小林陵侑選手の強さの秘密ー自律訓練法?2023年01月22日 06:05

 スキージャンプWC札幌大会で、小林遼侑選手は2日続けて表彰台に立った。一日目は優勝、二日目は3位だが、共に2回目の大ジャンプによる逆転での表彰台である。
 ジャンプは一瞬のタイミングの取り方が結果を左右するので、心理が大きく影響するスポーツであるとはよく言われる。
 
 大倉山シャンツェは風が巻くため、良く競技が中断されるので、不安定な状況に選手たちが置かれることが多い。この予定通りに進まないというファクターが特に心理的な動揺につながる。

 小林選手はインタビューなどの応答を見ると特に心理的な安定性が強いと感じられる。常に平静で、気負いがまったくというほど見られない。その心理的な秘密を深堀してみる。

 気負いすぎる人の性格というものをネットで調べると、

 負けず嫌い、承認要求が強い、正確に予定通りに成し遂げたがる、といった、スポーツでは有利で必要な性格である。
 相手が人間ならば、このような気負い過ぎは多くの場合、有利に働く。
 
 しかし、これがジャンプでは裏目にでる。勝負の相手が、人間ではなく、刻々変化する、風や雪の状況など、自然環境なのである。自分では制御できない相手である。

 この場合、その状況に合わせて、自分が持つ最高のパフォーマンスを示す以外、最高の成績を残すことはできない。そして、そのためには、冷静に自分と周囲を見渡せる能力、即ち気負いがないことが必須になるというわけである。

 では、どのようにしたらそのような性格に自分を持っていけるのか。

 ネットでは、完全を目指すな、負けることもあると思う、他人から嫌われることも認めるなど、気負わない方法が掛かれているが、それでは、逆にスポーツでは勝負にならない。

 では、真の気負わない方法とは何か。

 それは、自律訓練法である。

 これは、ドイツのシュルツ博士が戦前に体系化した精神の安定のための自己訓練法であるが、禅の心理学的実践法ともいわれる。スポーツ選手が良く取り入れている方法でもある。あがり症の心理的な治療法としても使われる。

 手元に古い自律訓練法の本があった。河野良和著「自己催眠術」、氷川印刷、(1963)によれば、

 自己暗示により、身体、精神のリラックス状態を作るだけではなく、禅のような瞑想による無意識の開発まで可能と書かれている。当時は最初の東京オリンピックの直前だったが、自律訓練法がオリンピック選手の強化のためにも取り入れられていたことが記されている。

 小林選手も当然この訓練法はマスターしているはずである。そして、日本人選手の強みは、禅が子供の時からの宗教的な雰囲気の中で、無意識に体にしみ込んでいることであろう。海外選手にはない強みである。

 すべての成功の秘訣が自律訓練法にはある。

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