日ハム新球場と福島第一発電所の共通点と相違点2022年11月09日 08:30

 日本ハムの新球場のホームとバックネットの距離が、公認野球規則よりも短いことで議論を呼んでいる。
 本日の朝日新聞によれば、日ハムが新球場をアメリカの設計会社に依頼し、そのまま建設されたとのことである。米国では、観客の臨場感を重視し、野球規則は柔軟に解釈しているそうだ。
 日本側はだれもチェックしなかったのか、或いは、問題に気が付いたが、改修は影響が大きすぎるのでそのままになったのか、謎ではある。
 これに比較的似ている話は事故を起こした福島第一原子力発電所である。この原発では、事故時に崩壊熱を徐熱するための非常用電源設備が地下に配置されていた。これは、米国で良く生じる竜巻対策のため、安全設備を地下に配置したもののようだ。それを1960年代当時、米国の技術導入でそのままの設計で福島に建設したとのことである。
 当時、日本側の建設の責任者であった土光敏夫氏は設計チェックを申し入れたが、米国側に設計を変えるならば輸出しないと言われ、電力は米国の配置設計のまま導入せざるを得なかった。地下配置の場合には、津波の海水を被った場合、水が容易に引くことはない。これが福島事故の主要因だった。
 しかし、この津波対策はその後実行に移されることはなかった。改修に関わる費用など非常に影響が大きかったのである。
 日ハムの新球場も改修されることはないだろう。費用の問題に加え、設計が米国の本場の会社であることも影響している。
 
 技術導入では、日米の地理的環境の相違が悲劇的な結果となったが、野球場の場合、日米の文化的状況の相違はどのような決着となるだろうか。プロ野球選手はこの程度の差は技術で吸収してくれることを期待したい。

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