蓄膿症がヒトで慢性化しやすいワケ2023年05月02日 08:24

 先日、岸田首相が蓄膿症の内視鏡手術を受けたとのニュースが流れた。健康管理に気を使っているはずの首相も蓄膿症になるということは理由があるはずだ。

 副鼻腔が魚類や哺乳類に共通の構造であるが、まだその存在意義は明確になっていない。嗅覚に関係するのは当然だが、ヒトで特に蓄膿症(慢性副鼻腔炎)になるのは何故なのだろうか。

 それは、ヒトの顔の構造に強く関係しているというのが個々での仮説である。

 昨日記したように、左右4つずつある副鼻腔(計8腔)と主鼻腔を繋ぐ出入り口は一か所(計8か所)だけである。即ち、各副鼻腔は喉に繋がる主鼻腔との連絡孔は一か所のみであるので、いずれかの副鼻腔に炎症があり、膿が溜まると、それは一か所の連絡口に殺到することになる。
それがスムーズに流れてくれれば、副鼻腔は空になり、免疫機能により炎症は抑えられるはずである。

 しかし、他の哺乳類(犬や馬や猫等)や魚類と異なり、ヒトの鼻は低い。即ち、口や喉の位置に対し、前方に突き出ていない。この結果、副鼻腔は主鼻腔の前方に位置するため、連絡孔より下に溜まった膿は行き場を失い、上手く鼻をかんで(主鼻腔側を負圧にして)空気圧の差により排出しないと蓄積していく。鼻をかまないと蓄膿症多発の要因ともなる。

 寝ているときは、更に問題であり、その膿が連絡孔に落ちようとはするが、立っているときとは逆に各副鼻腔の上方に溜まり、連絡孔付近に滞留して息苦しくなる。これが不眠の原因にもなる。

 恐ろしい重力の影響である。

 昔、ゲーテのベッドを見たことがある。当時のヨーロッパはゆっくり横になって寝ることができない危険な時代だったそうだ。そのため、長座の形で寝るのが一般的で、上半身は鉛直方向で立っている場合と同様の姿勢で寝ていた。
 これならば、副鼻腔の連絡孔付近に膿が滞留せず、息苦しさは無かったかもしれない。ゲーテの詩のすばらしさの秘密がそこから生まれたとしたら、蓄膿症おそるべしである。

 匂いに頼らなくても生きていける未来人は副鼻腔が退化するのだろうか。

副鼻腔の存在意義2023年05月01日 06:15

 副鼻腔という器官は、なぜ必要かまだ明確にはなっていないそうだ。
しかし、この器官は、鼻詰まりやアレルギー、副鼻腔炎の温床であり、耳鼻科医師のために存在しているのではないかと思えてくるー慢性鼻詰まり患者による被害妄想である。

 その存在意義を生物学的に検討した文献があった。
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwj7i8njxNL-AhUaVd4KHSAtCrgQFnoECA8QAQ&url=https%3A%2F%2Fwww.jstage.jst.go.jp%2Farticle%2Forltokyo1958%2F24%2FSupplement4%2F24_Supplement4_347%2F_pdf%2F-char%2Fja&usg=AOvVaw083WbuUYwHZJpcN7iiohst

 「鼻副鼻腔の比較解剖学的研究―鼻副鼻腔の進化―」
東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室 佐久間正迪他(1981)
というもので、真の副鼻腔は,爬虫綱鰐目から成立し、その目的は嗅覚のためのものである可能性が強いとの結論と読める。
 確かにその可能性があるが、別の見方もできる。
 それは、脳の発達の過程で、頭部が重くなり、全体のバランスをとるために、頭部に空気をため込む部分が必要になったのではないかという仮説である。副鼻腔はヒトの場合、主鼻腔と顔面との間に配置された行き止まりの穴であり、その空腔の出入り口は主鼻腔側にのみ開かれている。従って、主鼻腔が仮に水で一杯になっても、副鼻腔には空気が満たされたままなので、水中では浮きの役割を果たす。即ち、頭部を水中から浮かせる方向に機能するはずである。

 なぜ、こんなことを考えたのかというと、私は昔から鼻詰まりがひどく、この出入り口が一か所しかないという副鼻腔の構造には恨みがある。(なお、左右4つずつ副鼻腔があるので合計では8か所の出入り口があるが、各々独立した副鼻腔に繋がっている。)
 その上、ボヤっとして頭が重いせいか(これは掛詞になっている)、水泳も下手で25メートルをやっと泳いで必死の思いで単位をとったといういやな思い出もある。
 
 従って、副鼻腔の本当の存在理由が明らかになったなら、多少は溜飲が下がるのである。(笑、涙)そういえば鼻と目は細い管でつながっているそうなので、その管が副鼻腔側に繋がっていれば、もう少しは溜飲が良く下がったのかもしれない。

政治家が先か国民が先か?2023年04月07日 18:59

 鶏が先か、卵が先か? という話なら、遺伝学的には卵が先になると思うが、政治家が先か、選んだ国民が先に責任を負うのかという話ならばどうなるだろうか。

 政治家女子48党の内紛を見ていると、そのような人々を国会に送り込んだ国民にも問題があると思えてくる。民主党でも自民党でも党首レベルが哀しいレベルという時代があった。これなら中国の共産党独裁のほうがまだましかという感慨を持つ国民も多いだろう。

 ただ、日本には中国やロシアと違い、政治に対する言論の自由があるはずである。数年前、赤の広場のレーニン廟の前でプラカードを掲げただけで警察車両に連れていかれた青年の顔を思い出す。あれがウクライナ侵攻に繫がった政治の空気である。中国でも共産党批判の声はなかなか聞かれない。これも怖いことである。政権が大きな間違いをする可能性は常にある。文化大革命というとんでもない失敗を中国共産党は行った歴史がある。いくら優秀と思われる人でも必ず見落としはある。それを事前に防ぐ仕組みが民主制であろう。

 その制度を成立させる根本原理が言論の自由である。それを政治家女子48党では抑えこむ経緯があったし、今後も起こり得るような気配がある。

 これは、民主主義を理解していない人々がその中にいるのではないかという疑念を起こさせるのに十分な状況にある。

 今からでも遅くはない。言論の自由を保障できる環境を党内に作るべきである。それが帰国できない旧所属議員を作った旧党首の責任でもあろう。

 即ち、選んだ国民ではなく、選ばれた政治家のほうが先に問題を起こした責任者である。私はかの党に投票はしなかったが、かの党の党首は投票をした有権者に対する民主主義のルールを守るという最低の責務を果たさなかったと言えるだろう。

WBC優勝に関する二つの仮説2023年03月22日 19:30

一つはストレスに関する、二つ目はマスコミのお話合いに関するものである。

今回のWBCの主要メンバーの出身県を以下に示す。

出身県別の最多は沖縄の3人(宮城、大城、山川)。岩手(大谷、佐々木)、兵庫(大勢、山田)、愛知(栗林、高橋宏)、福井(中村、吉田)、大分(甲斐、源田)がそれぞれ2人。東京(鈴木)、大阪(ダルビッシュ)である。

このうち、真に長期にわたり活躍したのは、大谷、佐々木、吉田の順になろう。いずれも寒冷地域である。

寒さというものは、ヒトにとって最大のストレスである。ヒトの祖先がアフリカで発生したことは科学的に証明されているが、このために、寒さというものは自然環境における最大のストレスとなる。即ち、暖房設備があることでストレスは低減される。逆に言えば、寒さになれているということはストレスに強いということになる。

 今回WBCで活躍したメンバーが寒冷地域出身であるという事実は偶然ではない。WBCのような高いストレス状況下でも実力が発揮できるように子供のころから鍛錬されていたということである。
 肉体的なストレスと精神的なストレスに強い相関があることは多くの精神神経学者が証明している。

 もう一つの仮説は、マスコミと漫画業界との連携プレイによる試合のシナリオである。アメリカでは、日本の漫画が人気である。
この試合のように漫画のようなシナリオはなかなか思いつかない。誰かが監督に吹き込んだに違いない。(笑)
 即ち、日米の最高峰にある選手たちを組み合わせ、如何にしたら視聴率を稼げるか、マスコミ業界と漫画業界、MLBが話し合い、
今回のシナリオを描いた。本来は、最終回にアメリカが逆転勝ちするシナリオだったが、大谷の実力がトラウトを上回ってしまった。それがMLBの誤算で日本が勝ってしまったという疑惑である。(笑)


空は何故青いのか?2023年03月21日 06:14

 現在の標準理論では、以下のようになるらしい。
(L.クラウス「宇宙が始まる前には何があったのか?」P.92抜粋、文芸春秋社)

「晴れた日に空を見上げれば青空がみえる。しかし、それはヒトが可視光線を見るように進化したからに過ぎない。太陽からやってくる光のピークは可視光線領域にあり、それ以外の波長は大気で吸収されてしまうからだ。」

 即ち、太陽から発生する電磁波のうち、見えるものは可視光線だけであり、空気で吸収されやすい低エネルギーの赤色側の光線は吸収されるので、残りの色である青が見える。

 では、青色よりも高エネルギー側の紫外線やガンマ線はどうなっているのか。

 紫外線は大気圏より上部のオゾン層で吸収される。従って、オゾン層を破壊するようなフロンガスの放出は規制されることになった。

 一方、ガンマ線は大気中で一気圧分=水10メートル分の減衰を受ける。これは核分裂ガンマ線に対し、10桁の減衰である。

 しかし、成層圏近くを飛ぶ国際線ジェットや宇宙飛行士はこの減衰を受けないのである程度のガンマ線被ばくを受ける。通常は数ミリシーベルトレベルであるので問題はない。

 問題なのは、年に数回生じる太陽フレアの爆発時である。この時、瞬間的ではあるが、単位時間当たり5~6桁上の陽子線や中性子線が太陽から放射される。これは太陽表面での爆発的な核融合反応によるものである。

 同書のP.43に書かれているように、太陽には水素、酸素、鉄、ナトリウム、カルシウムが含まれている。太陽フレア爆発により発生する高強度の中性子線がこれらの中重核種に衝突するとガンマ線が発生する。
そのけた違いのガンマ線も太陽フレア時には地球まで降り注ぐのである。
 このガンマ線は瞬間的な被ばくであるので、いまだ正確な測定はなされていない。ただ、パイロットやCAにおける異常な白血病の発生率の増加は観察されている。
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25921.html#google_vignette

 彼らはICRPの放射線被ばく基準は守っているはずである。その値は福島の帰還困難区域の線量よりは十分低い。
 なぜそうなるのか。
 
 それは、ICRP被ばく基準が年間線量のみを想定し、太陽フレアのような瞬間的な被ばくを想定していないためである。即ち、瞬間的であるため、時間積分線量は非常に小さいが、時間的な線量率は非常に高い被ばくである。このような被ばく現象は、原爆や水爆、JCO事故などの核爆発事故でしか人類が経験してこなかった。

 しかし、高空を多くのヒトが飛び回る時代である。太陽フレアの爆発に晒される機会は増える。

 早急に実施するべきことはICRP被ばく基準(これが日本の被ばく関連規制にそのまま流用されている)に対する、時間線量率を考慮した見直しである。もともと、ICRPの基準は、広島・長崎の原爆による瞬間被ばくでのがん発生率を基礎データとしている。これを年間線量規制に流用したところに大きな齟齬があった。

 このままでは、福島ではがん発生は増加せず、東京から海外に行く人々のがん発生は増加することになるのである。このようなゆがんだ法規制体系は変更すべきである。

 高空では青空はどす黒くなる。それはヒトにとって危険な兆候ということになる。

宇宙に果てはあるのか?2023年03月20日 03:33

 宇宙に果ての向こうは?という質問を知人から受けた。
この質問は宇宙に果てがあることを前提としている。
従って、先ずは宇宙に果てがあるかどうかという疑問に答えなければならない。

 現在の標準理論では、以下のようになるらしい。
(L.クラウス「宇宙が始まる前には何があったのか?、文芸春秋社)

宇宙は138億年のビッグバン以来膨張しているので、空間は互いに距離を拡大している。即ち、2次元的な見方をすると、膨張しつつあるバルーンの表面が宇宙と見なすことができ、球体の表面であれば、果てもないし、中心もない。これが宇宙である。

 ということになる。では、なぜ、我々は宇宙空間を3次元的に見てしまうのだろうか。それは、日々の経験により、近くのものは近くに、遠くのものは遠くに固定しているように見えるからだ。従って、宇宙が時々刻々拡大しているのが認識できない。

 それは目に到達する光の速度が、宇宙空間の大きさに比べ、遅すぎるためである。光の速度が十分早ければ、夜空の星が拡大しているのが目で観測できるだろう。星の遠ざかるのが直感できるだろうから。(現在は天体観測の技術向上により、遠くの星ほど遠くに離れていく様子が観測、実証されている。)

 要するに、光の速度が十分早ければ、宇宙空間が拡大しているのが目で見て実感でき、3次元空間などという固定した空間はないと直観できるのである。そうなれば、宇宙の果てという固定した空間における偏見は無くなり、そのような概念は浮かんでこない。
 そのような認識ができないのが、光の速度が宇宙の膨張速度に追いついていない現在の宇宙における人間の認識の限界なのである。

 或いは、別の仮定として、我々の寿命が100億年だったらどうだろうか。宇宙の膨張が一生の間に実感できるのである。お互いの距離が生きている間に見る見る広がっていく。これならば、光の速度が現在と同じでも、宇宙の拡大を実感でき、3次元空間が固定されたものではないと直観できるだろう。

 このように生物やヒトを作らなかったのはなぜか。もし、宇宙が有限な時空であったなら、ヒトは生きる意味を見出すことができないのではないか。いつかは宇宙がなくなると直観するからである。そのようにはヒトを作らなかったということは神様の思し召しということではないだろうか。
(注)しかし、私は無神論者です。

WBCにおけるハーフ選手と国、ウクライナ戦争の関係2023年03月11日 20:34

 日本代表も今やハーフ選手で持っている。
ヌートバー、宇田川、ダルビッシュだけではない。岩手出身の大谷でもかなりアーリアんのDNA遺伝子が混じっているはずである。
 
 なぜ、ハーフのほうが体力的にも、精神的にも強いのか。これは、DNAの突然変異が人工的に進むためである。即ち、国際結構というのは、異なるDNA構造の持ち主によるDNA交差であるので、多様性のある環境適応性のある子が生じる可能性が増えるということになる。

 特にスポーツというのは、厳しい環境条件で秀でた能力の発露が優秀な選手の特長であるので、野球やサッカーのような複合的な能力を要求されるスポーツでは、ハーフが強くなるのは当然である。

 一方、プーチン大統領はロシア帝国とロシア民族の維持のために、ウクライナ戦争を始めた。このような単一民族、単一文化の維持のための戦略は、上記のようなDNA戦略とは逆方向のものである。生物学的にも決して成功するものではない。

 だが、問題はそれほど単純ではない。ハーフがクオーターとなり、更に、ワンエイスになった時、どのようにその選手の国民性を我々は認識するのだろうか。特に、日本人は、そのような混血問題には鳴れていない。近い将来、日本人は国籍法、日本人とは何かという問題で、国論を二分する問題に直面するだろう。

 その時に真の日本における民主主義が問われることになる。
私は、その時、日本においても真の個人主義が成立することを願う。

 そして、その時、国は各人が信頼するに足るものになるだろう。

何故、ビールは美味しいのか?2023年03月11日 20:04

 暖かい季節になってきた。韓国戦にも勝利し、ビールが美味しい。
だが、チェコを侮ってはいけない。ロシアに原子力技術を盗まれたほど科学技術や理系技術に進んだ国でもある。
 
 ところで、なぜ、ビールが美味しいのか。バドワイザーはチェコが元祖である。その製造方法が微妙な人間の味覚にマッチしたのである。

 もう少し、分析を重ねると、要するに、炭酸ガスという生物にとって酸素でも炭素でもない、そして、水素でもない、細胞にとててゃあまり経験のない化合物が、水という慣れしんだ物質に混入して、微妙な刺激を、最も人が敏感な咽喉部分に刺激を与える。それが、微妙に甘い大麦の味と混ざるのであるから、美味しくないはずはない。

 バドワイザーを飲みながら、チェコに感謝しつつ、WBCの準決勝進出を願おう。

 現在のスコアは日本3-チェコ1である。

タリウムの毒性が特に強いわけ2023年03月07日 05:16

 京都の大学生がタリウム中毒で死亡したようだが、タリウムの毒性は他の重金属に比べ、際立っている。
 Wikiによれば、ウランが硫酸ウラン形態で242mg/kg—ラットであるのに対し、タリウムは酢酸タリウム形態で12mg/kgーヒトであるので20倍毒性が強い。

 一般に重金属の毒性は強いものであるが、ウランより毒性が強い理由は以下のようなものではないか。

 まず、ウランよりもタリウムの地殻中の存在比が非常に小さい。  ウラン1.8ppmに対し、タリウムは0.5ppmである。

 それだけ、ヒトはタリウムに晒された経験がなく、免疫性を獲得できないまま進化してきたということになる。

 更に問題なのは、タリウムの化学特性がカリウムに近く、カリウムと置換する化学反応が生じやすいことである。このため、カリウムの重要な生体維持機能(細胞の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡の維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働き)を阻害してしまう。

 毒殺事件は特に捜査が難しく、過去に多くの冤罪疑い事件を生んでいる。(仙台のクリニック事件、大崎町での事件、名張の事件など)
 今後の捜査の進展を見守る必要がある。

浴室の紫外線による消毒方法について2023年03月04日 08:58

 モーニングショーなどの報道によれば、九州のとある有名温泉旅館では公衆浴場法違反の絡みで社長が交代したそうである。どうもお湯の入れ替えを年に2回しかしなかったようだ。

 確かに、お湯の中の細菌類は清潔に保たない場合にはかなり簡単に増殖する。
 その細菌を吸い込むことで感染症に罹患する確率が上がる。

 先日、肺マック病(非結核性抗酸菌症)になった家人の対応のために、いくつかの対策を行い、有効性があったようだ。(2023年2月22日ブログ記事)

 その主な方策はUV-C(高エネルギ紫外線)による浴室消毒である。卓上型の紫外線照射装置で一日15分程度照射する。その間は浴室には立ち入れないが、人感による照射停止装置が付いているので安全性はある。このフィリップス製4200円の簡単な装置により、浴室内が清潔になった。タイル目地の黒ずみがなくなった。クレンザーによる洗浄は不要で、時々液体洗剤で流すだけで十分だ
 
 では、UV-Cの殺菌力、人体への影響はどの程度だろうか。

詳しくは
https://e-dnl.jp/media/UV-QA
に出ているが、1m位置で15W照射装置の場合、このフィリップスの説明にあるように15分もあれば浴室表面消毒には十分である。目や皮膚に影響があるが、直接照射を受けなければ人体への影響はない。お湯は捨てた状態で照射するので、バスタブ内も綺麗になる。

 では、浴槽の底の消毒をお湯を張ったまま行うと想定した場合を考える。温泉の場合は、入浴できない時間は短い方が方が客にとっても望ましい。問題は、水中でどの程度UV-Cが減衰するかである。その実験をした、
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1917/36/3/36_3_89/_article/-char/ja/
 の図6によれば2537nm紫外線で、25㎝の水の透過で線量は半分になる。
即ち、1mの水深とすると指数関数的に減衰するので、水表面の約6%の線量となる。(これは核分裂ガンマ線の水中での減衰率と大差ない。)
 従って、1m水深の浴槽底の消毒には
 15分/0.06=250分(約4時間)
の照射が必要である。
 これだけの立ち入り禁止時間を設けた上、各水面の点から1m以内に照射装置が配置する必要もある。即ち、多くの照射装置と電力が必要である。これでは、お湯の入れ替えをして人力で浴槽を清掃したのほうが経済的だろう。
 なお、ひとくちにUV-Cと言っても、減衰率の波長依存性が大きい。マウス実験によりDNAに影響しない波長を見つけ、売り込もうとしている装置もあるが、マウスとヒトではDNA修復機構が異なるので注意が必要だ。

 生物の進化の過程で、海中で進化を遂げた生物種が、海中から地上に進出するには、酸素生成、すなわち、葉緑素を持つ植物の進展と上空での酸素の放射線分解で出来るオゾン層の生成による太陽紫外線の遮へいが必要だった。即ち、紫外線や太陽ガンマ線は生物一般に有害だが、オゾン層の遮蔽効果により、海水中から地上に進出できた。その過程で、地表の生物は紫外線、ガンマ線にはある程度耐えられるようになり、免疫ができるようになった。紫外線レベルは緯度に依存し、また、ヒトのこれらの放射線にたいする耐性は皮膚色により変わるので、大航海時代以降は低緯度に移住した白色人種の皮膚がんが問題になってきた、
 今や宇宙旅行時代であり、ジェット機による高高度旅行時代でもあるので、宇宙線による被ばく、特に太陽フレアによる瞬間高線量率被ばくが白血病などの増大に影響する。大気圏外でのガンマ線は地表より一桁大きい。
 早急に紫外線、ガンマ線の線量率を考慮した被ばく基準の見直しが必要である。