであり、広島・長崎が無ければ、福島の避難民の問題も発生しなかったと言えるのである。
 そこを勘違いして、ICRP基準による現行規制が正しいと信じているマスコミや多数の住民が今後第5の悲劇を引き起こすことであろう。
 それは、話が飛ぶが、太陽フレア爆発による航空旅客、宇宙旅客における白血病とがん発生の増大である。
 その問題を元JALの機長である杉江弘氏がブログで報告している。
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25921.html#google_vignette
 杉江氏指摘の宇宙放射線に関する問題をさらに詳細に分析してみると以下の問題が隠されていることに気が付く。
 年に数回発生する太陽フレアの爆発は従来、磁気嵐の発生は問題にされてきた。しかし、太陽フレア爆発は多量の放射線を発生する。その中には、陽子、中性子に加え、ガンマ線も含まれる。これはその爆発の瞬間に発生する中性子が太陽表面で更に反応して発生する捕獲ガンマ線によるものである。このガンマ線による飛行機の乗客などの被ばくは、原爆の被ばくと同じく瞬時被ばくである。
 太陽フレア爆発は、太陽表面での異常な核融合反応(重水素と重水素が融合)であり、大量の中性子を発生するが、その中性子が太陽に微量に含まれる酸素、窒素など軽い元素に捕獲されて瞬時にガンマ線を発生し、光速で宇宙空間に放射するのである。
 地表にいる人間は大気(水10メートルの厚さに相当する遮へい能力を有する)により、このガンマ線の被ばくはほぼ受けないが、成層圏に近い高空を飛行する国際線旅客、CAや宇宙飛行士はこの影響を多く受けることになる。しかも、その被ばくはこれまで十分に測定されたことはない。今でも太陽フレアの発生自体はこの光速で地球に到達する電磁波(ガンマ線もその一部)により検知しているので、遅れて地球に到達する陽子や中性子の被ばくと異なり、原理的に防ぎようがないのである。
 太陽フレア発生時に飛行中だったパイロットは、航空会社により勤務体制の調整を受け、被ばく量が偏らないように平準化しているらしい。
 しかし、これを知らない一般旅客やCAは被害を受ける可能性が強い。現状のICRP基準は年間被ばく量だけを制限しているので、このような瞬時被ばくに対しては何も規制がないのである。その結果、杉江氏が指摘しているようにCAは白血病の確率が高くなり、一流のスポーツ選手など世界中を飛び回る人々も白血病や固形がんの発症確率は高くなる。
 人体細胞は、放射線に対する免疫機能を発達させてきたが、原爆や太陽フレアなどの瞬時被ばくは、人類が歴史的に出会ったことがない事象であり、免疫機能によるDNA損傷修復が間に合わないタイムスケールでの事象(1ミリ秒レベル)なのである。免疫機能は細胞内の化学反応なのでこのような瞬時に大量に発生するDNA損傷を十分に修復できず、生体内に残してしまう。これが白血病やがん発生につながるのである。
 今後、更に海外旅行や宇宙旅行の機会は増大する。それらの人々のために、瞬時被ばくと年間被ばくの基準を個別に設けるよう、日本を含め、全世界が基準の改正を実施すべきである。そのためには、地球物理学者、医療被ばく関係者も含む新たな委員会を日本主導で設立すべきである。それが、原爆による度重なる被害を受けた日本だけが果たすべき責務だろう。

長崎原爆の日におけるICRP被ばく基準批判2022年08月09日 13:09

 環境省のICRP説明関連ページ
 202003mat1-04-5.pdf
によると、

「国際放射線防護委員会ICRPの勧告の目的の一つは、放射線に対する防護体系を構築するための考察や仮定を与えることによって、確定的影響の発生を防止することにあります。
IRPが根拠としている原爆被爆者のデータは、1回の被ばくである一方で、管理すべき被ばくのほとんどは、長期間の少しすつの被ばくです。そのため、低線量・低線量率による影響軽減分の補正が行われています。動物実験やヒトの細胞における染
色体異常や突然変異誘発の結果等から、様々な数値が報告されていますが、防護のためには係数として2を使うと定められています。つまり1回被ばくに比べ、少しすつの被ばくでは、同し総線量を受けた場合の影響の出方が半分になるということです。」

となっています。

 しかし、この係数2の根拠は何も明らかにされていません。
しかも、原爆の被ばくとは、放射線影響研究所の最新の原爆線源データ報告DS02のP.140にも示されているように、広島、長崎ともに1マイクロ秒以下の瞬間被ばくです。
 1マイクロ秒と1年では13桁もの時間の差があります。即ち単位時間当たりの線量、即ち、線量率が13桁も違うにも拘わらず、その時間線量率の差の影響をわずか2倍として扱っています。免疫機能の観点からは時間線量率が高いほど、即ち、原爆のような瞬時被ばくであるほどDNA修復が難しくなります。従って、線量率が高いほどDNA損傷が生じる確率はあがりますが、ICRPの考えでは、13桁違う線量率に対し、その効果を2倍しか見積もっていないという訳です。
 このような非常識な処理をしているところに現在のICRP勧告のいい加減さがあります。そして、ICRP勧告に従っている現在の日本の法令上の被ばく基準値も同じく大きな問題点があります。

 ICRP勧告に従った政府の指示により、福島の汚染区域の住民は不要な避難を強いられ、多くの間接的な被害を受けました。その中には一家離散や高齢者の避難に伴なう死亡事例もありました。
 また、航空機の旅客やCAなど、太陽フレアによる瞬時被ばくを受ける可能性のある人々も単に年間積分線量による基準を満足していれば、瞬時被ばくからは何の保護も受けられていません。

 それが、線量率効果に対して殆ど何も考慮していないICRP基準を時間積分線量の条件が単に安全側だからと受け入れた歴代政府の責任と米国の軍事機密の壁を破れず、放射線線源データを米国のデータに頼ってきた日米政府設立の放射線影響研究所の問題点があると考えられます。

 今後は日本独自で原爆被ばくの時間データを精査し、ICRP基準に代わる真の時間線量率影響を考慮した新たな基準を確立すべきでしょう。

三宅一生氏の死亡原因2022年08月10日 13:15

 三宅一生氏が先日亡くなった。肝細胞がんとのことである。
癌研などの説明では肝細胞がんは90%がウイルスが原因らしい。肝硬変などから進行して悪化するようだ。
 一方、三宅一生氏は小学校1年、7歳で爆心地から約4キロのところにある広島大学付属小学校で被ばくした。放影研のデータで、同様の条件の被ばく者の線量は、50ミリグレイ程度らしい。また、喫煙歴が長く、がん以外の死因でなくなっている例があるようだ。
 三宅氏の場合、喫煙していたのどうかや、なぜ肝細胞がんになったのかなど一切不明だが、今後も広島や長崎の被ばく者ががんなどで亡くなる例が増えるだろう。
 放影研は、2010年以降、まとまった被ばく者のデータを公開していないように見えるが、今後も継続して調査し、被ばくと発がんの関係を詳細に示してもらいたいものだ。日米両国政府の出資により運営されているそうだが、軍事機密の壁にひるむことなく、線源条件を含む瞬時被ばくの詳細データを明らかにしてもらいたい。また、FPや医療被ばくなど慢性被ばくと瞬時被ばくの相違やICRPの被ばく者データの扱いにおける妥当性検討など、多くの課題があるはずだ。これらの課題の追及により、誰もが納得できる被ばく基準の確立の寄与してもらいたい。
 それは、今後もあり得る原子力災害や核戦争災害において人々の真の健康維持のために役に立つはずである。

ペロシ氏の台湾訪問は本当に藪蛇なのか2022年08月11日 06:59

 40年ほど前、米国に滞在していたころ、その会社の同僚の中に台湾から亡命してきた中国人がおり、台湾独立運動を行っており、親日派でもあった。当時はまだ国民党が大陸から台湾に逃げてきて、台湾住民に強圧的な政治をした影響があり、戦前の日本統治時代のほうがマシだと彼は考えていたのであろう。
 
 今月初めに、米国のペロシ下院議長が台湾を訪問したが、米国政府や日本国内の有識者からは、中国との関係を悪化させ、台湾問題という寝た子を起こすから止めるべきだったという反対意見が強い。

 現在の中華人民共和国政府の言い分は、台湾はもともと中国の一部であり、第2次世界大戦後の国民党と人民軍の主導権争いで負けた国民党が台湾に逃げ延びたということである。
 しかし、上記の独立派の主張のようにそれ以前から台湾は独立していたのであり、日本の占領ののちに、国民党に占領されただけであるという主張も十分理解できる。

 これは、欧州のクリミア半島にも逆の意味で当てはまる。即ち、プーチンが主張しているように、クリミア半島の住民の多くはロシア系であり、本来ウクライナの土地ではなかったが、ソ連の東欧一体化政策の後遺症で、一時的にウクライナ政府に支配されただけであるので、クリミア半島はロシアに戻るのが当然だという主張である。

 このプーチンの主張を受け入れるならば、台湾は、もともと独立しており、一時的に中国本土の政治勢力が支配しただけであるので、中国本土とは一体ではないという主張に妥当性があるのである。

 ロシア語とウクライナ語は、東京弁と青森弁よりも近い関係にある。中国の各地方の言語と台湾で現在使用されている中国語も似たようなものであり、言語と国の関係は複雑で、言語が国を分ける指標にはなりえない。

 では、何が国を形成するのか。ペロシ氏の信念は、民主主義と自由が第一であり、例え国際紛争のネタになろうともそれを追求し、台湾が、現在のウクライナの二の舞にならないようにすることに繋がるという考えであろう。
 しかし、米国政府や軍関係者は中国との力関係を考えて、中国と全面戦争できるほどの戦力差はないと考えたからこそ、ペロシ氏の訪問に反対したのだろう。

 歴史的に見れば、台湾以前にチベット問題があった。1959年のチベット動乱では人民軍が無防備のラサに攻め入り占領した。ダライラマ14世はインドに亡命し、いまや旧チベット政府や数世紀に亘るダライラマ統治は消えようとしている。即ち、中国の武力による他国侵略は歴史的な事実でもある。そのチベット動乱の際、米国は何もしなかったというのがダライラマ14世をはじめ、チベット住民の多数が思っていることである。

 自由と独立を標榜するならば、ペロシ氏の台湾訪問は例え中国政府を強く刺激することになろうとも、このロシアによるウクライナ侵攻の時点で中国の覇権主義への警告として国際社会が受け入れなければならない試練であり、当然、日本も中国と台湾の双方に明確な意思表明をすべきだろう。

 それは一つの中国というのは幻想であり、現在の国際連合の常任理事国制を見直すことを世界中に認めさせることから始めなければならない。

 以上のように、このような難しい国際問題、歴史問題に対する結論はゼレンスキー大統領の主張と同じになった。それ以外に地域紛争を防ぐ手段はない。即ち、ゼレンスキー大統領の認識とは、地域紛争は核大国が核戦争をせずにかつ自国の利益を守る代償として起こってきたものであるという認識である。それが、台湾でも起こるかもしれないということをペロシ氏は無意識に思っていたのだろう。

太陽フレアによるがん発生メカニズム2022年08月13日 17:32

 2022年8月12日の朝日新聞に太陽フレアが2025年に活動期に入るので様々な研究と対策が必要だと書かれている。その中に太陽フレアの地球に及ぼす影響で最初に到達するのはX線と紫外線だと書かれているが、なぜかガンマ線が無視されている。
 X線は電子が物質と相互作用して放射される高エネルギー電磁波であるが、太陽フレアとは太陽表面の重水素原子核の爆発的核融合反応である。その結果、大量の中性子が発生し、その中性子が太陽内の酸素や窒素の原子核に捕獲され、大量の捕獲ガンマ線が発生する。
 X線や紫外線と同時に高速でガンマ線も8分後に到達する。それが、航空機内での搭乗乗客や乗組員を襲う。
 しかし、その被ばく線量はこれまで正しく測定されてこなかった。なぜなら、太陽フレアの発生は地上におけるそのガンマ線、X線、紫外線の増大自体による検知しかできず、その時点で放射線測定器を測定してもすでに被ばくは終了しているのである。
 高空でのガンマ線がどの程度の時間線量率になっているのかは十分な時間分解能のあるガンマ線検出器を航空機に常に積んで置き、太陽フレア発生時(それは原理的にいつなのかは分からないが)に備えて測定を続けている必要がある。
 しかし、これまでそのような測定がなされたことはなかった。
測定ができたのは、フィルムバッジやNaIシンチレーション検出器などの不十分な時間分解能でのガンマ線線量変化のみであり、人体にとって危険な時間線量率が非常に大きい瞬時被ばくがどの程度なのかはわかっていない。
(例えば、
https://www.epa.gov/radtown/radiation-solar-activity
https://www.popularmechanics.com/space/solar-system/a24974/solar-flares-emit-gamma-rays/
M. Yoshimori’, K. Suga’, S. Nakayama’, H.Takeda’, H. Ogawa’, R.J. Murphy2 and G.H. Share’、
”GAMMA RAYS AND NEUTRONS FROM A LARGE SOLAR FLARE ON NOVEMBER 6,1997”、Adv. Space Res. Vol. 30, No. 3, pp. 629-634,2002,
1-s2.0-S027311770200354X-main-1.pdf)
 その結果、現時点では元JALの機長である杉江弘氏の論評にあるように、CAなどに白血病が多いという話は噂の域を出ないのである。
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25921.html#google_vignette
 或いは海外旅行の機会の多いスポーツ選手やマスコミ関係者も白血病が多いように思えるが同様に因果関係は不明なままである。
 放射線や活性酸素によるDNA損傷と修復メカニズムを調べると、短時間に大量のDNA損傷が生じた場合のみ修復できずに損傷が残りがん化することが分かる。
 太陽フレアは原爆と同様に瞬時被ばくであり、2025年にこれが大量発生するならば、現在の年間積分被ばく線量のみで規制している放射線障害防止法は無意味な法律ということになる。早急に瞬間被ばく、時間線量率制限を含むように基準を変更すべきである。そして、無意味な年間線量制限を見直すべきである。

戦争と平和-トルストイとナイチンゲール,プーチン2022年08月16日 01:43

モスクワ河畔のピョートル大帝像
 浦和神経サナトリウムの院長先生がブログで引用している金沢美知子先生の記事
https://jnapcdc.com/LA/kanazawa2/index.html
によれば、
 トルストイとナイチンゲールはクリミア戦争でロシア軍側と連合軍側ですれ違い、トルストイは戦争の現実を自身の内面の向上として向き合い作家活動を始め、ナイチンゲールは戦争の現実的な課題の解決のため赤十字運動に向かったーという趣旨のことが書かれている。
 まさに「万人が善人であり、万人が悪人である」というトルストイの「セヴストーポリ」の八月での言葉が象徴する戦争が今もウクライナに繋がる歴史の教訓である。
 私の小学校の恩師は、どのような戦争体験をしたのか不明だが、戦中派なので国家というものに常に疑問を持っていたようだ。終戦という言葉を嫌い、敗戦の日というべきだと言っていたし、君が代も嫌っていた。戦中派は国家教育の嘘を身にしみて感じている人が多い。
 今日は旧盆の送り火の日である。
確かに、平和を祈る前に、やるべきことはたくさんあると思う。
統一教会問題一つとっても、日韓関係や個人の家庭的不幸の救済に関わる多くの歴史的課題があり、それは単に宗教による祈りだけで救済できそうにない。作られた物語を信じることで不幸を生んでいる例が多い。
 善人と悪人がすべての人に混在しているということを前提に一歩一歩、課題を解決するための活動を微力であっても個々人が開始する以外に平和への道はないようだ。

 写真はモスクワ川の中洲に建つピョートル大帝の像である。
高さは50メートル位はある。プーチンはこのロシアを大国にした初代皇帝の像を窓のすぐそばに見ながら、定宿にしていたモスクワ川沿いのプレジデントホテルで日夜ソ連崩壊後のロシアの政治戦略を練っていたのである。
 今回、プーチンがウクライナに攻め入った理由の一つには、この像を見て、自分もそうなりたいと思ったためもあろう。写真の下に写る、戦争の被害を最初に受けるような庶民の目線でこの像を見ることができなかったのである。

WINDOWS10でモニターが認識できないときの対応策2022年08月17日 04:53

 パソコン3台で一つの大型モニターを切り替え装置を介して共有していた。大型モニターが壊れたため、入れ替えたところ、2台のパソコンが新モニターを認識できなくなった。
 これは切り替え装置か新モニターのどちらかに問題があるのかと苦闘していたが、ネットを調べてみていろいろ調整したところ、以下の手順で解決できた。

(1)認識できなくなったモニターを切り替え装置を外して、パソコンに直結し、認識できるようにする。(モニター直結の場合は認識できることが分かっていた。)
(2)外付けモニターはWINDOWS10の設定でパソコン画面の複製を選ぶ。
(3)外付けモニターのリフレッシュ周波数は50Hzとする。
(4)一旦、パソコンをシャットダウンする。(再起動ではない。)
(5)切り替え装置を含めたモニター接続を行う。
(6)パソコンのスイッチをオンにして起動する。
(7)これでモニター切り替え装置を介してもモニターが認識できるようになった。
(8)WINDOWS10の画面設定で外付けモニターの画面共有モードを任意に変更する。

上記のトラブルのポイントは、モニター接続後のWINDOWS10で再起動を繰り返して接続していたことにある。WINDOWS10では(WINDOWS11もそうだろうが)、再起動とは全体装置のシャットダウンをしてはいないということ、即ち、CPU,メモリだけの再起動だということを忘れていたことにあった。再起動という用語をメモリリセットというように変更してもらいたいものだ。

パソコンにより計算結果が異なる原因2022年08月17日 05:15

 3台のパソコンを使用して同じ計算問題を解いているが、1台だけが微妙に結果が異なる。Eタイプ数値の小数点6桁目ぐらい以下で主要な結果の値が異なるのである。
 同じ実行モジュール、同じ入力データを用いていることは何度も確認したが、原因が分からなかった。CYGWINで同じ計算をしていた時には、この現象はなかったが、WINDOWS10に変更し、WINDOWS用の実行モジュールを採用してからこの微妙な差が出てきたような気がする。しかし、実行モジュールをパソコン間でコピーしてもこの差は無くならない。ネットを検索したところ、以下の問題が原因であることが推定できた。
 それはパソコンのCPUが3台の内、1台がINTELで、2台がAMDであること、また、実行モジュールが64ビットマシン用であることである。
https://qiita.com/Tokeiya/items/ada7bc3bd02d911ce74c

 64ビットの場合の数値のバイト処理がINTELとAMDでは異なるらしい。
 その結果、Eタイプの下の桁に微妙な差が生じるようである。CYGWINの時は実行モジュールのほうが32ビット用だったのでその差が生じなかったということである。
 手持ちでもう一台、遅くて古いINTELの64ビットマシンがあるので、そのうち、どういう結果になるのか試してみたい。
 当面は、系統的な計算はAMDマシンだけで実行する予定でいる。

スピノザ哲学と宗教教義の一解釈2022年08月20日 05:59

 スピノザは16世紀のオランダでユダヤ教会から異端者として破門になった哲学者である。
 彼は、著書エチカにおいて、神は根本原因と定義した。即ち、神とは何物にも影響を受けないものであり、宇宙のすべての原因にもなるものである。したがって、人間には自由意志というものは存在しない。
 私見であるが、一般の宗教には教義があり、キリスト教などでは聖書と称されている。それはスピノザ哲学に従えば、人間が書いたものであれば何者かの影響を受けたものであり、神が書いたものではないはずである。したがって、そこに書かれたものは神とは別の人間の解釈が必ず含まれている。
 ということは、聖書、または宗教の教義とは、誰かの解釈によるものであるから、何らかの世界の影響を受けた存在になっている、即ち、神そのものではない。
 人間は何かに救いを求めたい生き物ではある。宗教はその時に分かりやすい解を用意している。その教義を信じれば救われるということである。
 ただ、その前に、その教義はどこかの誰かが何かの社会状況の影響を受けて作ったものであり、神そのものを表しているものではないということをよく認識しておく必要がある。
 先日、散歩の途中住宅街で見かけた、冷菓を売り歩く二人の若い女性もどこかの団体の所属なのだろう。疲れを知らずに暑い中、通りすがりの人々に声をかけている。
 彼女たちが、誰かの指示で神の行為と信じてこれを行っているとしたら、熱中症のリスクも忘れないことである。即ち盲信することには、熱中症に限らず、人間が絡んだことによるリスクが必ずあるということである。
 信じるということに何らかのリスクがあるのであれば、そのリスクを客観視するのも人間としてとるべき態度であろう。
 このような態度を忘れずに、あらゆる問題に冷静に対処していきたいものである。