日韓の歴史と統一教会2022年07月16日 06:48

 報道によれば、統一教会の高額寄付金問題は日本だけで生じているとのことである。教祖が過去の歴史をもとに、日本から資金を集め、その資金で統一教会の教義を世界に広める原理とシステムを構築したようだ。非常に賢いやりかたである。
 確かに、戦前の日本には朝鮮半島を占領し分断に導いた歴史と負い目がある。それが先祖の過ちであり、現世の人間に災いを及ぼしているという理屈には一定の真理があると言え、その一貫性が日本の信者には納得がいくのであろう。そして、その償いのために高額の寄付をし、統一教会側は当然のようにそれを受け取る。
 しかし、国家間の交渉も歴史もそれほど単純ではない。その歴史認識を利用し、一部の政治家や教祖などの権力者が一般庶民を食い物にするのは以前からどこの国にでも起こっていることである。特に家族関係で悩む人々にとっては、宗教だけが唯一の救いになることが多い。
 日本では、大事故が起こると、それは天災ではなく、人災だとマスコミは良く騒ぐ。確かにその側面はある。天災は神様の思し召したが、それでは納得がいかないのである。人災ならば、誰かの問題であり、納得しやすい。
 家族のトラブルも同様である。それがだれか過去の関係者、即ち、先祖の問題であれば、それを償うことで問題は解決し、救われると教え込まれれば、高額寄付をすることもいとわないのであろう。
 これは大きな社会問題、外交問題ですらある。税制から宗教団体の経済活動を抑制しようという案もあるが、第一義的には、家族関係の問題を社会的にどのように救済するかである。
 その大部分は配偶者の不倫に伴う悩みや家族の精神疾患に伴う悩みであろう。
 これらの悩みの解決のために宗教が頼りにされているが、そこだけに依存するのではなく、公共の相談窓口の拡充や、精神医療の一般化により、関係者が容易に相談できる社会的なシステムが必要だろう。なぜなら家族の宗教問題で悩む人が別の宗教団体に相談するわけはないからである。
 それは政治、行政にしかできないことである。従って、行政の当事者である政治家が選挙活動目当てに宗教と結びついているという構図を早く解消すべきである。
 即ち、現在の大部分の政治家にはハードルが高いであろうが、日本の歴史を振り返り、真の政教分離を推し進める必要がある。