最も怖い天災2023年06月19日 11:24

先ごろ、地震が滅多に起こらないと思われていたフランスでM5級の地震が起こり、多くの家が倒壊したとのニュースがあった。

 地球はどこでもなんでも起こりうるということだろう。

 地震雷火事親父とはよく言ったものである。現代の親父はプーチン大統領ではないだろうか。勝手に怒って多くの市民と財産を犠牲にしている。

 ここでは、それとは関係のないもっと怖い天災としての小天体の地球への衝突を考えてみる。

 年間10個程度は地球に隕石が落ちてきているらしい。その中には、数年前にシベリアに落ちた100kgレベルの隕石もあるし、恐竜をほぼ絶滅させたという巨大隕石もある。

 NASA等はそのような事態を検知するため、観測を続けているが、実際に小天体が衝突すると予測された場合、どのようなシナリオがありうるだろうか。

 小天体といっても大きさも重さも発生源もさまざまである。大部分は大気との摩擦でもえてしまうのだが、地表まで到達するものも確率的にはそれなりにあるので隕石が見つかるということになる。

 従って、対応シナリオといっても、どのようなサイズのものがいつ頃落ちてくるのかを分類して議論するべきだろう。

 やはり、恐竜を絶滅させたような巨大隕石が予想された場合が、最悪シナリオである。
 地球はしばらくは全面核戦争以上の運動エネルギーを受けた結果、高温状態になり、大気も殆ど失われることになる。地上にいても、地下であったも人類はほぼ死滅するだろう。恐竜も小型の鳥以外は生き延びられなかったのである。

 ここで参考になるのは、小松左京のSF「復活の日」である。映画でしかこのSFは知らないが、この映画では、人類をほぼ絶滅に追いやったのは生物兵器である致死性ウイルスである。それを積載したジェット機の墜落により世界中にウイルスが拡散し、隔離された南極越冬隊のみが生き延びることができたというシナリオである。

 このシナリオを小天体衝突に当てはめると、現在の国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士が南極越冬隊員に相当する。従って、ISSの飛行士は常に複数の男女である必要がある。これらの男女は、映画のオリビア・ハッセイと草刈正雄よろしく、男女の情を抑えて、多くの子孫を生産する義務を負う。
 地上に残された我々は、その支援を最後の日まで続ける義務を負う。分かりやすいシナリオである。

 その次に分かりやすいシナリオは影響が機微な通常の隕石レベルの小天体である。
 ある程度の確率で人や家屋に衝突するが、運が悪いとあきらめてもらうしかない。

 そして、最も分かりにくく争いになりそうなのが、その中間のレベルの小天体である。

1910年のハレー彗星接近では、フランスの天文学者の説により、地球の空気が失われるといううわさが流れ、大パニックになったそうだ。天文学の重要性が分かる逸話である。現代では、次回のハレー彗星接近でこのような間違いはないだろう。

 高性能の観測が整備されている現在、最も怖いのは、未発見の小天体が突然現れ、その小天体との衝突が避けられないということが数日~数年前に分かった場合である。数日前なら原爆シェルターか地下街に避難し、後は運を天に任せる以外にないだろう。その時点で地球のどの地点に落ちそうか分かれば、それ以外の土地や海上にヒトが押し寄せ、大混乱になるだろう。しかし、死者数を抑制するという意味では、高精度の軌道予測は重要である。

 結構対応が難しいのは、数年前にかなりの大きさの小天体の衝突が予測された場合である。衝突日は分かるだろうが、それまでのタイムスケジュールの中で、大混乱が予測される。その中身は、国際関係や国の存立を揺るがすものになるだろう。ある程度、落下位置が分かり、それが仮に日本だったとすると、再度、小松左京のSF「日本沈没」が参考になる。日本から大陸に避難しようと大勢の日本人が中国や韓国に渡ろうとするが、それまでの歴史的な問題から、入国を拒否されるのである。今、日本国は難民認定を厳しく制限しているが、このような状況が生じることを想像すれば、せめて世界の標準レベルの難民政策をとるべきだろう。

 即ち、宇宙の小天体衝突というような、非現実的とも思える状況というものが、現在国会で審議されている身近な法律問題に直結しているものであるということを再認識すべきだろう。

亜鉛の罪ーあえん罪とは?2023年06月17日 18:55

 以下の話は酔った状態で思いついたものですので真面目には読まないでください。
 
 酔って怒りっぽくなるヒトは多い。周りの人を貶しめ始める。

その話が公共の福祉を目的としており、事実に基づくものであれば、名誉棄損罪にはならない可能性が大きい。例えば、お前は無知で貧乏だといわれても、それが事実なら名誉棄損罪にはなかなかできない。しかし、その話が事実でない場合には、より軽い侮辱罪になるそうだ。

 しかし、彼が大量に飲んでいる場合、それは冤罪である可能性が強い。いや、正確には一つのえん罪、すなわち、あえん罪である(??)。

なぜなら、それは血液中の亜鉛不足に起因するものであり、一種の外因性の精神疾患ともいえるものだからである。精神疾患の場合、ヒトを罪に問うことは難しい。
 
 酒を体内で消化する際に、腎臓は亜鉛を大量に消費する。栄養状態が悪く、亜鉛不足気味のヒトは、その結果、亜鉛が血液中延いては大脳皮質で不足し、理性を失うのである。

 即ち、この状態は亜鉛が悪さをしている亜鉛の罪すなわちあえん罪なのである。 実は、罪を憎んでヒトを憎まずという話はここから来たらしい。 (お後がよろしいようで?)

飲む時は亜鉛を摂取することが重要という話2023年06月13日 06:05

 先日、Zoom飲み会に参加していたら、突然ある参加者が怒りだし、暴言を吐くようになった。どうも他の参加者の発言が気に入らなかったらしい。ただ、それまでの彼の発言は普通だったので、全員が驚いてしまった。それは、開始後3時間くらいたった後だった。飲みすぎだったようだ。

 これは推測するに、彼の体内亜鉛濃度が異常に低くなったためであろう。ネット情報によれば、アルコール分解のために、亜鉛が使われる。一方、血中の亜鉛が不足するとヒトは前頭葉の作用が異常になり、理性が働くなるのである。勿論これは全員がそうなる訳ではなく、栄養状態が悪かったり、偏ったりしているヒトがたまたま飲みすぎで怒り出すことがある。飲むと人が変わるという話はよく聞くが、多分亜鉛不足、栄養不良が関係しているのであろう。

 ちなみに亜鉛の含有量が最も高い食品は、牡蠣であり、レバーも相当高いらしい。明日、焼き鳥屋で飲み会があるのだが、普段の行ないの反省から、レバーをたくさん注文することに決めた。

 スマートウォッチに血中亜鉛濃度測定機能があれば、直ぐに購入したい。また、関係者の開発に期待したい。これは日本では大量に売れるだろう。運動不足だが飲むのは好きという人種は日本には多いのだから。

被ばく量とがん発生率の相関関係の謎2023年06月11日 16:10

二つの放射線被ばく量とがん発生率に関する論文がある。

一つは英国原子力作業従事者のがん発生率に関する論文で

https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwi72KCkjbL_AhWB0mEKHUPHDlAQFnoECA0QAQ&url=https%3A%2F%2Fwww.rea.or.jp%2Fwakaruhon%2Fhonbun%2FNo12honbun.pdf&usg=AOvVaw1YAUV1yMHamGbobK562fDZ

まとめとして、
「英国では原子力施設で働く放射線業務従事者について、死亡原因
と放射線被ばくの関係を調べるための調査を行っています。(この
ような統計的調査を一般に疫学調査といいます)放射線業務従事者
約10万人を調査対象としており、1945年から1988年まで
の調査では調査対象者の平均線量は33.6ミリシーベルトでした
が、「がん」および「がん以外の病気」による死亡率はいずれも英国
国民平均に比べて15%以上低い値でした。」

と記載されている。
即ち、自然からの被ばく線量2.1ミリシーベルト(日本の場合)を考慮すると、
英国では、日本の自然放射線の15倍程度の人口放射線を浴びた原子力業務従事者のがん発生率が一般人より15%低くなるという統計データがあるということになる。


ふたつ目の論文は、米国の航空機客室乗務員に関する調査で、

https://www.arpansa.gov.au/cancer-prevalence-among-flight-attendants-compared-general-population

客室乗務員の年間電離放射線量は3.07ミリシーベルトで、乳がん、子宮頸がんの有病率は一般人の約1.5倍となっている。


即ち、英国のデータでは、年間約34ミリシーベルト浴びるとがんによる死亡率は15%減るが、米国のデータでは、年間約3ミリシーベルト浴びるとがんは約1.5倍増えるということになる。地上の自然放射線は約2ミリシーベルトだから、ちょっと浴びるよりも15倍浴びたほうが健康によいというデータに見える。

この関係は一種の謎であり、その理由は両論文では明らかにはされていない。


このような一見矛盾した統計データが出てくる原因についての、私の推定は以下のとおりである。

それは、日本国政府も採用している基準である、国際放射線防護委員会(ICRP)の被ばく基準の設定に問題があるということである。

ICRPの基準は、広島・長崎の生存者におけるがん発生率に基づき、原爆の被ばく線量とがん発生率に比例関係があると仮定している。
この仮定のもと、自然被ばく線量の地域的揺らぎの範囲内として、一般人の被ばく許容線量を年間1ミリシーベルトとし、また、原子力作業従事者は職業であることから年間50ミリシーベルトにしている。

しかし、広島・長崎の原爆は爆発の時間である約1ミリ秒で浴びた瞬間的な被ばく事象による放射線量であり、年間(365×24×3600×1000ミリ秒)における被ばく線量ではない。

一方、客室乗務員は年間5回程度発生する太陽フレア(太陽表面の短時間核融合反応増大現象)による被ばくを浴びる。これはガンマ線も含まれ、それは秒単位で浴びる瞬間被ばくとなる。

上記、原子力作業者の1秒当たりの被ばく量は、
年間被ばく労働時間を約1000時間と想定した場合、総計34ミリシーベルト浴びるので

 34/(1000*3600)=9.4×10のマイナス6乗ミリシーベルト/秒
となる。

一方、上記、客室乗務員の1秒当たりの被ばく量は、
太陽フレアが年5回発生、被ばく時間が1秒とすると、客室乗務員の単位時間当たり被ばく量は

 3/5=6×10のマイナス1乗ミリシーベルト/秒

となる。

即ち、客室乗務員は5桁も大きな瞬間被ばくを受けている。即ち、広島・長崎の被ばく者に近い被ばく形態なのである。

このパラドックスは、1.8リットルの醤油を1年間でゆっくり飲めば健康に良いが、一気飲みをすれば重大な健康被害があるという議論に似ている。

生物学的には、がん抑制遺伝子が機能し、ゲノム損傷を修復するためには有限の時間が必要なのである。瞬間の大量被ばくではがん抑制遺伝子が十分機能できないのではないだろうか。

何故なら、原爆も高空での太陽フレアも、生物の進化の歴史でこれまで経験したことのない被ばく形態なのである。免疫機能であるがん抑制遺伝子が働く可能性は小さい。

このように瞬間被ばくのデータをもとに長時間の被ばくの影響を単に時間積分総線量のみで規定するICRPの基準自体に大きな欠陥があると考える。

念のために言うと、客室乗務員だけでなく、国際線で高空を飛行する一般乗客も同じ被ばくを受けるのである。

2025年は太陽フレアの活動が活発化すると言われている。

早めにこの問題の対策を行い、太陽フレアによる瞬間被ばくによるがん発生増加を抑制しなければならない。しかし、太陽フレアからのガンマ線は光と同じ速度で地球の大気上層に到達するのだから、今のパイロット並みの対策しかないのかもしれない。
(太陽フレアが発生したときに乗務していたことが分かったパイロットはしばらく乗務を停止する勤務調整をしているそうである。)

このままでは、がん発生のリスクに関し、最も危ないのは客室乗務員と頻回の一般利用客だけということになるのかもしれない。

6月13日追記
ではなぜ一般人より被ばく量の多い原子力従事者のがんが少ないか、という理由だが、これには2つの理由が考えられる。

ひとつは、ある程度、放射線を浴びている事で、がん抑制遺伝子の活動が活発化し、免疫機能が向上することである。

もう一つは、紫外線消毒と同様、ガンマ線を浴びることで、体内外の細菌が死滅し免疫機能に余裕ができて、前癌状態に対する応答に対応することが容易になると考えられることである。

ヒトは何故山に登るのか?2023年05月26日 07:24

 歩きながら考えた。
 街を歩けば角がある。
 蝶も風吹けば流される。
 とかくこの世は分からない。

 と思いながら、ふと見上げると軒の向こうに見慣れぬ小高い杜が見える。
 大通りから左側の路地に入りその先に杜はあるようだ。
 その杜を目指して、裏道を辿ると、大きな鳥居が現れた。
 それは、杉山神社というその付近では結構大きな神社だった。
 周辺はすでに都市化しているが、その一角だけは、小高い森になっており、
 石段の先に大きな社があった。

 昔のヒトはなぜ、此処に社を建てたのだろう。
 それはどこからも見えるからに違いない。そして、思った。
 ヒトが山に登るのは、神に近づけるという意味もあるかもしれないが、
 高いところに登ると世界全体が見渡せるという知的好奇心のなせる業なのだろう。
 いつも平地を歩いていると遠くに理想郷があるのかもしれない。それを高いところに登ってみてみたいという本能が、安全な平地に住むよりも、山登りというリスクのある行為に向かわせるのだろう。

 夏目漱石は素晴らしい文章を残してくれた。有難い。

客室乗務員の被ばくとがん発生の相関関係2023年05月14日 06:36

 米国での客室乗務員の被ばくやがん発生などの調査が下記のサイトにある。

 https://ehjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12940-018-0396-8

 これによれば、米国のCAの乳がんや皮膚がんの発生率は、一般人の2倍近い有意な増加が認められている。

 一方、日本の場合、下記の保険物理学会サイトで航空機乗務員への被ばく基準として年間5mSv以下が推奨されているが、系統的な調査はされていないようである。この年間5mSvというのは、上記の米国での調査での平均被ばく線量と大差はない。

https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwik1Jn5ovP-AhXP4GEKHT0vCE0QFnoECAsQAQ&url=http%3A%2F%2Fwww.jhps.or.jp%2Fupimg%2Ffiles%2Faircraft-guideline.pdf&usg=AOvVaw2uJlhhrVM-xBafwbl6Qvbk

 なぜ、米国で一般人と有意な差が生じているのだろうか。

 私見だが、太陽フレア発生時のガンマ線被ばくが影響している可能性がある。上記の保険物理学会サイトでは、太陽フレアに対する注意の指摘はなされているが、規制方策は明確ではない。

 太陽フレアはコロナ内での爆発的な核融合反応発生であり、その瞬間にガンマ線も発生している。そのガンマ線は防護も正確な測定も不可能に近い。なぜなら、地球に到達していることを事前に感知することは不可能だからである。

 個人線量計を客室乗務員が装着していたとしても、長期のガンマ線線量にはカウントされるが、瞬間被ばく時の時間線量率は計測できないシステムである。

 しかし、生体のがん発生メカニズムを考えると、時間積分線量は小さくても瞬間的な高線量率被ばくが最も危険だと思われる。
 即ち、瞬間的高線量率被ばくでは、DNA損傷を修復するためのP53等の修復遺伝子の機能が働くための時間的余裕がないので、損傷が放置される可能性が低線量率被ばくに比べ増大すると考えられるからである。
 また、太陽フレア時には、大量の中性子、陽子などの粒子線も地球に到達する。

 これらの太陽フレアによる瞬間的ガンマ線、粒子線の高空における被ばくは、広島・長崎の原爆被ばく以外、人類は経験したことがない。即ち、免疫機能が働かない被ばくとなる。
 (なお、地上での太陽フレア被ばくは1万mの大気層による遮へいがあるので、高空より10桁程度小さくなる。)

 これは、客室乗務員だけでなく、乗客も同じ状況になる。2025年は太陽フレアが最も活発になる時期である。早急にこの問題の調査検討を行う必要がある。

花粉症、ディーゼル排気とホルミシスの関係性2023年05月13日 11:40

 嵯峨井勝著「PM2.5,危惧される健康への影響」本の泉社(2014)によれば、
 国立環境研究所での動物実験で分かった健康影響とその作用メカニズムとして、以下の話が出ている。 いわゆる点鼻投与実験で、アレルゲン (OA、 卵の白身のタンパク質) 単独投与あるいは DEP(ディーゼル排気粒子) 単独投与ではアレルギー反応の指標である IgE抗体価は検出限界 以下だったが、両者を併用投与するとほぼ100 倍にも増えたと報告されている。
 マクロファージはアレルゲンとして受け取った情報をT細胞を介してB細胞 (B リンパ球)に伝え、直ちに異物と特異的に反応するIgE抗体を大量に作れと命令する。 IgE抗体は、肥満細胞の表面にある受容体に結合します。 この状態のところへ2度目に入ってきた抗原がアレルゲン IgE の頭の部分に結合すると肥満細胞は活性化され、 PAF、 LTB4、 ECF-A などの化学物質が放出されクシャ ミ、鼻水、鼻詰まりなどのアレルギー反応を引き起こす。
 さらに、 PAF、 LTB4、 ECF-Aなどは白血球の一種である好酸球にも作用し、 より多くのアレルギー反応 を引き起こします。スギなどの花粉は30~50μm と非常に大きいので鼻腔で引っか かり、気道や肺には入らない。 そのため、 症状は目や鼻の粘膜に限ら れるのです。 一方、カビやダニの死骸などはPM2.5なみの大きさなの で気道の奥まで侵入して気管支喘息を引き起こす。

 ということである。かなり複雑な機序だが、DEPとスギ花粉が同時に取り込まれることで、花粉症が発症し、DEPとPM2.5物質が同時に吸入されると気管支喘息が発症することになる。

 最近のクリーンディーゼルの排気ガス中のDEPは粒子が細かいので花粉症をより引き起こしているのかもしれない。数十年前は、奥多摩などの山林地帯でのスギ花粉症発症は少なかったとのことであるが、今は都会との差が小さくなっているようだ。車社会の進展や中国の大気汚染の影響なのかもしれない。

 ところで、この本の別の個所に、自動車研究所で行われた、DEPを薄めた場合の動物実験結果が示されている。
 
 この実験では、0.01μg という、 環境研究所で行った実験で用いたアレルゲンの100分の1と言う極めて微量のアレルゲンを2 年間に渡って繰り返し投与している。著者によれば、これは、 結果的に減感作療法 を行ったことになり、 喘息にならないようにする治療実験をしたことになる。 それに対し、環境研究所の実験は、 1μg と いう通常の実験で用いられている量のアレルゲンを投与する実験だったので、 喘息の基本病態が発現したとのことである。

 この自動車研究所の実験は、薄めた物質が逆に免疫機能を強める、ワクチンのような効果を示していると思われる。ある意味では、放射線ホルミシスのようなものとも共通している。ホルミシスは、生体に有害だと思われる物理化学的な作用を、微少量長期的に投与することで逆に免疫機能が強化されるもので、放射線ホルミシスに関しては、がんの発生確率が被ばくしていない場合よりも下がること可能性を示したものである。

 ICRP(国際放射線防護委員会)の被ばく防護基準では、放射線ホルミシス仮説とは逆に、閾値無し仮説を支持しているし、そのICRP基準で日本の放射線関係法規も作成されている。しかし、ICRP基準のベースは広島・長崎の一回きりの被ばくデータである。上記のような長時間低量被ばくとは状況が大きく異なる。このような被ばく状況での閾値やホルミシス効果の有無を早急に解明する必要がある。

コロナワクチン接種を受けるべきか?2023年05月08日 17:26

 免疫機構の複雑さは勉強すればするほど悩ましい問題となる。
 ここでは仕方なく直感で現状でのコロナワクチン接種の可否を判断してみる。
 
 結論は、誠に申し訳ないが、接種してもしなくても大差ないのでどちらでもよいという無責任なものである。

 なぜなら、ワクチンが新たなオミクロン株に有効なのかどうかエビデンスが見つからないという点にある。

 多分、従来のワクチン接種の常識からは、免疫機能強化(オミクロン株感染時の抗体反応強化)のためには有効なのだろう。しかし、今回は、定量的なデータが見つからないし、テレビで見るワクチンメーカのCMは無責任すぎるものである。
 ワクチンの接種効果に関する評価ではネガティブな例もある。
https://urawasanatorium.com/seisitu/

 従って、実務的な対応としては、もし、現時点で体調に異常が無く、副反応の恐れが小さいならば接種しておいた方が良いだろうが、副反応の影響が大きい、或いは体調がすぐれないならば、接種は延期したほうがよいだろう。

積極的な寝返りによる鼻詰まりの解消法2023年05月04日 04:32

 顔のすぐ裏側にあり、鼻の左右に縦に4つずつ、計8個並んでいる副鼻腔から主鼻腔に連通する孔は各々1か所しかない。
 従って、睡眠中に、副鼻腔内に溜まった膿を主鼻腔に排出するには、この連通孔の向きを鉛直方向に向けることが必要になる。
 そのためには、詰まったほうの鼻が上向きになるよう顔の角度を変える、即ち、寝返りをうつことである。

 実際、睡眠中に鼻詰まりを感じた場合、詰まったほうの鼻を上方にむけてしばらく経つと鼻が通るようになる。
 時間をかけずに、すぐに鼻を通すためには、反対側の鼻孔を塞ぎながら、その鼻をかむことである。詰まったほうの主鼻腔に気流が生じ、副鼻腔よりも負圧になるので、副鼻腔から膿が主鼻腔に流れやすくなる。(なお、鼻の周りを蒸しタオルなどで暖めたり、指圧により外側から副鼻腔を構成する軟骨部を押すことでも副鼻腔内の空気圧力が高まり、膿を排出する助けになる。)

 その状態でしばらく経つと副鼻腔内の膿が流れ出て鼻がつうじるようになる。

 以前、鼻呼吸は左右どちらかで行われており、数分ごとに変わると聞いたことがある。これは起きているときは有効だが、寝ているときは下向きの鼻腔では呼吸がしにくい。その結果、下向き方向の副鼻腔は膿が溜まりやすく鼻詰まりになり易い。

 これを解消するには、できるだけ自然に寝返りを打ちやすい枕にする必要がある。それでも鼻が詰まって目覚めてしまった場合には、上記のような意識的な寝返りにより、鼻詰まりの解消が期待できる。

 なお、流下した膿は咽頭付近に滞留するので、随時うがいをしたほうが良いだろう。

蓄膿症がヒトで慢性化しやすいワケ2023年05月02日 08:24

 先日、岸田首相が蓄膿症の内視鏡手術を受けたとのニュースが流れた。健康管理に気を使っているはずの首相も蓄膿症になるということは理由があるはずだ。

 副鼻腔が魚類や哺乳類に共通の構造であるが、まだその存在意義は明確になっていない。嗅覚に関係するのは当然だが、ヒトで特に蓄膿症(慢性副鼻腔炎)になるのは何故なのだろうか。

 それは、ヒトの顔の構造に強く関係しているというのが個々での仮説である。

 昨日記したように、左右4つずつある副鼻腔(計8腔)と主鼻腔を繋ぐ出入り口は一か所(計8か所)だけである。即ち、各副鼻腔は喉に繋がる主鼻腔との連絡孔は一か所のみであるので、いずれかの副鼻腔に炎症があり、膿が溜まると、それは一か所の連絡口に殺到することになる。
それがスムーズに流れてくれれば、副鼻腔は空になり、免疫機能により炎症は抑えられるはずである。

 しかし、他の哺乳類(犬や馬や猫等)や魚類と異なり、ヒトの鼻は低い。即ち、口や喉の位置に対し、前方に突き出ていない。この結果、副鼻腔は主鼻腔の前方に位置するため、連絡孔より下に溜まった膿は行き場を失い、上手く鼻をかんで(主鼻腔側を負圧にして)空気圧の差により排出しないと蓄積していく。鼻をかまないと蓄膿症多発の要因ともなる。

 寝ているときは、更に問題であり、その膿が連絡孔に落ちようとはするが、立っているときとは逆に各副鼻腔の上方に溜まり、連絡孔付近に滞留して息苦しくなる。これが不眠の原因にもなる。

 恐ろしい重力の影響である。

 昔、ゲーテのベッドを見たことがある。当時のヨーロッパはゆっくり横になって寝ることができない危険な時代だったそうだ。そのため、長座の形で寝るのが一般的で、上半身は鉛直方向で立っている場合と同様の姿勢で寝ていた。
 これならば、副鼻腔の連絡孔付近に膿が滞留せず、息苦しさは無かったかもしれない。ゲーテの詩のすばらしさの秘密がそこから生まれたとしたら、蓄膿症おそるべしである。

 匂いに頼らなくても生きていける未来人は副鼻腔が退化するのだろうか。